6月21日(日)に仮想空間のハンガロリンクで開催されたWTCR世界ツーリングカー・カップの新eシリーズ『Pre-season Esports WTCR Championship』第2戦は、レース1をマット・オモラが、レース2をネストール・ジロラミが制し、両レースとも2位にはチームメイトが入り、ヒュンダイとホンダがそれぞれワン・ツー・フィニッシュを飾っている。
前哨戦となった全4ラウンドのeスポーツ・イベントに加えて、6月14日から7週間にわたって全6戦のPre-season Esports WTCR Championshipを開催中のWTCRだが、その第2戦はeスポーツ大国のハンガリー出身者がホームとするハンガロリンクが舞台となった。
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その予選で最速を記録したのは、ここ数戦のeシリーズでも適応力を披露して結果を残してきたエステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)で、トップ5シュートアウトを制してポールポジションを獲得した。
しかし開幕戦ザルツブルクリンク同様にレース1はオープニングラップから荒れた展開となり、こちらも開幕戦で速さを見せた新型『CUPRA Leon Competición TCR(クプラ・レオン・コンペティションTCR)』に乗る2018年TCRヨーロッパ王者のミケル・アズコナ(CUPRA Racing)が好ダッシュを見せ、ターン1で首位グエリエリのインサイドへ飛び込んでくる。
新型レオンをグラスエリアに落とすほどのアクションを見せたアズコナに対し、回避行動をとったグエリエリだが、その甲斐なく2台は接触。代償として双方ともにポジションを失う展開となってしまう。
これで労せず首位を手にしたのは2番グリッドにいたオモラ(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing Team)で、その背後には僚友である現WTCR王者ノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Hyundai N LUKOIL Squadra Corse)が続き、ニールス・ラングフェルド(アウディRS3 LMS/Comtoyou Team Audi Sport)、アッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)のオーダーに。その背後までドロップしたグエリエリは、シケインでタッシをパスして4番手でコントロールラインに戻ってくる。
12分間の決勝はそのまま膠着状態となり、終盤に向けて先頭集団各車の間隔が詰まっていくものの、決定的なオーバーテイクには至らず7周のチェッカー。オモラとミケリスのBRCヒュンダイ勢がワン・ツーを決め、3周目にラングフェルドを仕留めていたグエリエリが3位カムバックでの表彰台となった。
「確かにここは僕の地元で、ハンガロリンクは大好きなコースだ。ターン1での展開はとにかく幸運で、エステバンとミケルの隙間を行くことができた」と喜びを語ったハンガリー出身のオモラ。
「ノルビ(ミケリスの愛称)とはギャップを作りたかったんだけど、彼は最後まで地獄のような責めを続けてきた。そう、ここは彼にとってもホームだからね。だから僕は集中してミスを犯さず、落ち着いてフィニッシュすることだけを考えたよ」
続くレース2はリバースポールからスタートしたオーレリアン・コンテ(プジョー308 TCR/DG Sport Compétition)が、ジロラミ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)を従えて無事にターン1に進入したものの、その背後ではまたもドラマが発生する。
4番グリッドだったベンス・ボルディズ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/Zengő Motorsport)は、タッシにヒットされたCyan Racing Lynk&Coのヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR)とクラッシュ。さらにタッシは同チームのジロラミにも接触するなど、危うくチームメイトのレースを台無しにしかねない動きを見せる。
しかしこれを落ち着いて処理したジロラミは、そのまま首位コンテに並びかけ、ターン13でオーバーテイク。この隙を突いたタッシも、ジロラミを追走して最終コーナーで2番手に浮上する。
その背後からは逆襲のエルラシェールが迫り、2周目のターン1で3番手へ。そのままタッシとのバトルを展開すると、続く周回でタッシのシビックにトラブルが発生し5番手へと後退。エルラシェールとしては不完全燃焼のまま、バトルの相手がアズコナへと移っていく。
すると5周目に首位ジロラミに追いついた2台は、そこから熾烈なバトルを展開し、6周目には数コーナーにわたってラインをクロスさせながら仕掛けたエルラシェールがついにトップランを手にする。
しかし直後にハーフスピンを喫したLynk&Co 03 TCRは、再びジロラミのシビックに道を譲ることになり、その背後にはトラブルから回復し、ボルディズも仕留めて復活のタッシが戻ってくる。
ファイナルラップでもターン5で隙を伺うなど、チームメイトバトルを繰り広げた2台のシビックだが、ポジションを入れ替えるには至らず。ジロラミが仮想空間での初優勝を決め、タッシが続いてALL-INKLのホンダ勢がワン・ツーを達成。エルラシェールとボルディズを抑えたアズコナが3位に入った。
「本当に信じられないほどすごいレースで、昨年のブタペストを思い出させる内容だったね」と、激戦を制した喜びを語ったジロラミ。
「正直、ポールを争うペースがなかったから、予選では(リバースポールを想定し)8~10番手を狙い9番手になった。決勝でもポジションを維持するのは難しいだろうと思っていたが、ヤンはとてもフェアだったし、アズコナとの接触もOKだった。アッティラとのファイナルラップは本当にタフだったけど、良いレースができたと思う」
この2レースにより、オモラがグエリエリを抜いて5ポイント差で選手権首位に浮上した『Pre-season Esports WTCR Championship』、続く第3戦は6月28日(日)に仮想スロバキアリンクを舞台に争われる。
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