11月14~17日にマカオ市街地のギア・サーキットで開催されるマカオGP。第71回目を迎える今年は、史上初めてFIAフォーミュラ・リージョナル・ワールドカップ(FRワールドカップ)がメインレースとして行われる。
本稿では日本チーム、日本人ドライバーも参戦するFRワールドカップの参戦車両に関する基礎知識をお届けする。
マカオGP/FRワールドカップのエントリーリストが発表。日本人5名を含む15カ国27台が集結
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フォーミュラ・リージョナル(FR)はFIA国際自動車連盟がジュニア・フォーミュラの改革を進めるなか、各国・各地域のFIA F4シリーズと、F1のサポートレースとして開催されているFIA F3の橋渡しをするカテゴリーとして2018年よりスタートした。2024年は日本、ヨーロッパ、アメリカ、中東、オセアニアでシリーズ戦が繰り広げられており、世界中で約92人のドライバーが参戦している。
現在はイタリアのタトゥースがヨーロッパ選手権、中東選手権、オセアニア選手権に。フランスのリジェが北米選手権に、日本の童夢が日本選手権(FRJ)にシャシーを供給。エンジンは地域によりアルピーヌ、アルファロメオ、トヨタ、ホンダ。タイヤはピレリ、ハンコック、ジーティー、ダンロップが供給しており、同じFRといえど各シリーズはそれぞれのパッケージでシリーズを展開してきた。
そんななか、2024年よりFIA F3に代わりFRがマカオGPのメインレースとして開催されることとなった。FRワールドカップもシリーズ戦同様にワンメイクで行われることとなり、シャシーはタトゥース社の『T-318』、エンジンはアルファロメオ(オートテクニカ・モトーリ)、タイヤはピレリへと統一されることになった。したがって、FRJを戦ってきたTOM’S、TGM Grand Prixは経験のある童夢製シャシーではなく、タトゥース製シャシーを新たに用意し、マカオGPに臨むことになった。
下記の表組を見ていただくと分かるとおり、現行ではタトゥース、アルファロメオ、ピレリというFRワールドカップと完全に同じパッケージで行われているシリーズは存在しない。ただ、本パッケージは2021年シーズンまでフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ選手権(2022年からはアルピーヌが供給)で使用されていたこともあり、やはりヨーロッパ勢に利がありそうだ。
■2024年フォーミュラ・リージョナル採用パッケージ
地域シャシーエンジンタイヤ欧州タトゥースアルピーヌピレリ中東タトゥースアルファロメオジーティーオセアニアタトゥーストヨタピレリ北米リジェホンダハンコック日本童夢アルファロメオダンロップ
昨年までのFIA F3によるワールドカップを見てきたレースファンにとって気になるのは、FRがギア・サーキットでどれほどのラップタイムで走るかという点だ。
過去の予選タイムを見てみると、2023年にFIA F3マシン(ダラーラ製シャシー/メカクローム製3.4リッターV6自然吸気/380馬力)がフロント250/575-13、リア290/590-13というピレリタイヤを履いて2分5秒~9秒だった。
同じく2023年に行われたマカオF4レースでは、タトゥース製シャシーにアバルト製1368cc直列4気筒ターボ(180馬力)にフロント180/550-13、リヤ240/570-13のジーティー製タイヤを履いて2分24秒~47秒(107%は2分38秒722)だ。
当然走行当日のコンディションに左右されるとはいえ、FIA F3とFIA-F4の橋渡しをするFRマシン(270馬力)なだけに、2分14秒~16秒あたりのタイムを刻むのではないだろうか。走行初日(11月14日/木曜日)から各車のラップタイムに注目しておきたいところだ。
なお、マカオGPのコースレコードはFIA F3規定で開催された2019年にユーリ・ビップス(ハイテックGP)が記録した2分4秒997となる。再び規定が大きく変わることがない限り、ビップスのタイムがギア・サーキットのコースレコードとして刻まれることになりそうだ。
また、2003年にはマカオGP50回記念イベントとしてラルフ・ファーマンがジョーダン・フォードのF1マシン『EJ13』でデモランを行い、非競技イベントながら1分55秒714をマークしている。今後もし、最新F1マシンがギア・サーキットを走る機会が実現すれば、どれほどのタイムを記録するだろうか。
ギア・サーキットのコースレコード、各カテゴリーのレコードラップ(決勝中のファステストラップ)、そしてフォーミュラ・リージョナル車両、タトゥースT318のスペックシートは下記のとおりだ。
■マカオGP/ギア・サーキットのコースレコード
2分4秒997(2019年/ユーリ・ビップス/ダラーラF3 2019)
非公式:1分55秒714(2003年/ラルフ・ファーマン/ジョーダンEJ13・フォード)
■参考:マカオGP決勝ファステストラップ記録/編集部調べ
FIA F3:2分6秒647(2023年/ルーク・ブラウニング/ダラーラF3 2019)
2輪車:2分23秒616(2010年/スチュワート・イーストン/カワサキ1000cc)
ギア・レース:2分27秒009(2014年/ロブ・ハフ/ラーダ・グランタ1.6T/WTCC)
マカオGTカップ:2分17秒182(2019年/アール・バンバー/ポルシェ911 GT3 R/FIA GT3
■フォーミュラ・リージョナル車両/タトゥースT318概要
--フロントトラック1575mmリヤトラック1530mmホイールベース2900mm全長4855mm/Max全幅1850mm/Max全高950mm (基準面から)シャシーAl/Nomexハニカム複合カーボンファイバーサンドイッチホモロゲーションFIA F3/2019 (Ann.J Art.273) ボディワークカーボンファイバーフロントサスペンションプッシュロッド/ツインダンパー/スプリングリヤサスペンションプッシュロッド/ツインダンパー/スプリングスプリングアイバッハ製 36mmダンパーコニ製ブレーキブレンボ製タイヤピレリ製フロント230/570-13/リア300/590-13ホイールOZレーシング製エンジンオートテクニカ・モトーリ(アルファロメオ製)エキゾーストAros製電気系マレリ製ギヤボックス6レシオ/サデフSLR82ギヤシフトマレリ製電動シャフトアクチュエータステアリングホイールタトゥース&ネクストソリューション社製バッテリーDEKA製安全燃料タンクPREMIER社 FT-5シートベルトサベルト製消化器OMP製※上記表はタトゥース社T318テクニカルマニュアルをもとに作成
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