WEC世界耐久選手権で92号車ポルシェ911 GT3 Rをドライブするジョエル・シュトームは、富士スピードウェイで9月15日に行われた『富士6時間耐久レース』におけるマンタイ・ピュアレクシングのタイヤ戦略が、リトアニアの国旗を掲げるチームがLMGT3クラスの初代チャンピオンを確定させるうえで重要な要因になったと語った。
シュトームと彼のチームメイトであるアレクサンダー・マリキン、クラウス・バハラーは、クラス14番手から今季第7戦の決勝レースを開始し、54号車フェラーリ296 GT3(ビスタAFコルセ)に次ぐクラス2位フィニッシュを達成。LMGT3ランキングで2位につける姉妹車91号車ポルシェ(マンタイEMA)が下位に沈んだことから1レースを残して年間タイトルを確定させた。
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マリキンによると、同じタイヤでスタートからダブルスティントを行うというチームの当初の計画は、エンジニアがプロンズドライバーの2スティント目に新品のタイヤを与えることを選択したため変更されという。
「ポジションを守るには充分だった」とマリキンは説明した。「その後、セーフティカー(SC)のおかげでかなり順位が上がった。幸運に恵まれていたと思う」
「僕は(スタートから)2時間25分走った。それは計画外のことだったから気持ち的にも難しかった。自分たちのペースではポジションをコントロールできなかったので、本当にプッシュし続ける必要があった」
「ジョエル(・シュトーム)のためにピットストップも素早く行った。それが我々の戦略にとって非常に重要だったんだ」
シルバーレーティングのシュトームはその後、マリキンが2スティント目で使ったタイヤを引き継いで最初のスティントを終え、自身の2スティント目は予選で使用したタイヤで走行した。チームメイトふたりのあとを受けたバハラーは、ドライバー交代時に履き替えたタイヤでダブルスティントを行いフィニッシュまでクルマを運んでいる。
「チームの戦略は素晴らしかったと思う」とレース中盤のスティントを担当したシュトーム。
「確かに、奇妙な戦略ではあった。似たような戦略をとったクルマが何台かいたようだけど、最終的に14番手から順位を上げていくためには重要なポイントになったと思う」
「僕たちはドライビングで素晴らしい仕事をしたと自負しているが、今日は戦略が本当に重要なカギになった。チームの仕事に感謝したいと思う」
プラクティスと予選でペースが振るわなかった92号車のトリオが、今週末にタイトルを獲得することを想像していたかとSportscar365に尋ねられたシュトームは、「昨日の予選のあとは、5位から7位くらいになれればいいと思っていた」と答えた。
「正直なところ、ここでタイトルを獲得することは想像していなかった。だから、それができて本当に良かったと思っている」
「相手と作戦の面で自分たちに運があったのは確かだ。でも、最終的には素晴らしいチームワークがこの結果をもたらしたと考えている」
■チームの働きを絶賛
バハラーもシュトームと同じ考えだ。このトリオはクラス優勝を2回果たしただけでなく、表彰台を逃したのは1回だけという圧倒的なシーズンを送っている。
「自分たちが何をすべきかは間違いなく分かっていた」とバハラーはSportscar365に語った。「でも正直に言うと、予選後に他のチームのペースを見て、これは本当に厳しいレースになると思った」
「自分たちは一貫性があるので、レースではもっといい結果が出るだろうとは思っていた。予選以上に決勝レースを見据えたクルマの準備をしてきたしね」
「結局のところ、それがカギになった。レースでは安定している必要がある。しかし一般的に、後ろからスタートすると他のクルマを追い抜いていくのが大変だ」
「でも、どういうわけか我々のチームではいつもうまくいく。彼らはピットストップの戦略をとてもうまく立ててくれるんだ。クルマはとても安定していて、我々ドライバーとしてもミスはなかった」
92号車ポルシェのステアリングを握り今季のタイトルが確定するチェッカーフラッグを受けたこのオーストリア人は当初、富士でのチームの戦略が成功しないと考えていたという。
「本当のところ、今日は彼らがやったこの動きがうまくいくとは思えなかった」とバハラー。
「(レースが始まって)10~15分後、その頃には、僕たちがもはや14番手ではないことがわかった。すぐに表彰台か4番手あたりを目指して戦っていると考えを改めなければならなかった」
「これが僕たちのチームのすべてだ。彼らは素晴らしい仕事をしてくれた。本当にメガだ!」
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