タフさと上質さを両立させるオールマイティなSUVへ進化
スズキの中ではハイエンドに位置するB-CセグメントのSUV「エスクード」が、2015年10月の現行4代目デビュー以来初めてマイナーチェンジ。12月21日に発売された。その狙いや進化の内容について、アシスタントチーフエンジニアの横山典洋(よこやま・のりひろ)さんに聞いた。
高い悪路走破性はそのままに上質さをアップさせたスズキ・エスクードが登場
──今回のマイナーチェンジでは内外装が大きく変更されましたが、その狙いは? 先代のテイストに戻したように見受けられますが……。
横山:マイナーチェンジ前は1.6L NAと1.4L直噴ターボがありましたが、後者は欧州では「ビターラS」として販売しており、内外装をスポーティな仕様にしていました。それを日本でも「エスクード1.4ターボ」として販売していたのですが、落ち着いた雰囲気を出したいと思い、外観は力強く、内装はシックにして質感を上げるようなコンセプトで開発しました。
──では、先代のエスクードに戻すという意識で開発したわけではないのでしょうか?
横山:はい、そういうわけではないですね。
──でも、スタイルはあえて昔ながらの武骨な面を残していますよね。
横山:はい、力強さは残しています。
──本格クロカン風のデザインだったものがクロスオーバー風に鞍替えする車種も増えていますよね。エスクードでは、力強さを表現するという方向性は、しばらく変えないお考えですか?
横山:そうですね。
──ボディカラーのラインアップはどう変わりましたか?
横山:従来のイメージカラーだった「アトランティスターコイズパールメタリック ブラック2トーンルーフ」を、新色の「アイスグレーイッシュブルーメタリック ブラック2トーンルーフ」に入れ替えました。
──そのほかの機能面での変更内容は?
横山:メーターがカラー液晶になったことが、一番大きいですね。
──もうひとつの目玉が予防安全技術の進化ですが、そのシステム構成は?
横山:改良前はアッパーグリルにミリ波レーダーを装着して、衝突被害軽減ブレーキとアダプティブクルーズコントロール(ACC)を実装していたのですが、今回は室内に単眼カメラと赤外線のレーザーレーダーを搭載して衝突被害軽減ブレーキを担い、さらにACCのためにロアグリルにミリ波レーダーを装着して、欧州の速度域でも追従走行ができるようにしています。
──走りに関する変更点は?
横山:とくにはありません。改良前からの良さをそのまま活かしています。
──本気でオフロードを走ろうと思ったら先代以前のエスクードの方が良いのかもしれませんが、現行モデルはオンロードを走る分には隙がありませんよね。とくにワインディングを走ったときの楽しさが素晴らしいです。
横山:ありがとうございます。スズキの特徴であるスポーティさも入れて開発しました。開発当時、欧州で走り込んで、欧州のドライバーにも評価してもらったので、走りについては自信があります。
──海外での販売動向は?
横山:欧州のほか南米でもご好評いただいております。
──エスクードは新型ジムニーと同じく、なかなか手に入らないという状況が続いていますが……。
横山:現行エスクードはハンガリーで生産していますが、これまでは冬場に生産していなかったんですね。それを通年生産に変更しましたので、お客さまにご迷惑がかからないようになっていると思います。
──ラインアップはどう変わりましたか?
横山:国内仕様は1.4Lターボの6速AT・4WDだけに絞りました。
──価格はどうなりますか?
横山:安全装備が追加された分、若干上がります(258万6600円→265万8960円)。
──かつてこの分野を切り拓いたエスクードですが、いまSUVは各メーカーから乱立しています。そんな中で、現在のエスクードをどのようなポジションにあるとお考えですか?
横山:昔は本格的クロスカントリーSUVでしたが、今は街乗り寄りになり、経済性と、たまにラフロードを走っても楽しい、またラフロードに行く途中のドライブも楽しんでもらえるような、オールマイティなSUVと考えています。
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