メルセデスAMGカスタマー・レーシングのボスであるステファン・ヴェンドルは、長年のパートナーチームであるアコーディスASPがLMGT3プログラムでレクサスと手を組むと決定したことについて「完全にリスペクトする」と語り、WEC世界耐久選手権におけるメルセデスの展望が依然不透明なことを「悲しい話」であると表現した。
ジェローム・ポリカン率いるASP(Auto Sport Promotion)は10月24日、WECのセレクション・コミッティーの承認が得られれば、2024年の新クラスにレクサスRC F GT3を2台投入する意向であることを明らかにした。
レクサス、ル・マン初参戦へ。GTWCヨーロッパ王者のASPがブランドスイッチとWEC挑戦を正式発表
ASPはここ数カ月、メルセデスAMGに来年のLMGT3クラスへのエントリー枠が与えられるかどうかが不透明な中、LMGT3グリッドに加わるための手段としてレクサスとの関係を強めていた。
ル・マン・ハイパーカー(LMH)マニュファクチャラーであるトヨタと同じ傘下にあるレクサスとは対照的に、メルセデスAMGは現在トップクラスのプロトタイププログラムを持っておらず、WECやル・マン24時間レースなどにおけるACOフランス西部自動車クラブとの関係もほとんどない。
ASPの決定は、メルセデスAMGがGT3レースにおけるトップカスタマーレーシングチームのひとつを失う可能性が高いことを意味する。ポリカンは以前、少なくともWECプログラムの初年度は、WECとGTワールドチャレンジ・ヨーロッパに同時参戦しない考えを示していた。
しかしながらヴェンドルは、ASPが今年メルセデスAMG GT2を2台走らせたGT2ヨーロッパ・シリーズへの参加を通じて、メルセデスAMGとの関係を維持する可能性が高いと示唆した。
「我々にはジェローム、そして彼のチームとの貴重な思い出があるので、これはちょっと悲しい話だ」とウェンドルは語った。
「我々のドライバーたちもまた、彼らが過去に成し遂げた成功に大きく関係しているが、それはとうとう終わりを迎えることになりそうだ。少なくともプロカテゴリーではね」
「ジェロームとは、今年の初めから話し合いを続けてきた。彼がル・マンに参戦するという夢を叶えようとしていること私は完全にリスペクトしているし、これはAMGの立場としても同様だ」
「ル・マン出場の夢に近づく唯一のチャンスだったわけで、これが彼の進む道だということだ」
「彼はGT2シリーズでも、そして潜在的にはプロ/アマレースでも我々の車でレースをする忠実な顧客であるため、我々は彼をファミリーに引き留めるだろう。そして、これは我々の観点からは閉じられた本ではなく、少なくとも別のページである、ということだ」
■レクサス加入には「金銭的理由」も?
ヴェンドルは、メルセデスAMGがLMGT3グリッドに加わる可能性を軽視し、チームがWECプログラムに必要な準備をすべて整えていることを示しながらも、同ブランドがグリッドに加わる可能性は「あまり期待できそうにない」と述べている。
「私はまだ希望的観測の中にいる」とヴェンドル。
「参加しないという確証を持っているわけではない。したがって、我々はトライしているし、準備もしている」
「我々は、このようなプロジェクトに資金を提供できる財務的な背景を持つ複数のチームと準備を進めている」
「WECは我々にとって、ファクトリー・プログラムではないことを知っておく必要がある。つまり、これはカスタマー・レーシングであり、ブロンズとシルバーのドライバーをファクトリー・ドライバーがサポートする純粋なカスタマー・レーシングなのだ」
「だからこそ、WECプログラムを可能にするための資金的なパッケージが必要であり、その一方で、ACOからマシンをWECに参加させるための許可を得る必要がある」
「自分自身とチームがこれに備えるためにできる限りのことをしてきたが、これまでのところ、あまり期待できるものではないと言える」
ヴェンドルはまた、ASPがレクサス陣営へと移るを決断を下したことには、金銭的な理由もあったようだと示唆する。
「ジェロームに関しては、資金面でのパッケージがまさにトピックだ」とヴェンドル。
「もし、投資家やスポンサーがいなければ、我々のベストチームのひとつは、すべてを負担してくれる他の会社からアプローチを受けることになるであろうし、それは事実としてより良く機能することだろうね」
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