ベントレーのフラッグシップに相応しい
「ミュルザンヌ」の生産終了後、ベントレーのフラッグシップカー論争が熱くかわされたのは記憶に新しい。果たしてこの「ベンテイガ エクステンデッド ホイールベース マリナー」がその後継車にふさわしいのか。快適性、ラグジュアリー性を評価の基準としてベンテイガEWBマリナーを見てみよう。
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そもそもマリナーとは?
ベントレーには「マリナー」と呼ばれるお客様からの特別注文を受ける部署が存在する。1760年から馬車を作っていたコーチビルダーのマリナーはペイントや刺繍や木工細工などを得意とする集団で、これまで世界中のお客様の要望に応え、その技術を積み重ねてきた。
そして数年前からマリナーデリバティブと呼ばれる、いわゆる「グレード」が導入され、数々のラグジュアリーな装備品がパッケージとして導入されるようになった。
通常モデルと差をつけるマリナーならではの装備品とは?
一見してベンテイガEWBマリナーとわかるエクステリアのポイントは、マリナー特製の22インチホイールである。同じく特製の「ダブルダイヤモンド」フロントグリル、クロームメッキのフロントロアグリル、マリナー製ウイングベントはすべて揃いのデザイン。ミラーキャップはサテンシルバーとボディカラーのツートンカラーとなり通常モデルとの差別化が図られる。
3Dイルミネーテッドトレッドプレートとディープパイルオーバーマットに迎えられて乗り込むキャビンは、デザインチームが厳選した3カラーコンビネーション全8種類から選択できる。メイン、セカンダリー、アクセントカラーハイドの3色で構成されるマリナー独自のカラースプリットは、ベントレーの最高峰モデルでのみ選択でき、その組み合わせは4000通りにも及ぶ。
ウッドパネルは、こだわりのインテリアカラーと相性の良い「グランドブラック」は鏡面仕上げ。パッセンジャー側フェイシアには「Mulliner」の文字とベンテイガのシルエットを象ったシルバーのオーバーレイが、ドアウエストレールにはベントレーの「B」の文字、リアピクニックトレイにはマリナーのクロームパターンが施される。センターコンソールの立体的なダイヤモンドミル仕上げは見た目の美しさに加え、最高の手触りも提供する。
シート上部は複雑なキルト模様「ハーモニーダイヤモンドキルト」で覆われ、各シートには「Mulliner」の文字が刺繍される。
フラッグシップカーにふさわしい快適性の向上
ベンテイガEWBマリナーでは後席の快適性を重視し、「ベントレーエアラインシート」スペシフィケーションが標準装備される。シートを「リラックス」モードにすると約40度までリクライニングでき、それと同時に助手席が前方に移動し、美しい革張りのフットレストが展開する。オートクライメートシステムは乗員の体温と表面湿度を検知し、ヒーターかベンチレーター、またはその両方を作動させ、乗員が快適と感じる温度を保つ。
姿勢調整機能である「ポスチュラルアジャスト」は太ももと肩の部分に新たに設けたポケットと腰部に追加したマッサージポケットを使用してシート形状を継続的に少しずつ変化させ、体にかかる圧力を分散し、血流の滞りや疲労の蓄積を防ぐ機能だ。独立した6つの圧力ゾーンがあり、177箇所の圧力を3時間単位で調整することによって移動距離に関係なく、シートの快適性が常に確保される。
また乗員のウェルネスを左右するもうひとつのキーファクターはセカンダリーライド(乗員が感じる振動)だろう。5Hz~20Hzの超低周波という条件下での一般的な走行速度のとき、ベンテイガEWBのセカンダリーライドは競合車より最大で27%低くなっている。
自動車業界初のサステイナブルな素材
オプションで選択できる「オリーブタンレザー」はオリーブオイルの製造時に生成される有機副産物が使用される。オリーブの圧搾工程で出た廃水から抽出された成分をなめし剤として活用しているため、金属、ミネラル、アルデヒドといった有害物質を含まない。オリーブ搾油時の廃水(Olive Mill Wastewater:OMW) を利用する業界最先端のこの技術は皮革製造会社のPasubio SpAのものであり、 ベントレーモーターズは自動車メーカーとして初めてこの技術を採用した。
価格はまだ発表されていないが、ラグジュアリーな装備品、クラフトマンシップ、快適性の観点からこの新たなモデルは現段階のベントレーのラインナップとしては間違いなく最高峰のモデルに位置づけられるだろう。日本への導入が望まれる1台だ。
AMWノミカタ ミュルザンヌは6.75リッターOHVの上質なフィーリング、圧倒的な革とウッドの物量、そして最高峰のクラフトマンシップによって、ベントレーのフラッグシップという地位を不動のものにしていた。いっぽうのベンテイガEWBマリナーは伝統的な要素による科学的、技術的なアプローチに加え、さらにサステイナブルな要素を重要視したまさに現代のフラッグシップカーに相応しいモデルだと思う。
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