それぞれのカテゴリーで偉業を達成した人、貢献した人を顕彰する殿堂入り。そんな殿堂がクルマ界にもあったらどうなるのか?
そこで本企画では勝手に殿堂を作って、顕彰されるべきクルマを探してみた!
文:ベストカー編集部
写真:ベストカー編集部
初出:ベストカー2018年3月26日号
■“自動車の殿堂”は、実は実在する
野球殿堂は野球好きなら既にご承知の公益財団法人。日本のプロ野球界に貢献した選手、監督、コーチなどが殿堂入りして登録されている。創設されたのは1959年というから伝統ある組織でございます。編集部にほど近い東京ドーム内に併設されているが、担当は行ったことがない。最近では巨人の原元監督、ゴジラの愛称で知られる松井秀喜氏なんかも殿堂入りした。
ま、野球人にとってこの殿堂入りは大変名誉なことというのがよくわかる。
実は日本の自動車界にも特定非営利活動法人の自動車殿堂というのがあって、日本の自動車界に貢献した人が登録されている。ホンダの創業者本田宗一郎氏、ヤナセの創業者梁瀬次郎氏など錚々たる面々が名を連ねているが、本企画はそんな自動車殿堂に敬意を払いつつ、ベストカー独自の視点で殿堂入りカーを勝手に選出する企画だ。
■国産「幻のスーパーカーの殿堂」とは
初っ端は、わかりやすいスーパーカーの殿堂からいきましょか。スーパーカーといってもフェラーリ、ランボルギーニではありませんよ、日本のスーパーカーです。
スーパーカーの殿堂があったらまず間違いなく入る1台目は、今50代のクルマ好きがガキンチョの頃、大いに盛り上がったスーパーカーブームの中で誕生したクルマだ。そう、童夢-零。
カウンタックに負けないウエッジシェイプの童夢-零。しかしながらエンジンは控えめの2.8Lだった。もちろんミドシップ
全高は1mを切る98cm。そのペタンコのスタイルは、ランボルギーニカウンタックもびっくりだった。エンジンは日産の直6、2.8L。パワーは145psと今思えば大したことないが、かっこのよさはカウンタックに匹敵していた。デザインは林みのる氏と現ムーンクラフトの由良拓也氏。登場したのは1978年。その年にスイスのジュネーブショーにも出品された。残念ながら市販化はされなかったものの、子供達には大人気。プラモデルはもちろん、消しゴム、塗り絵などなどさまざまな派生商品が登場。その盛り上がりは2~3年前のAKB48に匹敵していたといってもいいだろう。
そして殿堂入り2台目と推したいのが童夢-零を開発した林みのる氏が再びチャレンジしたジオットキャスピタだ。
林みのる氏が童夢-零の次に手がけたのがジオットキャスピタだ。こちらは本格的スーパーカーを目指してエンジンはフラット12だった
こちらはワコールがスポンサーとなった和製スーパーカー。エンジンはフェラーリBBもびっくりのスバルとモトールモデルニが共同開発した水平対向12気筒。1992年登場当時、市販化も時間の問題か? と期待されつつもバブル崩壊とともにこの計画も消えてしまった。殿堂入りにふさわしい逸話だ。
そしてバブル崩壊とともに消えてしまったもう一台の和製スーパーカーがあった。それが殿堂入り3台目のスーパーカー、ヤマハの0X-99。
ヤマハのOX-99は1991年登場。そのコンセプトはズバリ、ロードゴーイングF1だった。残念ながら市販化はされなかったものの、今でも保存されていて、ヤマハのイベントなどで時々走っている
最近の東京モーターショーにもヤマハは4輪を展示しているが、今から25年以上前から積極的にこんなクルマを出して4輪市場に参入しようとしていた。
特徴はタンデムスタイルの2人乗り。ボディデザインは由良拓也氏。エンジンは当時コンストラクターとして参加していたF1用のV12を搭載。昨年の東京モーターショーに登場したメルセデスのプロジェクトONEのコンセプトを地でいっていたスーパーカーだった。ということで、BC流スーパーカー殿堂はめでたくこの3台に決定。
■国産歴代「珍車の殿堂」を見る
お次は珍車殿堂を紹介しよう。日本車史上、珍車はいろいろあって全部を紹介できないが、ここでは担当があえて珍車と思えるクルマを独自に挙げる。では古いもの順に紹介。
トップバッターは1970年のフェローバギー。
フェローバギー。空冷エンジン搭載と、そのあたりもVWタイプ1のバギーに似ていた
当時アメリカで人気だったEMPIのワーゲンバギーにインスパイアされてダイハツがリリースしたモデルだ。軽自動車規格なのでエンジンは空冷の356ccで26ps。ボディ外板はFRPなので車両重量たったの440kg。全国100台限定で発売された。珍車とは言えども今見てもなかなか魅力的。メーカーは違うけど、ジムニーにこんなバギーバージョンを出せば売れるかも。
お次は1995年登場のトヨタメガクルーザー。
巨大なボディを持っていたトヨタのメガクルーザー。地上高を稼ぐために、4輪にリダクションギアを採用していた
メガのネーミングがつけられているようにそのボディは巨大で、全長5mオーバーの5090mm、全幅2170mmもあった。当時ハンドルを握ったことがあるが、首都高の料金所を通るのもヒヤヒヤものだった。エンジンは直4ディーゼルの4.1L。今でも自衛隊バージョンが走っていることでもわかるように、メガクルーザーは陸上自衛隊の高機動車の民生バージョン。
トヨタはその後も珍車をリリースしていて、1996年のトヨタクラシック、2000年登場のトヨタオリジンを殿堂入りさせたい。
(上)威風堂々としたスタイルのトヨタのクラシック。ベースはラダーフレームのハイラックスのダブルキャブで、価格は800万円だった(下)2000年に1000台限定で登場したトヨタのオリジン
クラシックはトヨタの市販車生産60周年を記念して作られたモデルで、昔のトヨダAAモデルがモチーフ。ベースはハイラックスで100台の限定生産。
オリジンはトヨタ自動車生産1億台突破を記念して作られたモデル。ベースとなったのはかつてあったプログレ。初代のトヨペットクラウンをモチーフにしている。こちらは1000台の限定だった。どちらも前後ガラスまで専用で作るという手の込んだクルマだった。
日産系の珍車といえばまず筆頭に挙げたいのがステルビオ。
みにくいアヒルの子、オーテックのステルビオ
今見るとサイドミラーをボンネットに内蔵した超個性的なスタイルは当時もかっこいいという意見はあまり聞かなかったと思う。それでもイタリアのザガードとの共同開発ということで話題になった。ベースは2代目のレパード。内装本革で当時の新車価格は驚きの1870万円。もう1台日産の珍車といえば2005年登場のマイクラCCか。
マイクラCCをカッコいいと見るか、珍車と見るか。BCは珍車です。だってデザインが無理やりすぎるじゃないですか。日本では1500台が販売された
今で言うところのメタルトップだったが、カッコいいものではなかった。1500台英国から輸入された。
そしてそして、自動車メーカーではないものの珍車を登場させたのがおもちゃメーカーのタカラ。時は2002年、同社のチョロQの実車版を新会社を作って本当に出してしまった。その名もキューノ。
まるでチョロQだったキューノ。EVでほとんど実用性はなし。買った人がいたこと自体不思議
これも殿堂入り間違いなし。こちらはEVで、屋根なしドアなしのまるでゴーカートのような乗り物だった。その独自性もあり、販売数は500台ともいわれている。価格は立派に130万円。
最近アキハバラあたりではマリオカートが外国人に人気だが、キューノが今でもあれば、マリオにお似合いだったかもしれない。惜しい!
■国産「SUVの殿堂」入りグルマは?
さてさて、お次は今人気、といわれるSUVの殿堂入りモデルを紹介しよう。SUVと呼ばれる以前のクロカンモデルも含めるぞ。
まず筆頭はおなじみランクルだけど、歴代ランクルの中でも堂々殿堂入りとなるのは、なんといっても1980年から10年間作られた60系だろう。その理由は本格ステーションワゴンを目指したクルマだったから。
それまでの50までとは快適性がまるで違うし、イージードライブができるATモデルが用意されている点もポイント。
そしてもう1台殿堂入りにふさわしいのがパジェロ。ああ、出ましたねと読者の方も思うでしょう。なのでこちらの説明は割愛。
隠れた殿堂入りとして担当が推したいのは、いまは乗用車生産から撤退したいすゞのビッグホーン。それも1981年に登場した初代モデルだ。2代目モデルよりもフォルムが直線基調で、当時は和製レンジローバーともいわれていた。しかもレンジローバーと同じくショートホイールベースの3ドアモデルも用意されていて、さらに3ドアモデルにはソフトトップバージョンもあった。
SUV界のレジェンドといえばやはりランクル60系と初代ビッグホーン。男らしい角張ったデザインは今再販しても売れるかもしれません
そのほかSUVカテゴリーでは、2代目ハイラックスサーフ、初代テラノ、ジムニーも殿堂入りにふさわしいSUVといえる。
■時代を切り開いた「デザイン殿堂」車
続いては、国産車の歴史の中でデザインに秀でたクルマの殿堂を見ていこう。
今でこそ国産車も海外のデザインセンターでデザインされるクルマも多くなり国際化が進んでいるが、1980年代前半くらいまでは日本オリジナルデザインのクルマも多かった。過去を見れば初代クラウンも当時の日本としてはずいぶんモダンなデザインといわれたらしいが、そこまで古くなると担当もよくわからないので、1970年代前後以降の国産車の中で殿堂入りにふさわしいクルマを見て行こう。
まずトップバッターとして取り上げたいのは、1969年登場のいすゞの117クーペだろう。若き日のジウジアーロがデザインした117クーペは細いピラー、大きいガラスエリア、綺麗にスラントしたリアガラスなどなど繊細なデザインは当時、一歩抜き出ていた。今でも中古車市場では人気で、丸目の初期型は200万円以上。
そのジウジアーロがデザインした1981年登場の初代ピアッツァも日本車史上に残るデザインの名車。
上は177クーペ、下がピアッツァ。当時いすゞは洗練されたデザインを連発していたのがわかる
同じいすゞのビークロスも殿堂入りにふさわしいデザインだ。
ビークロスはいいデザインながらあまり売れなかった、残念!
もともとは1993年の東京モーターショーに出品されたコンセプトモデルが元だが、市販車はほぼそのままのスタイリングで発売。当時、SUV(クロカン)といえば無骨なスタイルのほとんどだった中で、ビークロスは超未来的。世界を見回してもこんなクルマはなかった。ベースとなったのはミュー/ウイザードだ。今こうして見るといすゞはいいデザインのクルマを輩出していたことがわかる。
トヨタ車の中で1970年代以降デザインに秀でていたクルマといえば、筆頭は初代ソアラ。
おなじみの初代ソアラ
ロングノーズの2ドアクーペは当時、類を見ない美しさだった。そしてもう1台当時デザインで話題になったのが1984年登場のカローラFX。それまでの2BOXデザインの流れを断ち切りスポーツワゴンとしてのデザインを確立した。
初代カローラFX
もちろん当時、日産車やマツダ車の中にもデザインのいい車があったが、時代を切り開いたデザインかどうかと問われると、残念ながらそこまではいっていないんじゃないかと思う。そんななかで、近年日本車史上で新たなデザインの新境地を開いたといえば現行のGT-Rだろう。
こんなテイストはいままでなかった
それまでスポーツカーといえば流麗なデザインを用いることが多かったなかで、あえてそれをせずまるでアニメのガンダムをモチーフにしたようなデザインを採用、まさに新境地を切り開いた。
さて、こうして見てきたBC流クルマ殿堂、いかがでしたでしょうか。ぜひ日本自動車殿堂にも取り入れて欲しいもんです。
【番外コラム】世界を賑わすいろんな殿堂あります
自動車殿堂
2001年に設立された特定非営利活動法人の自動車殿堂は、日本の自動車産業に貢献した人や現在第一線で活躍している人を表彰した人を殿堂入りとして顕彰し、永く後世に伝承してゆくことを主な活動とする団体。殿堂入りしている人は現在70名。ホームページでは過去の名車をリストアップした歴史遺産車や日本カー・オブ・ザ・イヤーに表彰されたイヤーカーなどが紹介されている。
http://www.jahfa.jp
野球殿堂博物館
野球殿堂は、日本の野球の発展に大きな貢献をした人々の功績を永久に讃え、顕彰するために1959年に創設された殿堂(博物館)。殿堂入りすると、表彰レリーフ(ブロンズ製胸像額)を、野球殿堂博物館内の殿堂ホールに掲額し、永久にその名誉を讃えてくれる。この野球殿堂入りには競技者表彰と特別表彰がある。もともとは1939年に設立されたアメリカの野球殿堂をお手本にしている。東京ドーム内にあり実際に見学することも可能だ。
http://www.baseball-museum.or.jp
日本サッカー殿堂
公益財団法人・日本サッカー協会が表彰する日本サッカー殿堂。文京区にある日本サッカーミュージアム内にあり、現在、日本サッカーに貢献した多くの先駆者が掲額されている。候補者は、「日本サッカーに永年にわたって顕著な貢献をした者」、「満60歳以上の者(物故者は含まれない)」というふたつの資格要件で選出。さらに、プレーヤー以外で多大なる貢献をした者、委員会が特に認める顕著な活躍をしたプレーヤー、歴代会長などは、特別選考として投票を行わずに候補者として推薦されている。
http://www.jfa.jp/football-museum
競馬の殿堂
日本競馬会JRAが設立した競馬の殿堂は、中央競馬の発展に特に貢献があった馬や調教師、あるいは騎手について、その功績を讃え、顕彰を行っている。
選定された顕彰馬および顕彰者のブロンズ像、絵画(肖像画)などの関係資料は、東京競馬場内のJRA競馬博物館に展示されている。
http://www.jra.go.jp/gallery/dendo
インターネット殿堂
インターネットの誕生からおよそ30年。そのインターネット界に対して貢献してきた人や技術者、経営者などが顕彰されるのがInternet Society’s Hall of Fame。昨年は早稲田大学情報理工学科の教授、後藤滋樹氏が顕彰された。
https://www.internetsociety.org
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