現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【昭和の名車 123】マツダ ファミリアは、商用車からスタートしてラインアップを展開した

ここから本文です

【昭和の名車 123】マツダ ファミリアは、商用車からスタートしてラインアップを展開した

掲載 更新 4
【昭和の名車 123】マツダ ファミリアは、商用車からスタートしてラインアップを展開した

以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「マツダ ファミリア」だ。

マツダ ファミリア(SSA型):昭和39年(1964年)10月発売
所得分布は低所得者ほど幅広いという独自のピラミッドビジョンに則り、R360クーペ~キャロル~キャロル600と乗用車のバリエーションを下から拡大してきたマツダが、次のステップとして800ccクラスにファミリアを投入したのは1963年(昭和38年)9月だった。市場の動向を探るため商用車(バン)からスタートしたのは、ダイハツ同様、商用車製造で力をつけてきたマツダらしい選択だった。そして1年後の第11回東京モーターショーで待望の2ドアセダンがお披露目される。しかも参考出品ではなく開催期間中の10月1日に発売された。

トヨタがヤリスGR-4の3ドアボディを公開。さらに搭載エンジンと4WDシステムをスクープ

ルーチェでカロッツェリア・ベルトーネを起用するなど、当時から「自動車のもっとも重要な要素はデザイン」と考えていたマツダだが、ファミリアについては社の発展のために若手を登用したのが興味深い。セダンはバンのボディ後部をノッチバックに改良したもので、ボンネットからトランクまでボディ全周を廻るウエストラインが完成して、スタイル上の肝となる「フラットデッキ」が本来の輝きを放つことになった。

ボディ骨格はセミモノコックで、A/B/Cピラーを基本にアーチを作り、下部を閉断面のサイドレールを3本のクロスメンバーで補強したフロアボードに溶接して、環状骨格を作るというもの。前後にサブフレームを持ち、フロントにエンジンをマウントするほか、前後サス取り付けのためのサスペンションメンバーがボルト止めされている。

エンジンはキャロル用の発展型だ。キャロル600に対し、ボアを4mm/ストロークを10mm拡大して782ccのロングストロークタイプとした。マツダお得意の「白いエンジン」は継承され、シリンダーブロック&ヘッド、クラッチハウジング、ミッションケースに高度な製造技術を要するアルミ合金を採用。冷却効率アップと同時に、ミッションアッセンブリーも含めてエンジン重量を約113kgに収めるという軽量化も実現している。

バルブ駆動はOHVだが、半球形燃焼室に各45度の角度で吸排気バルブを配置するクロスフロー方式や、5ベアリング クランクシャフトなど、800cc級にはオーバークオリティともいえる技術が投入されていたのも特徴のひとつだ。公称の連続最高時速は115km/hで、この時のエンジン回転数は5200rpm。最大許容回転数が6500rpmなので、十分な余裕を持った数字といえた。

トランスミッションがフルシンクロの4速コラムMTというのも、1速をノンシンクロにしたクルマが多い時代、マツダのこだわりといって良い。全体にローギアードなセッティングだがエンジン特性とのマッチングも良く、路上で出せるスピードにおいては欧州小型車の感覚に似ていると、国産車離れした動力性能が高く評価された。操縦性能については荒れた舗装路でも忠実に弱いアンダーステアのまま安定したロードホールディングを見せ、とくにフロントのスタビライザーが良く効き、素直なハンドリングが評価された。

ファミリアは4ドアセダンに続き1964年11月に2ドアセダンを、1965年にはクーペを追加する。新設計の1000cc直4 SOHC(68ps)エンジンを搭載し、最高速度は145km/h、0→400m加速は18.9秒(公表値)の俊足を誇ったクーペは若い世代に注目されたが、1966年にサニーとカローラが出現。ファミリアはシリーズ全体の抜本的見直しが求められることになる。だが、当時のマツダは持てる資材のほとんどをロータリーエンジン開発に投入していたこともあり、大幅な改良を受けることなく、1967年11月に2代目にバトンタッチしていく。



マツダ ファミリア800 デラックス 主要諸元
●全長×全幅×全高:3765×1465×1385mm
●ホイールベース:2190mm
●重量:740kg
●エンジン型式・種類:SA型・直4 OHV
●排気量:782cc
●最高出力:42ps/6000rpm
●最大トルク:6.0kgm/3200rpm
●トランスミッション:4速コラムMT
●タイヤサイズ:6.00-12 4P
●価格:54万8000円

[ アルバム : マツダ ファミリア はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

2024年新型イプシロン登場で高らかに復活したランチア!! 10年前は消滅の噂が絶えない大ピンチだった[復刻・2013年の話題]
2024年新型イプシロン登場で高らかに復活したランチア!! 10年前は消滅の噂が絶えない大ピンチだった[復刻・2013年の話題]
ベストカーWeb
ポルシェがサーキットで最高のパフォーマンスを発揮する、モータースポーツテクノロジー
ポルシェがサーキットで最高のパフォーマンスを発揮する、モータースポーツテクノロジー
LE VOLANT CARSMEET WEB
ドゥカティ スクランブラー・アイコン試乗「初めての大型車にもアリ!? 軽い車体に元気なエンジン、日常的な速度域が楽しい」
ドゥカティ スクランブラー・アイコン試乗「初めての大型車にもアリ!? 軽い車体に元気なエンジン、日常的な速度域が楽しい」
モーサイ
トリッキーなステージに苦戦の声「どれも本当に過酷」「ハードでもオーバーヒート」/ラリージャパン デイ3コメント
トリッキーなステージに苦戦の声「どれも本当に過酷」「ハードでもオーバーヒート」/ラリージャパン デイ3コメント
AUTOSPORT web
斬新なのは顔だけじゃない! キアの3列シートSUV最強『EV9 GT』発表…ロサンゼルスモーターショー2024
斬新なのは顔だけじゃない! キアの3列シートSUV最強『EV9 GT』発表…ロサンゼルスモーターショー2024
レスポンス
EUROCARBODY 欧州のエンジニアが選んだ1位はホンダN-VANe
EUROCARBODY 欧州のエンジニアが選んだ1位はホンダN-VANe
Auto Prove
「個人的な想いは捨ててきた」と勝田。ラリージャパン最終日で、タイトル防衛のための葛藤を明かす
「個人的な想いは捨ててきた」と勝田。ラリージャパン最終日で、タイトル防衛のための葛藤を明かす
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツ CLEカブリオレにボディを拡大したAMG53 4MATIC を追加
メルセデス・ベンツ CLEカブリオレにボディを拡大したAMG53 4MATIC を追加
Auto Prove
「永遠に有料…?」 とっくに無料化されている“はず”の道路たち なぜまだお金とるの?
「永遠に有料…?」 とっくに無料化されている“はず”の道路たち なぜまだお金とるの?
乗りものニュース
トヨタ本気の「小さな高級車」に驚きの声! めちゃ豪華な「本革×本木目」内装を採用! 小型車に「クラウン品質」取り入れた“直列6気筒エンジン”搭載モデルに反響あり!
トヨタ本気の「小さな高級車」に驚きの声! めちゃ豪華な「本革×本木目」内装を採用! 小型車に「クラウン品質」取り入れた“直列6気筒エンジン”搭載モデルに反響あり!
くるまのニュース
結局さぁ……日産[GT-R] とヒョンデ[IONIQ5 N]って結局どっちが良いの??
結局さぁ……日産[GT-R] とヒョンデ[IONIQ5 N]って結局どっちが良いの??
ベストカーWeb
直6のMシリーズが欲しいならE34型「M5」が狙い目! BMWのヤングタイマーで最高の1台を600万円で手に入れられる!?
直6のMシリーズが欲しいならE34型「M5」が狙い目! BMWのヤングタイマーで最高の1台を600万円で手に入れられる!?
Auto Messe Web
【このAMGゲレヴァーなんぼ?】V12を搭載したゲレンデヴァーゲン 生産台数わずか5台の「メルセデス G63 AMG V12」の価格は?
【このAMGゲレヴァーなんぼ?】V12を搭載したゲレンデヴァーゲン 生産台数わずか5台の「メルセデス G63 AMG V12」の価格は?
AutoBild Japan
トヨタ、2025年のWRC参戦体制を発表。勝田貴元含む4名のフルタイムドライバーを揃え全タイトル獲得目指す
トヨタ、2025年のWRC参戦体制を発表。勝田貴元含む4名のフルタイムドライバーを揃え全タイトル獲得目指す
motorsport.com 日本版
【屋根開き版が追加】メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ カブリオレ 一年中快適に楽しめる装備も充実
【屋根開き版が追加】メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ カブリオレ 一年中快適に楽しめる装備も充実
AUTOCAR JAPAN
オイルクーラー用Oリングやブラックメッシュホースなど、HKSからオイルクーラー補修パーツ各種が発売
オイルクーラー用Oリングやブラックメッシュホースなど、HKSからオイルクーラー補修パーツ各種が発売
レスポンス
レクサス「新型“7人乗り”SUV」発表に反響多数! 「イカつカッコイイ」「欲しい」 全長5.1mで3.5リッター「V6」搭載! 後席めちゃ広い「スポーティ3列車」 米で登場
レクサス「新型“7人乗り”SUV」発表に反響多数! 「イカつカッコイイ」「欲しい」 全長5.1mで3.5リッター「V6」搭載! 後席めちゃ広い「スポーティ3列車」 米で登場
くるまのニュース
ローソン予選15番手「とにかくグリップがなくて苦労したが、それは言い訳にはならない」:RB/F1第22戦
ローソン予選15番手「とにかくグリップがなくて苦労したが、それは言い訳にはならない」:RB/F1第22戦
AUTOSPORT web

みんなのコメント

4件
  • コラムシフトが泣かせるね〜‼︎
  • フルメッキのグリルがレトロフューチャー的でなかなかイイ味出してるねえ。
    今こんなの出したら、すぐオラオラ顔とか言われちゃったりするんだろうがw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

97.0173.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

91.0178.0万円

中古車を検索
ファミリアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

97.0173.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

91.0178.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村