連載/石川真禧照のラグジュアリーカーワールド
フェラーリがV型12気筒エンジンをフロントに搭載したスポーツカーを初めて市販したのは1946年のことだった。「166インター」という、そのスポーツカーのV12エンジンは、排気量が2ℓだった。F1用の1.5ℓ V12エンジンを拡大し、市販のスポーツカーに搭載した。わずか2ℓのエンジンなのに12気筒を採用。フェラーリはブランドが始まった時からスーパーなクルマを造っていた。
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V12エンジンを初めて搭載したフロントエンジン車のオープンカーは1948年に誕生した。「166MM」だ。以来、1968年の「365GTS/4」まで、フェラーリはフロントエンジンで屋根が開くスポーツカーを送り出してきた。しかし1973年に「デイトナ」が生産を終了すると、その後、V12のフロントエンジン、オープンスポーツは造られなくなってしまった。それ以来、V12エンジンをフロントに搭載した2シーターは20年以上市販されなかった。オープンルーフのスポーツカーはV8、ミッドシップモデルだけだった。
2000年代に入り、ようやくV12のフロントエンジン、オープンスポーツが発売されたが、それも限定モデルに近かった。フェラーリ「812GTS」は最後の量産フロントV12、2シータースポーツ「365GTB/4」が登場してから50年という節目で登場したメモリアルモデルになる。
ベースになったのは2017年2月のジュネーブショーでデビューした「812スーパーファスト」。V12は排気量6.5ℓで800PS、718Nmという性能で、フロントミッドに搭載されていた。今回の「812GTS」もそうだが、長いフロントボンネットを開けるとV12エンジンは運転席にめり込むように、後方にマウントされているのがわかる。ボンネットの前半分はクラッシャブルゾーンのような空間になっている。
「スーパーファスト」との違いはルーフが開閉すること。開閉は室内のスイッチを操作すると、20秒もかからず開閉する。また、収納時はリアのトランク部にルーフが2分割されて、折り畳まれる。
素晴らしいのはルーフの収納の有無にかかわらず、トランクスペースが確保されていること。トランクの中の高さは約33cmあり、奥行きは約65cm、左右幅は85~127cmもある。実用性は意外と高い。ルーフは走行中でも開閉可能だ。
早速、ルーフを開けて走ってみた。オープンカーといっても、リアウインドウやリアピラー部は固定されているので、タルガルーフに近い。街中では斜め右後方がピラーやボディー後部のフィンによって遮られ、視界は良くないところが気になった。これを除けば、フロントフェンダーの峰は左右ともに見えるので、車幅はつかみやすく、街中の運転も不便は感じることはなかった。
エンジンは、ハンドルスポークに内蔵されているボタンを押して始動させる。瞬時に、V12、6.5ℓの自然吸気エンジンが目覚める。センターコンソールの「A」ボタンとパドルレバーでDレンジを選択してアクセルオン。3000回転以下では、比較的おとなしいサウンドをV12エンジンは発する。信号で停止して、ブレーキから足を離しても7速ATはクリープがない。
ドライビングモードは、ハンドルスポークにあるダイヤルで「RACE」「SPORT」「WET」から選択する。街中では、V12エンジンは60km/h、1500回転で7速に入ってしまうほど、低回転域でのトルクが太い。ちなみに100km/h巡航は7速2200、6速2800、5速は3800回転。と、こういうドライビングなら「812GTS」は街中でも十分使えるジェントルな2シーターオープンスポーツなのだ。
ちなみに、サーキット育ちの本能は4000回転以上で甦る。0→100km/hの加速は、手元のストップウォッチで3秒後半を記録した。この時V12、6.5ℓエンジンは9000回転まで回った。ドライバーは、目の前のハンドル頂部に内蔵されたインジケーターが1つ点灯するとエンジンが6000回転をオーバーしたことが確認できる。もう1つ点灯すれば7000回転オーバー、もうひとつで8000回転オーバーだ。
「812GTS」の楽しさ(恐ろしさ!?)は、直進時での加速ではない。ドライバーはホイールベースの中心より後方つまり後輪に近いところに座る古典的なポジションだ。「812GTS」はフロントエンジン、後輪駆動。800PS、718Nmが全て後ろの2輪に伝わる。その動きがドライバーのシートを通して体感できるのだ。しかも、そのパワーもトルクもハンパない威力を誇っている。スポーツフェラーリの真髄は、V12エンジンのFRモデルでこそ味わえる。
幸いなことに、フェラーリの電動パワーステアリングは、コーナーでグリップが限界近くになったり、コーナー脱出時にアクセルを踏みすぎてオーバーステアになったりすると、ハンドルの重さを変えてドライバーに注意を促してくれる。これも、この先進安全デバイスのおかげで、4523万円のスーパースポーツカーを板金修理の危機(!)から守ってくれる秀逸機能だ。
ミッドエンジンのフェラーリも良いが、伝統的なFR、12気筒のフェラーリを乗りこなすのも、スポーツカー冥利に尽きる。人生一度はフェラーリに、と思っている方にぜひ乗っていただきたい。
■関連情報
https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/812-gts
文/石川真禧照 撮影/萩原文博 動画/吉田海夕
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みんなのコメント
帰ってくるまで、クルマが心配でしかたないかも。
羽田空港には、VIP専用の駐車場はあるけどね。