■軽やSUVなど2020年の日産は新型モデルが目白押し
2020年3月19日に発売された軽自動車「ルークス」を皮切りに、2020年は日産の新型車が活発に発売されそうです。どのような新型車が登場する予定なのでしょうか。
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全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた新型ルークスは、いまの国内市場では一番の売れ筋カテゴリです。
国内販売ランキングを見ても、上位にはホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」が入り、それらの人気車に対抗するモデルとしてルークスがフルモデルチェンジしました。今後はルークスも好調に売れることが期待されます。
その次に日産から発売されるのは、コンパクトSUVの「キックス」です。
日産の販売店によると「キックスについて現時点(2020年3月下旬時点)では、メーカーから正確な発売日程を聞いていません。従って5月までに発売されることはないですが、6月中には登場すると思います。また発売前の予約受注は、車両の概要を明らかにした上で、5月に開始する可能性もあります」とコメントしました。
日産は2010年からコンパクトSUVの「ジューク」を販売していますが、欧州では2019年に2代目へフルモデルチェンジしました。
ところがこの新型ジュークは、日本では販売されません。新型ジュークのエンジンは、直列3気筒1リッターターボで、トランスミッションは2組のクラッチを使う有段ATと6速MTになり、国内に馴染みにくいと判断されたからです。
そこでジュークの後継としてキックスが投入されるというわけです。キックスの全長は4295mmだから、従来型ジュークに比べて160mm長いですが、全幅は1760mm、全高は1585mmに収まり同程度です。
キックスは北米、中国、ブラジルなどで売られ、エンジンは地域に応じて直列4気筒1.5リッター/1.6リッターのノーマルタイプを搭載。トランスミッションもCVT(無段変速AT)なので、運転感覚は日本のユーザーに馴染みやすいでしょう。
そして1.2リッターエンジンをベースにしたハイブリッドのe-POWERも加えられる予定で、日本ではe-POWERが売れ筋になりそうです。
このほかキックスは、全高と併せてホイールベース(前輪と後輪の間隔)も従来型ジュークに比べて90mm長い2620mmです。後席の足元空間は従来型ジュークよりも長く、ファミリーカーとしても使いやすいでしょう。
さらに、2019年10月に開催された第46回東京モーターショーに出展された「アリア」もデビューするといわれています。アリアの市販モデルが登場するのは、2020年の終盤から2021年頃でしょう。
アリアは5ドアクーペ風のスポーティなボディを備えたSUVの電気自動車で、一番の特徴は、前後にモーターを配置して4WDにすることです。前後のモーターの駆動力配分と、4輪のブレーキを独立制御して、走行状態に応じて4輪を最適にコントロールします。
電気自動車のメリットは、走行段階で二酸化炭素や窒素酸化物などを排出しないことですが、アリアは、緻密な4輪制御に基づく優れた走行安定性と運転の楽しさを追求。電気自動車として可能な新しい走りの世界を目指しています。
同じく第46回東京モーターショーには、軽自動車サイズの電気自動車として「IMk」も出展されました。「デイズ」やルークスをベースに開発された電気自動車に見えますが、プラットフォームは異なります。
もともと電気自動車は、環境性能が優れている代わりに、1回の充電で走れる航続可能距離は短いです。その意味で電気自動車は、市街地の移動手段に適しており、軽自動車のボディサイズとは相性が良いです。
軽自動車サイズの電気自動車で難しいのは、価格が高いことです。そこも踏まえると、IMkはカーシェアリングに適しているといえます。
■海外重視だった販売戦略が、2020年にようやく変わる!?
このほかにも、「ノート」のフルモデルチェンジが2020年内におこなわれる可能性が高いです。ノートは2016年にハイブリッドの「e-POWER」を加えて堅調に売れていますが、現行型の発売は2012年に遡り、すでに約8年を経過するからです。
ホンダ「フィット」のように、従来路線を踏襲してフルモデルチェンジする者と思われますが、5ドアハッチバックのカテゴリは、世界的に売れ行きを下げています。これはSUVが人気を得た影響も大きいです。そのためにシトロエン「C3」は外観がSUV風になり、ボルボ「V40」は現行型を最後に生産終了し、SUVの「XC40」のみになります。
このような経緯もあり、ノートは派生モデルとしてスライドドアを備える3列シートミニバンを加える可能性もあります。トヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」のライバル車です。
ちなみに2000年代には、「キューブ」の派生モデルで3列シートを備えた「キューブキュービック」とは違う、コンパクトミニバンの企画が日産内部で進行していました。それが2008年に発生したリーマンショックによる世界的な不況により、凍結されました。ノートの3列シートミニバンは、このアイデアが再び復活したともいえるでしょう。
それにしても現在の日産車は、ラインナップが全般的に古いです。小型/普通車は、「フーガ」「エルグランド」「マーチ」「ジューク」など、2010年までに発売された車種が圧倒的です。2011年以降は新型車の発売が1年から2年に1車種程度に減り、日産車の売れ行きも下がりました。
そのなかでノートは、e-POWERを加えて売れ行きを伸ばし、小型/普通車の販売ランキングでは、2017年と2019年は2位、2018年は1位になりました。
ミニバンの「セレナ」も好調で、2018年にはミニバン1位、2019年は同2位と健闘しています。それなのに、日産のメーカー別販売ランキング順位は、トヨタ、ホンダ、スズキ、ダイハツに次ぐ5位です。
この矛盾が生じた理由は、いまの日産の国内販売が、限られた売れ筋車種に依存しているためです。売れ筋モデルであるデイズ/デイズルークス、ノート、セレナの2019年の販売台数を合計すると、国内で販売された日産車全体の65%に達します。その結果、ノートやセレナは絶好調で売れているのに、メーカー別販売順位は5位になってしまうのです。
この状況をユーザーから見ると、欲しい日産車が見当たらないから、ノートやセレナを選んでいるという現実があります。
日産のセールスマンからは「生産を終えた『ティーダ』や設計が古くなったキューブなどのお客さまは、以前は乗り替えるクルマがなくて困っていました。普通のノートでは、ティーダやキューブのお客さまには物足りないのです。そこにノートe-POWERが登場して、滑らかな運転感覚などの付加価値も生じて、買っていただけるようになりました」という話が聞かれます。
つまりノートの好調な売れ行きは、乗り替えるべき日産車を失ったユーザーの不満の裏返しでもあったのです。
日産の新型車開発が滞り始めた切っ掛けは、先に挙げたリーマンショックです。このときを境に、日産は国内市場の将来性を低く見積り、車両開発を滞らせ、海外重視に変わりました。
日産の世界生産台数に占める国内販売の割合は、1999年には33%でしたが、2009年には18%に下がり、2019年は11%です。国内の売れ行きが下がり、新型車の投入も鈍り、ますます販売が低迷する悪循環に陥っています。
キューブやティアナは生産を終え、その結果、日本は日産にとって11%の市場になったのです。しかし、2020年には新型モデルの投入が予定されており、この流れがようやく変わりそうです。
日産の内部からも「いままでは国内市場を冷遇しすぎだった」との声が聞かれます。カルロスゴーン元会長の退任も無関係ではありません。楽観はできませんが、今後の日産に期待したいです。
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みんなのコメント
日本のメーカーなんだから国内軽視はしちゃいけない
散々国内を放置しておいて、今更頑張ってもらっても…