2021年シーズンのF1ではメルセデスとレッドブルが激しいタイトル争いを演じているが、ここ最近はレッドブル優勢となってきた感が否めない。レッドブルは第5戦モナコGPから第8戦シュタイアーマルクGPまで4連勝を飾っており、コンストラクターズランキングではメルセデスに40点差をつけている。
もちろんこれには、今季のレッドブルのマシン『RB16B』が非常に高いポテンシャルを誇っていることが関係しているだろう。しかしフェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットは、他にも要因があると考えている。
■メルセデスF1のアリソン、技術職の第一線から退く理由は「年老いたお荷物になりたくなかったから」
ビノット曰く、レッドブルのチーム運営が安定していることもチームの成長に大きく寄与しているはずだという。
というのも、メルセデスはここ1年間で組織構造に変化があり、レッドブルとは対照的に不安定な状況にある。かつてパワーユニット部門を率いたアンディ・コーウェルは離脱し、テクニカルディレクターのジェームス・アリソンも一線を退くことが決まっている。エースドライバーであるルイス・ハミルトンとの契約延長にも時間をかけてしまった。
シュタイアーマルクGPのレース後、メルセデスとレッドブルの戦いについての見解を尋ねられたビノットは次のように語った。
「技術的な側面について話す前に、レッドブルが長年に渡って安定したチームを作り上げているからこそ、素晴らしい結果を手に出来ているということを言わなければいけない」
「困難に直面したにも関わらず、勝てない時期があったにも関わらず、彼らは確固たるグループを作り上げてマシンを改善しようとしてきた。我々が今目にしているのは、そういった取り組みの成果なのだ」
「一方メルセデスに目を向けると、既に昨年、組織内部に大きな変化があり、役職が見直されている。それにドライバーも2月になってようやく確定した」
「これは現在の状況を引き起こすに至るまでの兆候だったと思う」
ビノットは現在のフェラーリの状況と直接的に比較することはしなかったが、彼もフェラーリを長期的に進歩させるために、現在の体制で何が出来るか時間をかけて確かめることが最善の方法だと常々語っている。
また最近では、パワーユニット(PU)のパフォーマンス向上のためのアップデートが禁止されている中でレッドブルが直線スピードを伸ばしたことについて、メルセデスが疑問視しているが、フェラーリはそういったメルセデスの見解を支持していない。
ビノットは、ホンダ製PUのパフォーマンスは開幕戦のバーレーンから変わっていないと主張。ホンダは信頼性の懸念から一度パフォーマンスを落とした後、また当初の水準に戻しただけではないかと述べた。
「それについて色々と話は聞いたが、私は(その見解を)支持しない。なぜならGPSデータを見る限り、ホンダPUのパフォーマンスはバーレーンの時のものと一致しているからだ」
「彼らは信頼性の問題でパフォーマンスを下げなくてはいけなかった。おそらくそれが解決して、シーズン開幕当初の水準に戻したのだろう」
「彼らは前進している訳ではない。今はPUがこういった形で運用されているため、バーレーン以降の我々は皆、同じレベルの(PU)パフォーマンスなのだ」
「だからレッドブルに関して、(PUのパフォーマンスを)一歩前進させたのではないかという疑問は持っていない」
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