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【MMアーカイブ】絶対性能よりシャシチューニングを主体にしたクレーマー ポルシェ K1

掲載 更新 8
【MMアーカイブ】絶対性能よりシャシチューニングを主体にしたクレーマー ポルシェ K1

創刊以来、65年の歴史を刻むモーターマガジン(MM)が持つのアーカイブから、ちょっと懐かしく珍しいクルマを紹介する、大型連休の短期連載企画。第5回はドイツのチューナーが手がけた「クレーマー ポルシェ K1」だ。

クレーマー ポルシェ K1(1988年)
クレーマーの正式名称はE & M クレーマー社といい、アーウィンとマンフレッドの兄弟によって1962年に設立された会社だ。日本でも1980年代のスポーツカー耐久レースに参戦している。発足当時は兄のアーウィンが開発ドライバーを、弟のマンフレッドがメカニックを務めていたが、1980年代後半でも兄がレース活動を中心に指揮しており、弟がストリート バージョンのチューニングを手がけていた。

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ここで紹介するK1は、911カレラ(タイプ930)をベースとして外観はフラットノーズ風にモディファイされているが、その力点は絶対的な動力性能よりもドレスアップとシャシ チューングに置かれているようだ。

空冷フラット6の排気量はノーマルの911カレラそのままで、バルブタイミングもまったく同じでありながら、最高出力は235ps、最大トルクは29.0kgmとなっており、ノーマルの225ps/27.3kgmより多少強化されている程度だ。これはおそらく吸排気系のチューニング効果によるものだろう。

外観のモディファイはなかなかのもので、いわゆるターボルックでまとめられている。フラットノーズとチンスポイラーのコンビネーションは精悍な顔つきを見せている。ノーマルよりも全長は20mm長く、全幅は150mmもワイドで、全高は45mm低い。911ターボよりもワイド&ローなボディが与えられている。リアスポイラーも大型で、フロントのチンスポイラーと合わせて空力効果は強い。

モーターマガジン誌による実測テストで、最高速度は227.22km/h、0→400m加速は15.88秒、0→100km/h加速は7.82秒を記録した。前述のエアロパーツの効果は大きく、テストコースで200km/hオーバーで走行してもボディリフトは感じられなかった。

車高が下げられてロールセンターと重心軸が近づき、アライメントや前後荷重配分は適正に調整されており、操舵力/保舵力ともノーマルより重いが中高速での操舵フィーリングは著しく向上していた。しかも低速で重すぎることもなく、これはクレーマー独特の味つけであると感じられた。

ワインディングでも、ノーマルの911カレラより20%ほど速いコーナリングスピードを911カレラの半分の努力で発揮できるといえる。当時の911カレラ独特の、前後荷重のアンバランスによるクセのあるハンドリングを、このK1は見事に解消させている。ダンパーとスプリングは固められており、乗り心地はノーマルよりはハードだ。それでも80km/h以上ではそう苦にならないし、100km/h以上ならその印象はだいぶ薄らいでくる。

インパネまわりは基本的にノーマルと変わらない。インテリアはオールレザーで、電動シートはポルシェ純正のものより細かいアジャストができる。ノーマル同様に視界は良いから、リアの1800mmという車幅に慣れさえすれば、混雑した市街地でも気軽に流すことができる。

ものものしいルックスに似合わないイージーなドライブを楽しむことができるK1の絶妙なシャシ チューニングに、クレーマー社の並々ならぬ技術レベルの高さを思い知らされた。

クレーマー ポルシェ K1 主要諸元
●全長×全幅×全高:4320×1800×1290mm
●ホイールベース:2280mm
●重量:1220kg
●エンジン種類:空冷 水平対向6 SOHC
●排気量:3164cc
●最高出力:235ps/5900rpm
●最大トルク:29.0kgm/4800rpm
●駆動方式:RR
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前205/50VR15、後285/40VR15

[ アルバム : クレーマー ポルシェ K1 はオリジナルサイトでご覧ください ]

文:Webモーターマガジン Webモーターマガジン編集部
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みんなのコメント

8件
  • ヘッドライトがポップアップした姿を見てみたい…。
  • 昔はフラットノーズに憧れた人多かったよね。所謂ポルシェのカエル顔は周知の魅力だけど、この時代は空気抵抗云々で時代遅れと言われてた。
    かの有名なモービーディックやゲンバラやケーニッヒなど各チューナーがスペシャルチューンしてたし、本家ポルシェからも914、928、944などの系譜もあった。買えない人はそれっぽいレプリカのキットを買ってたよね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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