現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 「SUV並み」を実現させたトライトンの技術

ここから本文です

「SUV並み」を実現させたトライトンの技術

掲載 3
「SUV並み」を実現させたトライトンの技術

車の最新技術 [2024.04.08 UP]


「SUV並み」を実現させたトライトンの技術
文●石井昌道 写真●三菱

新型トライトン:オフロード激走リポート

 アメリカでは新車販売台数の上位を独占、ASEANや中東などでもポピュラーな存在であるピックアップトラック。日本では2000年代に入ってから絶滅危惧種扱いで、一部マニア向けに限定的な販売が行われていたぐらいだ。

 ところが、2017年にトヨタがハイラックスを発売したところ、意外なほど脚光を浴びて現在でも1万台/年の販売台数を記録。ポピュラーとまではいかないものの、新たなライフスタイルカー、流行のSUVのなかの個性的な一種的な存在となった。

 そこで三菱は6代目トライトンの日本導入を決めた。2005年~2011年に4代目を販売していたが、その頃は思うように販売台数を伸ばせなかったが、市場の変化を機に復活させたのだ。三菱にとってトライトンはグローバルでみれば大黒柱であり、パジェロで培ったヘビーデューティーなイメージを国内でアピールするにも好都合だ。


トライトン GSR
 トライトンが採用するラダーフレーム構造は悪路走破性が高く、日本でもそのヘビーデューティな雰囲気で人気が高い。トヨタ ランドクルーザー、スズキ ジムニー、ジープ ラングラーなどは代表格。その一方で、ランドローバー レンジローバーやメルセデス・ベンツ Gクラスなど本格オフローダーでありながらプレミアムなモデル達はここ1~2世代で乗用車同様のモノコック構造に改めながらハイテクなどで悪路走破性は確保し、オンロードでの快適性と両立を実現した。

 たしかにラダーフレーム構造のモデルは、オンロードでは上物のボディとフレームがバラバラに動いている感覚があって、快適とは言い難いことが多い。最近ではずいぶんと性能があがってきたものの、それでもカッコイイけど乗り心地や操縦性は妥協するという、多少の“痩せ我慢”は必要だったのだ。

 ところが、トライトンに試乗してみるとオンロードでのスムーズで快適な走りに驚かされた。

 いままで乗ったどのラダーフレーム構造のモデルよりも洗練されていると言っても過言ではない。そのもっとも大きな要素は20年ぶりに刷新された新開発のラダーフレームで、従来に比べると曲げ剛性60%、ねじり剛性40%の向上。リアサスペンションは古典的なリーフリジッド方式だが、従来は5枚の板バネで構成されたものを3枚に減らしてフリクションを減らしつつ、1枚ずつの厚みや幅を持たせるとともに取り付け部の工夫で剛性を高めて、操縦安定性を確保しながらしなやかに動くように開発された。


トライトンが採用する新開発の高剛性ラダーフレーム
 フレームとサスペンションという本質を磨いたのが功を奏したのだが、それとともに注目なのが三菱独自のAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)が採用されたことだ。

 ランサー・エボリューション用に開発されたAYCはヨーモーメント(曲がる動き)をコントロールするもので、コーナーで素早く曲がりながらも安定性を確保する。

 ランサー・エボリューションではモータースポーツでの性能向上を狙ったもので、旋回Gや加減速Gなどから理想的なタイヤのグリップ力を引き出す。現在ではアウトランダーやエクリプスクロスなどで継承。どんな場面でもヨーをコントロールすることで、スムーズで快適な走りを実現している。

 ピックアップトラックはハイテクとは無縁というイメージがあるのでトライトンでAYCが採用されたことに最初は驚いたが、乗ってみたら深く納得した。ドライ路面のコーナリング性能などは問われないイメージのピックアップトラックが、コーナーをスムーズにクリアしていく。スポーツカーのように攻めるためのものではなく、あくまで曲がりたいときに素直に曲がりやすくしてくれるアシストといった感じで、でしゃばり感もない。フロントタイヤのグリップに余裕があってステアリングの舵角が少なくても、綺麗に曲がってくれる。

 機構的にはディファレンシャルを制御するものではなく、フロントのブレーキ制御のみなのでAYCとしてはシンプルだが、これは車両特性を鑑みて検討、テストをした結果によるものだという。リーフリジッドのリアサスペンションの能力を考慮し、リアを安定性を大切にしながら曲がりやすくするにはこれぐらいがちょうどいいのだ。


トライトンのAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)作動概念
 また、パジェロで開発されたスーパーセレクト4WD IIが採用されているのもオンロードでの走りを快適にしている。フルタイム4WDでオンロード用の4Hを選択しているときは、前後駆動配分のセンターデフにトルセンデフを使用し、タイトターン・ブレーキング現象を抑えている。前後駆動力が直結された4WDをドライ路面で走らせると、ステアリングを大きく切ってタイトターンを曲がったり車庫入れしようとすると、前後のタイヤの回転差を吸収できなくて、異音が発生するとともにブレーキをかけたような動きになる。

 トライトンは前後直結ができて悪路走破性を高めているとともに、センターのトルセンデフでオンロードも快適に走れるわけだ。もっと都市型4WDやプレミアムカーのように電子制御を増やしていけばトレードオフの性能の両立を図ることも可能だが、トライトンはプリミティブな技術を基本に、然るべきところに三菱独自のノウハウを投入しているところが賢い。


スーパーセレクト4WD IIのモードごとの作動状況
 結果的に、ハードな悪路走破での性能や耐久性、整備性、コスト性などを確保しながら、ライフスタイルカーとしても満足いくものとなっている。全長5360mmの大きなボディはガレージ事情など物理的な制約はあるものの、雰囲気や憧れで手を出しても後悔することはないだろう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【最新モデル試乗】期待のストロングHV登場! SUBARUクロストレックS:HEVの実力
【最新モデル試乗】期待のストロングHV登場! SUBARUクロストレックS:HEVの実力
カー・アンド・ドライバー
新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
くるまのニュース
愛車の履歴書──Vol54. 池松壮亮さん(番外・後編)
愛車の履歴書──Vol54. 池松壮亮さん(番外・後編)
GQ JAPAN
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
くるまのニュース
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
カー・アンド・ドライバー
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
ベストカーWeb
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
ベストカーWeb
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
Merkmal
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
ベストカーWeb
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
ベストカーWeb
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ベストカーWeb
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
ベストカーWeb
ホンダが激カッコいいSUV発表! [アキュラADX]みたいなクルマが日本にも必要だろ!
ホンダが激カッコいいSUV発表! [アキュラADX]みたいなクルマが日本にも必要だろ!
ベストカーWeb
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
ベストカーWeb
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
ベストカーWeb
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
Auto Messe Web
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web

みんなのコメント

3件
  • gbx********
    後ろに道具を載せるか載せないかは、自由です。
    載せなくても大丈夫ですよ。
  • goo********
    作業車としてなら後ろにいろんな道具を載せると思うけど、一般人が買うならどんな用途になるんだろう?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

498.1540.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

119.8664.0万円

中古車を検索
トライトンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

498.1540.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

119.8664.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村