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跳ね馬の輝きは霞まない フェラーリ296 GTBへ試乗 830psのミドシップPHEV 後編

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跳ね馬の輝きは霞まない フェラーリ296 GTBへ試乗 830psのミドシップPHEV 後編

操舵感と乗り心地、回頭性の秀逸なブレンド

プラグイン・ハイブリッド(PHEV)の最新ミドシップ・フェラーリ、296 GTB。ハンドリングモードは、5段階から選べる。

【画像】最新 フェラーリ296 GTB F8 トリブートとSF90 競合のスーパーカーとも比較  全109枚

一番ドライバーに優しいウェットは、スタビリティ・コントロールが最も過敏な状態になり、ESCオフは完全な自己責任。電子制御ダンパーは、2段階の減衰力特性が与えられ、ハンドリングモードとは別に選択できる。

パワートレインとハンドリングとのモードの組み合わせは多岐に渡る。しかし、296 GTBで特筆すべきは、どのモードを選んでも素晴らしいということ。常に潤沢なパワーが直ぐそばにある。それをすべて使い切らずとも、運転に惹き込まれてしまう。

乗り心地は、ソフト側の設定で電子制御ダンパーが流暢に路面をいなしてくれる。ハード側にしても、荒れた路面での入力は大きくなるものの、我慢を強いるほどではない。

ステアリングホイールの操舵感は、切り始めで従来よりやや重さを増した。電動パワーステアリングのメリットは、その重み付けを細かく調整できるところにある。

ステアリングのレシオはF8トリブートより若干クイックで、ロックトゥロックは2回転弱。安定性が高いと感じさせつつ、切り込んでいくと爽快にコーナーへ吸い込まれていく。ステアリングの感触と乗り心地、回頭性という、秀逸なブレンドが完成している。

ピッコリーノV12と呼べるV6

さらに特別感を高めているのが、3.0LV6ツインターボ・エンジン。8500rpmがレッドラインで、高出力型のチューニングが与えられているにも関わらず、レスポンスも極めて鋭い。ターボラグが存在するのかもしれないが、駆動用モーターが穴埋めしている。

この駆動用モーターは、トラクション・コントロールの一部としても機能する。エンジンの回転数を、点火を止めたりブレーキを掛ける以上に、短時間で絞ることが可能だ。

サウンドは、等間隔の点火順序と、エグゾーストノートの高音域を中心に車内へ届けるチューブによる効果で、V型12気筒にも似ている。ピッコリーノ(小さな)V12と、フェラーリ側が表現するほど。

マーケティング的な誇張だと疑うかもしれない。だが、実際に聞いてみて欲しい。あながち、的外れではないと思うはずだ。

F8トリブートよりかさむ車重を、操縦性から感じ取れるかと聞かれたら、わからなかったというのが正直な答え。296 GTBを運転している間、軽く感じるのではなく、「重くは感じない」という印象が中心的だった。

今回の試乗車は、公道向けのモデル。より高速でサーキット・フォーカスの296も、追って登場する見込みだという。

ル・マン・マシン風の専用塗装も

サーキット用に準備されていた296 GTBには、アセット・フィオラノ・パッケージが搭載されていた。サスペンションが専用になり、軽量化され、空力特性が高められ、英国では2万5920ポンド(約401万円)が増える。

注目すべきアイテムが、マルチマティックと呼ばれるダンパー。GTレーシングカーの技術を応用した、アダプティブではないパッシブ・ダンパーだ。高速域でダウンフォースが10kg増える、フロントバンパー・エクステンションは見た目の差別化にもなる。

このオプションでは、ドアパネルはアウターパネルもインナー側も、カーボンファイバー製になる。ガラス製のエンジンカバーは、軽量なレキサン樹脂製に置き換えられる。これら合計で、15kgのダイエットにつながっているという。

加えて、タイヤはミシュランのパイロットスポーツ4Sから、ドライグリップに長けたパイロットスポーツ・カップ2Rへグレードアップされる。ちなみにサイズは、フロントが245/35Zで、リアが305/35Zだった。

一度温度が上昇すると、そう簡単にグリップを失わせることは難しい。そのかわり、すぐに減ってしまうが、296 GTBのオーナーなら気にしないのだろう。

アセット・フィオラノ・パッケージを選択した場合のみ指定できる、ル・マン・マシンを彷彿とするような専用塗装も用意された。ほかにも、選べるオプションは数え切れない。

ナチュラルな味わいを持ったPHEV

サーキットで296 GTBの実力を解き放つと、凄まじい加速力に襲われる。8500rpmへ到達させるまでもない。830psの最高出力は8000rpmで発揮される。パドルを弾くと、8速デュアルクラッチATは、まさに電光石火で次のギアを選ぶ。

バイワイヤーのブレーキも、感触は終始一定している。制動力は紛れもなく強い。

296 GTBを何より輝かせているのが、ハンドリングのバランス。ターンイン時の反応に息を呑み、その感触が大きな自信を引き出す。際立って扱いやすい。

リアタイヤは、296 GTBを大きく支えてくれている。前後左右のピッチやロールといった余計な動きを抑え込みつつ、オフスロットルできっかけを与えると、穏やかに流れ始める。

即座にパワーオンすれば、秀でたバランスを活かし、アクセルペダルの加減でテールの向きを自在に調整できる。余裕すら感じる。

従来のミドシップV8フェラーリのように、ナチュラルな味わいを持った最新の296 GTB。流麗なボディの内側には、830psを振り絞る、複雑なハイブリッド・システムを秘めている。

ミドシップのフェラーリとして、素晴らしいことに違いはなかった。冒頭のラファエル・デ・シモーネ氏への投げかけは、愚問だったかもしれない。むしろ、複雑なPHEVを見事なスーパーカーへ仕上げる、その秘訣を聞くべきだった。

フェラーリ296 GTB(欧州仕様)のスペック

英国価格:24万1550ポンド(約3744万円)
全長:4565mm
全幅:1958mm
全高:1187mm
最高速度:330km/h
0-97km/h加速:2.9秒
燃費:15.6km/L(予想)
CO2排出量:150g/km(予想)
乾燥重量:1470kg
パワートレイン:V型6気筒2996ccツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:7.45kWh
最高出力:830ps/8000rpm(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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