現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ランチア ストラトスは、ラリーで勝つことだけを考えて作られたコンペティション マシンだった【スーパーカークロニクル/019】

ここから本文です

ランチア ストラトスは、ラリーで勝つことだけを考えて作られたコンペティション マシンだった【スーパーカークロニクル/019】

掲載 9
ランチア ストラトスは、ラリーで勝つことだけを考えて作られたコンペティション マシンだった【スーパーカークロニクル/019】

1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。今回は、ランチア ストラトスだ。

ランチア ストラトス(LANCIA STRATOS:1974-1975)
ランチア ストラトスは、「パーパス ビルト カー」とも呼ばれる。なぜなら、ラリーに勝つことだけを目的(パーパス)に企画されたクルマだからだ。少なくとも当時のラリーでは専用マシンを作るなどありえないことで、通常は市販車を改造するのが常識だったからだ。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

この企画の仕掛け人のひとりが、ランチア ラリーチームのボスであったチェザーレ・フィオリオで、情熱家でも有名だったが、後にフェラーリF1の監督を務めるほどの実力者になった。常識にとらわれない「自己流」を押し通したことで、ついにラリー必勝マシンが実現することとなった。

カロッツェリアのベルトーネも、この企画に関与していた。ベルトーネは、当時斬新なデザインのミッドシップカーのショーカーをランチア ベースで製作し、新しい市販モデルの生産化を提案した。その提案が、ラリー用ベース車という形で、ランチアのニーズと合致。ランチア側が、ドライバーをはじめラリーの現場スタッフに理想のラリーカーを詳細にリサーチしてコンセプトを定め、ベルトーネ側とランチアのエンジニアのアドバイスを受けて、実際の設計と生産を請け負った。

デザインを手がけたのは、チーフスタイリストのマルチェロ・ガンディーニだ。カウンタックのデザインなどで有名なデザイナーだ。ゼロから開発するだけあって、まさしくラリー専用のプロトタイプ レーシングカーのような基本設計とし、センター部分がモノコック、その後方に頑強なサブフレームを組んでエンジンを搭載した。

ディーノ246GTのパワーユニットを移植
キャビンがモノコックなのは、乗員スペースの安全を十分に確保し、騒音にも配慮したためといわれている。また、ヘルメットの置き場をドアポケットに設けるなど、疲労の激しいラリーでの乗員への配慮も各所に盛り込まれた。重量物を車体中央に集めたミッドシップである上、全幅が1750mmもありながらホイールベースはわずか2180mmと短いのは、まさに設計の狙いどおりだったのだが、アマチュアドライバーには手に余るほどクイックなハンドリングだった。

エンジンは当初ランチアの4気筒を積む予定だったが、途中でフィオリオの考えが変わり、ディーノ246GTの2418cc V6 DOHCエンジン(190ps/23.0kgm)をもらい受けることに成功した。ちなみにラリーバージョンのエンジンは、280ps/26.0kgmを発生した。しかし、その交渉が難航して市販モデルの生産が遅れてしまい、500台程度生産したものの販売は不振だった。

その反面、ラリーでは見事に世界タイトルを1974年から3年連続で獲得したことで、目的は達成したといって良いだろう。またスーパーカーとしても、日本では「サーキットの狼」で主人公の愛車の1台になったこともあり、カウンタックに並ぶほどのエキゾチックな存在として人気となった。

ランチア ストラトス 主要諸元


●全長×全幅×全高:3710×1750×1110mm
●ホイールベース:2180mm
●車両重量:980kg
●エンジン種類:60度V6 DOHC
●総排気量:2418cc
●最高出力:190ps/7000rpm
●最大トルク:23.0kgm/4000rpm
●燃料:有鉛ハイオク
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:横置きミッドシップRWD
●タイヤサイズ:205/70VR14

[ アルバム : ランチア ストラトス はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

『いとうみゆきのクルマのおうち旅』が電子書籍化…ホンダアクセス「カエライフ」連載
『いとうみゆきのクルマのおうち旅』が電子書籍化…ホンダアクセス「カエライフ」連載
レスポンス
重量わずか48g! 最大120時間点灯するポーチランタン「HEXAR UL1.5」が登場
重量わずか48g! 最大120時間点灯するポーチランタン「HEXAR UL1.5」が登場
バイクブロス
“軽トラック”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
“軽トラック”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
Merkmal
「知らなきゃ損!?」 スマートキーの“意外な”便利機能! 「車内にカギ忘れた!」うっかり“インキー”の原因は?
「知らなきゃ損!?」 スマートキーの“意外な”便利機能! 「車内にカギ忘れた!」うっかり“インキー”の原因は?
くるまのニュース
ミニバンやSUVの形は「クルマの原点」! ゆえにセダン人気が復活することはないが存在価値はある
ミニバンやSUVの形は「クルマの原点」! ゆえにセダン人気が復活することはないが存在価値はある
WEB CARTOP
グレー&シアンで「MTシリーズ」の世界観を表現、ヤマハ『MT-03』『MT-25』2025年モデル発売 
グレー&シアンで「MTシリーズ」の世界観を表現、ヤマハ『MT-03』『MT-25』2025年モデル発売 
レスポンス
KINTO、走行安定性をアップグレードする「士別フィン」を発売
KINTO、走行安定性をアップグレードする「士別フィン」を発売
月刊自家用車WEB
KINTOから、LEXUS ISをアップグレードする「Performance Upgrade “Solid” for IS」が発売
KINTOから、LEXUS ISをアップグレードする「Performance Upgrade “Solid” for IS」が発売
月刊自家用車WEB
40年の歴史を持つ伝説的なハイパフォーマンスセダンは7世代目に! 新型「BMW M5」がデビュー
40年の歴史を持つ伝説的なハイパフォーマンスセダンは7世代目に! 新型「BMW M5」がデビュー
LE VOLANT CARSMEET WEB
SP忠男から Z650RS(’24-)用フルエキ「POWERBOX FULL 2in1ステンポリッシュ」が発売!
SP忠男から Z650RS(’24-)用フルエキ「POWERBOX FULL 2in1ステンポリッシュ」が発売!
バイクブロス
「e-BIKE」ってなに? ペダル付き電動バイクとの違い
「e-BIKE」ってなに? ペダル付き電動バイクとの違い
バイクのニュース
三菱「新型デリカ」発表近い!? 超ビッグ&タフな「SUVミニバン」発表で「出たら即買う」の声! 度肝抜く「D:X」登場で期待ヒートアップ!?
三菱「新型デリカ」発表近い!? 超ビッグ&タフな「SUVミニバン」発表で「出たら即買う」の声! 度肝抜く「D:X」登場で期待ヒートアップ!?
くるまのニュース
モータージャーナリスト修行中のZ世代クルマ好き女子がトムスの本物フォーミュラカーFIA-F4を初体験してきた件
モータージャーナリスト修行中のZ世代クルマ好き女子がトムスの本物フォーミュラカーFIA-F4を初体験してきた件
カー・アンド・ドライバー
アウトドアを楽しもう…アンダーソン・パークとコラボ、「ワールド・ミュージック・デイ」でレクサス GX を起用した映像公開
アウトドアを楽しもう…アンダーソン・パークとコラボ、「ワールド・ミュージック・デイ」でレクサス GX を起用した映像公開
レスポンス
カッコよさ重視のデザインに!! 燃費29km超えの[カローラツーリング]はハンドリングが抜群!
カッコよさ重視のデザインに!! 燃費29km超えの[カローラツーリング]はハンドリングが抜群!
ベストカーWeb
【BYD シール】「売れるかは未知数」縮小する日本のセダン市場で、中国のEVはどう戦うのか
【BYD シール】「売れるかは未知数」縮小する日本のセダン市場で、中国のEVはどう戦うのか
レスポンス
アウディの高性能SUV『RS Q8』、600馬力ツインターボ搭載…発表
アウディの高性能SUV『RS Q8』、600馬力ツインターボ搭載…発表
レスポンス
「えっ!」捕まるのはイヤだけど…乗ってみたい!? 爆速「“2ドア”パトカー」3選
「えっ!」捕まるのはイヤだけど…乗ってみたい!? 爆速「“2ドア”パトカー」3選
くるまのニュース

みんなのコメント

9件
  • ストラトスかっこいいよなぁ
    同じラリーマシンでもGRヤリスやカローラはガッカリする
  • 小さいときに、この車のおもちゃ持ってたんだけど、どこに行ってしまったのだろうか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

-万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
カウンタックの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

-万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村