EV火災に六輪ハイラックスが駆けつける
英国のプロスピード社は、EVバッテリーの火災に対処する新型の消防車「ハイロード」を公開した。消火の難しいバッテリー火災に効率的かつ迅速に対応できる、新しい消火技術を導入しているという。
【画像】六輪駆動の消防車【ベースとなったトヨタ・ハイラックスと写真で比較】 全42枚
ハイロードに搭載される「コブラ」と呼ばれる消火装置は、同じく英国のコールドカット社が開発し、研磨材を混ぜた水を300bar(一般的なタイヤ空気圧の100倍以上)でEVのバッテリーケーシング付近に注入することで、炎を消すというもの。研磨剤入りの水によってクルマの床を破り、水をバッテリーにできるだけ近づけるというアイデアである。
EVの駆動用バッテリーで一般的に使用されているリチウムは高温に弱く、発熱が発熱を招く「熱暴走」を起こす危険性がある。火災が発生すると、数千Lの水でバッテリーを冷却するか、バッテリーセルに蓄えられたエネルギーがすべて放出されるのを待つしかない。消火活動に大量の水を使用すると、周囲の環境被害も懸念される。
スウェーデンの緊急事態庁によると、コールドカット・コブラを使うことで、240Lの水でバッテリーセルの延焼を止めることができたという。
EV火災ではもう1つ大きな問題がある。屋根の高さに制限がある立体駐車場などの閉鎖空間では、従来の消防車が火災現場に近づけないため、消火活動が難しいのだ。
そこでプロスピード社が開発したハイロードは、トヨタ・ハイラックスを1230mm延長して積載量を拡大。さらに第3のアクスルを追加して六輪駆動(6WD)とし、1200Lの水タンク、トルク分割ディファレンシャルを装備する。コールドカット・コブラを使用することで、1回の消火活動でこの1200Lタンクの約20%を消費する計算だ。
車両重量は5600kgと、標準的なハイラックスの約3倍もあるが、全高が1850mmと低いため、狭い立体駐車場にも入ることができる。また、六輪駆動を活かしたオフロード性能により森林や高原地帯での活動も可能である。
ハイロードは現在、チェコ共和国で試験運用中で、乗員救出訓練にも使用されている。
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みんなのコメント
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