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新生プジョーのフラッグシップ「508」は、予想と期待を遥かに超えていた【10年ひと昔の新車】

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新生プジョーのフラッグシップ「508」は、予想と期待を遥かに超えていた【10年ひと昔の新車】

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、プジョー 508(初代)だ。

これまでのプジョー車とは明確にスタンスを変えたプジョー 508のフロントフェイス
プジョーの新たなフラッグシップ セダン(およびワゴン)となる、「508」の国際試乗会がジュネーブ モーターショーに先駆けてスペインで行われた。従来までのデザイントレンドを一新し、走りも質感もクオリティの高いものとなった。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

407と607という2つのシリーズを統合し、プジョーの新たなフラッグシップという位置づけを担うモデル。昨年(編集部註:2010年)のパリ モーターショーで発表された「508」とは、ひとことで言えばそんなキャラクターを狙ったモデルだ。

厳密には、例によってSWと名付けられたワゴンの方がわずかに全長が長いものの、407に比べて「フロントのオーバーハングは縮めてリアのそれは伸ばした」というボディの全長はおよそ4.8m。全幅は1853mm(本国仕様)で、ホイールベースはやはり407よりも10cm近く延長されている。

そんな508シリーズで興味深いのは、フロントマスクを代表とするデザインが、これまでのプジョー車とは明確にスタンスを変えた点だ。ここのところ過激なまでに大胆な表情を強めていた顔つきはグンと端正になり、よく言えばより万人向け、悪くいえば少々個性が薄い方向へと改められた。

じつはそんなフロントマスクに対する新しいアプローチは、1年前に披露をされたコンセプトカーの「SR1」で提示されていたもの。どうやら新世代プジョー車の顔つきは、この508を皮切りにこちらの方向へと舵が切られて行くようだ。

静粛性の高さとしなやかな乗り味は感動ものだった
スペイン東海岸の街、アリカンテを基点に開催された国際試乗会では、主にターボ付きの1.6L ガソリンエンジン+6速MTという仕様のセダンをテストドライブした。ちなみに日本に導入される仕様は、同じエンジンにアイシンAW製の6速ATを組み合わせたセダンとSWになるという。

走り出した次の瞬間に、まずはその静粛性の高さに驚愕した。ロードノイズは極端に小さく、エンジン音も極めて低いのだ。信号待ちでは、まるでアイドリングストップ機能が働いたかのように感じられた。実際には、そうしたメカは508では一部のディーゼルモデルにのみにしか用意されていないのだが。

次に、何ともしなやかな乗り味にも驚かされた。407の場合、そこに「猫足」という言葉を使うには抵抗があったが、この508はまさに猫足そのもの。一瞬、ボディ骨格を共有するシトエロン C5からハイドロサスペンションまでをも譲り受けてしまったのかと、そんな錯覚をしそうになるほどだ。

インテリア各部の見た目や質感も、もはやプレミアムを謳うドイツのライバルメーカー各社のモデルに見劣りしない。つまり端的に言ってしまえば、プジョー 508というクルマは「予想と期待を遥かに超えた1台」だったのだ。

■プジョー 508 グリフ(日本仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4790×1855×1455mm
●ホイールベース:2815mm
●車両重量:1520kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:115kW<156ps>/6000rpm
●最大トルク:240Nm<24.5kgm>/1400-3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF
●JC08モード燃費:11.0km/L
●タイヤ:215/55R17
●当時の車両価格(税込):414万円

[ アルバム : プジョー 508(初代) はオリジナルサイトでご覧ください ]

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