ヴァルキリーでル・マンのハイパーカー・クラスへ
アストン マーティンは、2025年のル・マン24時間レースへハイパーカー・クラスで参戦すると発表した。トヨタやプジョー、フェラーリの新たなライバルとして、サルト・サーキットへ返り咲くことになる。
【画像】アストン マーティンがル・マン復帰 ヴァルキリーとヴァンテージ 最新DB12とDBXも 全108枚
同社は、12気筒エンジンを積んだマシンでル・マンへ参戦する意向を2019年に発表していたが、計画は凍結された状態にあった。だが2022年に入り、同社会長のローレンス・ストロール氏が、再びその可能性へ触れていた。
そして今回、英国シルバーストーンで開かれた発表会で、彼は次のように述べた。「耐久レースのトップカテゴリーへ戻ることで、お客様やコミュニティと一層深い結び付きを構築できます。ル・マンでの過去の成功が、ブランドへの情熱を生んできたのです」
コスワースが開発したヴァルキリーのV12エンジンの将来について、同社レーシング部門の技術者、アダム・カーター氏は以前の取材に対し、「絶対にないとは明言できません。ですが、現時点では何も浮上していません」。と答えていた。
「わたしもレーサーです。これまでの人生、すべてがそうでした。レースは、自身の血の中に流れています。アストン マーティンが伝えようとするメッセージへ合致するカテゴリーで、レースへ加わるべきだと考えています」。とも。
一方でカーターは、ハイパーカーの開発が内燃エンジンからの脱却やバッテリーEVの開発計画へ、大きな影響を与えることも付け加えていた。
6.5L V型12気筒は680psへ制限
参戦するマシンは、当初からル・マンを念頭に設計されたサーキット専用モデル、ヴァルキリー AMRプロをベースに開発される。FIA世界耐久選手権(WEC)と、北米のIMSAスポーツカー選手権(IMSA)の両方へ参戦可能な、6台が作られるという。
ドライバーの選考プロセスは、2023年10月中に始まるという。現在のアストン マーティンのF1ドライバーは、その中に含まれないそうだ。
マシンには、公道用ヴァルキリーとは異なり、ハイブリッド・システムは搭載されない。既に開発テストがシルバーストーンで始まっており、エンジンは自然吸気の6.5L V型12気筒。ル・マンのLMhカテゴリー規定に則り、最高出力は680psへ制限される。
シャシーはカーボンファイバー製。量産車をベースとしたル・マン・プロトタイプは、歴代初になるという。
「ヴァルキリーが、スポーツカーレースのトップカテゴリーへアストン マーティンを連れ戻してくれます。パートナーとともに、可能性を秘めた高性能なレースカーを生み出せると、確信を持っています」。とカーターは話す。
ヴァンテージのGT3とGT4マシンも
チームを運営するのは、アメリカを拠点に置くハート・オブ・レーシングで、デイトナ24時間レースやセブリング12時間レースへの出走も予定されている。アストン マーティンは、GTからプロトタイプ、F1まで幅広く参戦する自動車メーカーになる。
ル・マン仕様のヴァルキリーの開発には、F1で獲得した複雑な知識が反映されると、同社は主張する。ストロールによれば、最終的には市販車にも展開されるとのこと。
さらにアストン マーティンは、2024年シーズンに、新しいヴァンテージのGT3マシンとGT4マシンを提供する計画も発表している。2024年のLMGT3規定も含めて、GTレギュレーションへ完全に準拠するようだ。
GT3マシンには、現在のヴァンテージと同じ4.0L V8ツインターボエンジンが載る。だがGT4には、次期ヴァンテージ用の新ユニットが搭載される。
この新しいV8ユニットは、SUVのDBXとDBX707との関係性に近いという。大幅に一新されるわけではなく、より高いパワーを求めた進化版になるようだ。
モータースポーツと縁の深いアストン マーティンだが、ル・マン24時間レースで総合優勝を掴んだのは、過去に1度しかない。ロイ・サルバドーリ氏とキャロル・シェルビー氏のペアによる、1959年のDBR1以来となる栄光は、いつもたらされるだろうか。
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