鈴木竜生(SIC58 Squadra Corse)が、ついに表彰台の頂点に立った。MotoGP第13戦サンマリノGPのMoto3クラスを制したのだ。手が届きそうになるたびにすり抜けていった初勝利を、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリでつかんだ。
自身初のポールポジション獲得となった予選を終え、鈴木はよろこびを語りつつ、「でも今日は残念ながらまだ土曜日。日曜日にこのトップという結果を持って帰ることができるように落ち着いてがんばりたい」とも言った。その言葉を、見事に実現した。
MotoGPサンマリノGP:中上、突如出現したフロントタイヤの「奇妙なフィーリング」に苦しみ2戦連続の転倒
レースでは、序盤から先頭に立ってほとんどの周回数をリード。終盤に少しタイムを落とし、後退した。だが、これには意図的なものもあった。
「あのときは下がったわけではなくて、ミスをしてしまったんです。タイヤも厳しかった。ミスをしたとき(後退したとき)、ペースを落として周りの様子を見ることにしました。そうしたら、ほかのライダーもあまりいいフィーリングで走れていないのがわかりました」
状況を把握した鈴木はその後、再びトップを奪還。それでも、まだ勝てるという確信はなかった。
「終盤にトップに立ったときも、勝てるとはまったく思っていませんでした。誰かに抜かれたら抜き返して、前でレースをコントロールできるようにしたんです」
最終ラップの最終コーナーまでトップ争いは続いた。最終コーナーまでに、優勝争いは鈴木、ジョン・マクフィー(Petronas Sprinta Racing)、トニー・アルボリーノ(VNE Snipers)の3台にしぼられていた。鈴木は最終コーナーをトップで立ち上がると、そのまま、コントロールラインに飛び込んだ。
「うれしかったですね。2019年は調子がよくスタートを切ったのですが、運が悪かったり自分のミスなどで、かなりのレースで優勝を逃してきました。ようやく、表彰台の真ん中に立てたことがうれしいです」
Moto3参戦5年目にして、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで初優勝を飾った。
「ここは思い入れの深いサーキットです。僕たち日本人にとっては、このミサノは(富沢)祥也くんの(亡くなったサーキット)、そしてまた、僕のチームの名前がついたサーキットですから。本当にスペシャルなグランプリなんです」
「完ぺきな週末を過ごせました」と、鈴木は顔をほころばせる。ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリに広がった青空の下、表彰台の頂点に立った鈴木の姿にたくさんの歓声が送られた。
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