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充電10分で300km走行も実現間近! BMW「ノイエクラッセX」発表で自らの変革を示す

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充電10分で300km走行も実現間近! BMW「ノイエクラッセX」発表で自らの変革を示す

ノイエクラッセとは?

2023年ドイツ・ミュンヘンで行われた「IAAモビリティ2023」で、BMWはこの先の10年を見据えたコンセプトカー「BMW Vision Neue Klasse(ビジョン・ノイエクラッセ)」を発表した。一見レトロな3ボックスセダンの風貌でありながら、電動化、デジタル化、循環型社会の要素をふんだんに取り入れ、BMWが目指すビジョンを具現化したコンセプトカーになっており、先の「ジャパンモビリティショー」でご覧になられた方も多いのではないだろうか。

BMW 「ヴィジョン・ノイエクラッセ」は次期3シリーズの姿を占うデザイン・スタディだ!

もともとノイエクラッセという名は、1960年代に小型車と大型車の極端なラインアップとなっていた当時のBMWが、危機的な経営状態からの脱却を目指し開発した中型セダン「BMW1500」に対し社内で名づけられたニックネームで、直訳するならば「新しいクラス」ということになる。

後の1964年に発売された「BMW1800」からは、宣伝のために意識的にその名が使用され、この中型セダンが日常性とスポーツ性を高い次元で兼ね備えていたことから消費者の支持を集め、次第にその意味はスポーティな走りが楽しめるBMWを表すキーワードへと昇華することとなった。

その意味で「ノイエクラッセ」という名はBMWにとっては大きな意味を持つネームであり、100年に一度の変革期といわれ大きく変化を遂げようとしている現代にこそ、次のステップを示すのにふさわしい名と言えよう。

ノイエクラッセXは近未来の電動SUVモデルを示唆する

前置きが長くなったが、BMWが2023年に発表したビジョン・ノイエクラッセは、典型的なセダンタイプのボディではあったものの、そこはBMWらしく走りの良さを感じさせるデザインが施されていた。そして2024年、現代の主流タイプといえるSUVタイプのボディが与えられたノイエクラッセが発表された。それが「BMW Vision Neue Klasse X(ビジョン ノイエクラッセX)」だ。

ノイエクラッセXは、テクノロジー、サステイナビリティ、フィロソフィをスポーツアクティビティビークルセグメント(SAV)で具現化するモデルとなる。新たなアーキテクチャに初めて電動駆動を搭載したこの派生モデルは、ビジョンモデルを経て2025年からハンガリーのデブレツェン工場で量産車シリーズの生産に入る。

BMW AG取締役会会長オリバー・ツィプセは、次のように述べている。

「ビジョン ノイエクラッセXは、ビジョン ノイエクラッセとともに、今後のBMWモデルのラインアップの幅広さを示しています。ノイエクラッセは、カスタマーが求める多彩なモデルを反映しています。現在だけでなく将来も求められる、スポーティなセダンとその派生モデルから、モダンなSAVモデルシリーズに至るまで、多様性を反映しています。当社は、ノイエクラッセが自動車や具体的なコンセプトという枠組みをはるかに超えた、BMWブランドを再定義する存在であることを強調すると同時に、これまで以上にBMWらしさを打ち出していきます」

ノイエクラッセが未来のセダンについて明確なビジョンを示したものだとしたら、ノイエクラッセXは、未来のXモデルに対するBMWの据え方を描いている。それはドライバーズシートの頭上まで広がる広大なフロントガラスによる圧倒的な開放感のある室内空間や、ヘッドライトとキドニーグリルが連動した照明効果、近未来感あふれるインストゥルメントパネルなど、視覚的にわかりやすい部分にも表れているが、このビジョン ノイエクラッセXというクルマはもっと概念的な要素を示したモデルだといえる。

「駆け抜ける歓び」を磨き、電動化・デジタル化・循環型社会に対応

例えばすべてが刷新された4つの主要なコントロールユニットは、それまでのコンピューターでは個別に処理がなされていたものを、同時に動かし連携することで大幅に処理能力を向上させ、自動運転であったり、ダイナミックな運動性能の向上につなげ、BMWらしい「駆け抜ける歓び」をさらに磨いていくとしている。

SAV向けに最低地上高をより高く設けた電気自動車用アーキテクチャは、車内空間の拡大に加え、長いホイールベース、短いオーバーハングを実現している。これまでのBMW各Xモデルのエクステリアデザインを継承しながら、先進性を盛り込み近い将来のXモデルを示唆するデザインにまとめ上げている。

インテリアはデジタル化が進んでいる。再設計されたマルチファンクション付ステアリングホイール、直感的なタッチ操作機能のセンターディスプレイに加え、BMWパノラミックビジョンが、BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントの先進的なボイスコントロールと相まって、人間とクルマをつなぐ扱いやすい直感的なインターフェイスとして機能する。BMWパノラミック・ビジョンは、フロントウィンドウの全幅に主要な情報を投影する。

また、ノイエクラッセXの量産モデルでは、アップデートされたBMW 3Dヘッドアップ・ディスプレイを搭載予定だという。

ノイエクラッセXはEVとしての基本性能も新たな領域に入っている。その主要な役割を担うのは、最新の第6世代BMW eDriveテクノロジーである。改良されたe-driveユニットに加え、これまでの角形バッテリーよりも体積エネルギー密度が20%向上した新しい円形リチウムイオン・バッテリーを搭載。これを800Vへ移行したシステムと組み合わせることで、充電速度が最大30%改善し、300kmの航続距離に必要な電気をわずか10分で充電することができる。

その結果、第6世代BMW eDriveでは航続距離が最大30%延長することとなった。これにはドラッグを20%軽減させた空力性能の進化も大きく寄与している。

一方で循環型社会に対する取り組みにも余念がない。ノイエクラッセXのインテリアのために、100%植物と鉱物に由来する原料で、石油を一切使わずに製造するサーフェス用素材が開発された。これはドアパネリング下部とセンターコンソールに使用する予定である。

海洋プラスチックも初めて使用し、射出成形パーツの材料になる。廃棄漁網などから採取したこの二次原料の利用率は、特定の部品では既に30%を占める。

こうした素材と構成手法を選択することで、部品の分解が容易になりリサイクル率も高まる。サイドスカートとフロントエプロンおよびリヤエプロンの付属品も、単一のリサイクル素材を使用。この取り組みにおける新デザインコンセプトは、2021年に発表した「BMW i ビジョン サーキュラー」が示したRE:THINK、RE:DUCE、RE:USE、RE:CYCLEの原則に沿っており、リサイクル性を最適に実現するために広い範囲に単一素材を使用している。

さらに、ノイエクラッセは、生産についても新たなフェーズに入る。ハンガリーにあるBWMグループ・デブレツェン工場は、「iFACTORY」として計画と開発が行われており、2025年にノイエクラッセの量産モデルが生産を開始となるのにあわせ、世界のBMWグループ製造拠点のなかでは初めて化石燃料以外のエネルギーのみで稼働する工場になるという。

BMWは歴史上重みのある「ノイエクラッセ」という名称をあえて採用し、自らの大きな変革を表現している。同時にその変革を取り入れた量産車が、2025年には登場することが明言された。ノイエクラッセXは、BMWの新章が間もなく始まることを告げるプロローグ的な存在なのだ。

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みんなのコメント

1件
  • ********
    800Vで充電可能に設計しても、日本のCHAdeMOでは従来通りの400V充電しかできない。

    800V対応するCHAdeMO3.0は、名前こそCHAdeMOだが今のCHAdeMOとは別物で下位互換すら持たないCHaoJi。

    CHAdeMOは終わってるな。
    残念。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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