ゲルハルト・ベルガーを知っているか
text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
【画像】ベルガーのフェラーリF40【予想落札額1.2億円オーバー】 全27枚
photo:RM Sotheby’s
フェラーリを始めマクラーレン、べネトンといったトップチームでF1を闘ったゲルハルト・ベルガーが所有していたフェラーリF40がオークションに出品される。
ベルガーはスクーデリア・フェラーリに1987年から1989年まで在籍し、1987年に鈴鹿で開かれた日本GPで初のポール・トゥウ・インを果たし、日本のファンにもおなじみだ。
この勝利は、低迷していたフェラーリにとって1985年ドイツGP以来となるものだった。
翌1988年になるとエンツォ・フェラーリが逝去する。その直後に行われたイタリアGPで優勝を果たしたのもベルガーだった。
僚友ミケーレ・アルボレートと共に1-2フィニッシュを遂げ、亡きエンツォに勝利を捧げたことは伝説となっている。
この年はマクラーレン・ホンダが圧倒的な強さを見せ、優勝できなかったのはイタリアGPだけで、フェラーリの勝利は神(エンツォ)がかりといわれた。
このようにファンの記憶に残る勝利を遂げたベルガーは、気さくで悪戯好きな性格から日本のファンからも愛されている。
ベルガー所有のF40とは
1987年にフェラーリ入りしたベルガーはF40の開発にもかかわり、今や伝説となった「雨の日には絶対乗りたくない」という名言を残している。
ベルガーは現役当時にフェラーリ社からF40を貸与されていたはずだが、今回出品されたのは2019年に手に入れた別の個体となる。
シャシーナンバー84643のF40は1990年3月に完成し、シンガポールの高級車ディーラーとして知られるホンセ・モータースからMr.リービーに販売された。
1993年2月に日本のフェラリスティがセカンド・オーナーとなり2014年まで所有していた。
その後ヨーロッパのブローカーが入手し、2015年と2017年のレトロモビルに展示され、2017年にサード・オーナーとなるドイツの愛好家のもとへ移る。
正規ディーラーで徹底整備
サード・オーナーは購入後すぐにハンブルクにある正規ディーラーで、エンジンを降ろす重整備と、サスペンションのリセッティング、ブレーキ・ローターとキャリパーを新品にするリフレッシングを行う。
ちなみにこれらの費用は8万ユーロ(約992万円)にも及ぶ。
こうして極めて高いオリジナル度を保ったF40は、ベルガーの目に留まり2019年5月に購入したという。
住いのあるオーストリアで登録し、F40の走りを楽しんだに違いない。2019年12月にはフェラーリ・クラシケの認定も取得している。
現時点では非調整式のダンパー/スプリング・ユニットと、直管でキャタなしのルマン・クイックシルバー製のスポーツ・エグソーストがノンオリシナルとなる。
しかし、ボルトオンで戻せる部分なので大きなウィークポイントにはならない。
オークションは30日に終了
今もオリジナル・ペイントを保ち、カーボン・ケブラーの目がしっかりと残り、正規ディーラーでちゃんとメンテナンスが施されたF40は希少といえる。
そして、あのベルガーが所有したというヒストリーが付くので、フェラリスティには見逃せない1台となろう。オークション主催者が発表した予想落札額は、邦貨換算で1億2330万円~1億5070万円となっている。
ベルガーのF40が出品されるRMサザビーズ・ロンドン・オークションはオンラインのみの入札で行われる。
オークションの入札は10月26日午後2時(日本時間で同日午後11時)から開始され、10月30日午後1時(日本時間で同日午後10時)に終了となる。
コレクターズカーが値下がり傾向にある中で、ベルガー所有というヒストリーが備わるF40は、最終的にいくらで落札されるのか興味深い。
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みんなのコメント
>>どんな音色か聴いてみたい
F40て実際は意外と小さいんだよね。
実物見たときは最初レプリカかと思った。