イタリア・コモ湖では、今年もコンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステが開催された。今年のテーマは「Hollywood on the Lake」要はハリウッド特集である。陸路800キロをドライブして、今年もドイツから参加してきたので早速レポートしよう。
コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステの紹介
今年のトレンドは国産名車?注目の新製品が一気に発表された「静岡ホビーショー 2018」
コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ(Concorso d’eleganza Villa d’este以下、ヴィラデステ)は、1929年から行われているイタリア・コモ湖畔で開かれている、ヨーロッパで一番格式高いコンクールデレガンス(エレガントさを競うコンテスト)だ。
コモ湖はミラノから北に約30分ほど高速道路を北上したところにあり、スイスとの国境に程近いところにある。地図上で見ると「人」の形をした湖で、夏場は避暑地としてバカンス客でにぎわう。ジョージ・クルーニーが別荘を持っていたり、「スターウォーズ」の惑星ナブーとして撮影に使われたヴィラ・デル・バルビアネーロがあることでも有名だ。
ここ10年ほどは、BMWグループがイベントの主催を務めているため、VIPの送迎にロールスロイス・ファントムにBMW 7シリーズが周辺を走り回り、会場内にはBMWグループのコンセプトカーや名車が展示されるが、それはあくまでバックグラウンド。
主役は1920~1970年代の希少なクラシックカー、レーシングカー、そしてバイク、そして自動車メーカーやカロッツェリアの最新コンセプトモデルである。
コンテストの審査には、エンジンをかけての敷地内の移動も含まれているので、外観だけをピカピカにレストアしたクルマではなく、ほとんどがしっかりと走行可能な状態にまでメンテナンスされている。
イベント自体は、土日に分けて開催される。土曜日はヴィラ・デステで開かれる、ほぼ関係者のみのエクスクルーシブなイベント。日曜日は会場をヴィラ・エルバに移してのパブリックイベントで入場料を払えば誰でも間近で名車を堪能することができる。今回は、日曜日のヴィラ・エルバでのイベントに参加した。
ヴィラデステ2018の見所
スポンサーのBMWからは、有名映画に登場したBMWのクルマ・バイクが大集合。「007」シリーズののBMW Z3, Z8, 750iL、「Mrビーン」のmini、「ミッション・インポッシブル」シリーズのBMW各車などが会場内に展示されていた。
1964年式アストンマーティンDB5
エントリー車両では、007ゴールドフィンガーに登場したアストンマーティンDB5が、出展されていた。アメリカの銀行家が、数年前に約5億円で購入したとして話題になった車両そのものだ。もちろん、おなじみの回転式ナンバープレート、トランクに仕込まれた防弾シールド、射出ボタン付きのシフトノブなどの装備も確認することができた。
1970年式ランチア・ストラトスHF
1970年のトリノショーに出品されたストラトスHF(通称ストラトス・ゼロ)は、ベルトーネに在籍していたマルチェロ・ガンディーニがデザインした、くさびのようなウェッジシェイプのコンセプトカーである。
のちに市販された、ディーノの2.4リッター V6エンジンを積んだランチア・ストラトスとは違い、FFのランチア・フルビアのV4縦置きエンジンをミッドシップに搭載し、後輪を駆動している。
筆者はここ1年、自分のランチア・フルビア・クーペを修理・観察していたので、まったく同じ構造のドライブトレインが、この平べったいボディの下に隠れている姿に感嘆せざるを得なかった。
リアタイヤは、フルビアのハブをそのまま使っているようで、当時のFFのランチアに使われていた珍しいPCD130の4穴のホイールがついている。対照的に、フロントは小さく、リアとよく似たデザインのPCD98(フィアット系のサイズである)の12インチホイールであった。当時の既存のコンポーネントを上手く使って、これだけインパクトのあるコンセプトカーを作りあげるとは、ガンディーニ・デザインも素晴らしいが、走行可能なレベルまでに実現させたベルトーネの設計者たちも素晴らしい。
1968年式アルファロメオ33/2ストラダーレ
ストラトス・ゼロも、まず走っている姿を見かけることはないが、アルファロメオ33/2ストラダーレも非常にレアなクルマだ。
日本にも4灯式のプロトタイプを所有しているコレクターが居られるが、あまり人目に触れる機会がなく、ナンバーをつけて公道を走る姿を見ることはなさそうだ。
こちらは、スイスのコレクターが持っている2灯式のストラダーレ。2リッターV8エンジンはあっけなく目覚め、ウォーミングアップのあと素晴らしい排気音を響かせていた。
2018年式マツダ・ヴィジョン・クーペ
マツダ・ヴィジョン・クーペは、内燃機エンジン搭載のコンセプトモデルらしく、移動時はスポーティーな排気音を響かせていた。エンジンの回転数と、クルマの動きを見る限り、発電用エンジンというわけでもなさそうだった。このエンジンは、ガソリンエンジンなのか、復活が期待されるロータリーエンジンなのか、ただただコンセプトカーを動かすためだけの既存のエンジンなのか、興味深いところである。
BMW S1000RRベースのトライク
「ミッション・インポッシブル・ローグネイション」で、モロッコのワインディングロードを、BMW S1000RRに乗ったトム・クルーズが、レベッカ・ファーガソンのバイクを追いかけるシーンに使われた車両が展示されていた。なんと、ウルトラロングなホイールベースの3輪車で、地面すれすれに着座したドライバーが、ステアリングと3ペダルを操作して運転するようだ。恐らく、バイクにはトム・クルーズが跨った状態で、ドライバーが運転し、撮影を行ったのだろう。フロントは2輪がバイクと同じようにバンクするリンク機構になっていたが、どのようなドライブフィーリングなのか、非常に興味深く感じた車両であった。
Automobili AmosのLancia Delta Integrale omologazione Speciale
今回エントリーしていたものの、会場の展示には間に合わなかったコンセプトカーがあった。
グリーンのフェラーリF40に乗っていることで有名なイタリアの若いエンスージアストが、ランチア・デルタ・インテグラーレをベースに、シンガーポルシェのようなレストモッドを施したモデルを15台ほど生産しようとしているらしい。ベースの5ドアから、3ドアに変更されているようだし、完成した姿を是非見て見たいと思った。
コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステだけの独特の世界
クラシックカーのイベントは多々あるが、違和感を感じるイベントもよくある。イギリス車のイベントだからといって、妙な英国風のコスプレをしたり、バグパイプの演奏を入れたりといった、安易な味付けである。もちろん、イギリスのグッドウッド・リバイバルのように徹頭徹尾味付けしたイベントは素晴らしいが、たいていの場合は中途半端な演出に感じるし、参加する側としては恥ずかしさも感じてしまう。
ところが、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステの場合、そういった味付けが無くとも、全てが自然にエレガントなのである。参加者、観客、ミュージシャン、ロケーション、そしてクルマたちが上手く調和してできた雰囲気を、主催者のBMWグループが上手くまとめているように感じる。
また来年も、この夢のような世界の一部になれることを夢見て、会場を後にするのであった。
[ライター・画像/林こうじ]
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
マツダ「“5人乗り”軽トラ!?」公開! 「4人も寝られる」全長3.7m級ボディに「驚き」の声も! 「AZ-MAXラクーンツー」登場に反響集まる
「車検のシールをガラス真ん中ではなく運転席の上に貼られました。貼り直しできますか?」質問に回答殺到!?「ダメだろ」「分かっていますか?」の声も 法律ではどう決まってる?
スバル新型「“すごい”4ドアセダン」公開に反響多数! 約680馬力の2リッター「水平対向4気筒ターボ」に「スゴイ技術」「走りが気になる」の声も! 漆黒の最速マシン「プロジェクト ミッドナイト」米国で登場
“生産版”「“R36”GT-R」公開! 日産の「旧車デザイン」+4.1リッター「V6」採用! 7000万円&1000馬力超えの「Artisan GT-R」の登場が迫る
スズキ新型「コンパクトSUV」いつ登場? MTあり&全長4m以下の「カクカクボディ」が超カッコイイ! 注目の「“5ドア”ジムニー」導入どうなる!?
「左足ブレーキ」の是非を問う!…AT車普及率98%の日本なら、なおさら「踏み間違い」による事故を減らすことができます【Key’s note】
「レガシィ」消滅で改めて問う SUVは日本の交通事情に合っているのか? 日の丸SWは“オワコン”か
街に溢れる「マツダ車」の“1番人気”ってなに? 「流麗SUV」や10年続く“ロングセラーモデル”も! 爆売れの「マツダ車」トップ3とは?
「オレの彼女は超アムロ」えええ……マジで………? クルマCMの迷コピー謎コピー傑作選│1990年代~2000年代編【10年前の再録記事プレイバック】
レクサスの歴史的象徴「LS」が売れない3大要因と、次期型が“ふつうのセダン”にならない理由
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?