一般的には重心高が低いほうが運動性能は高まるが……
クルマの車高を下げるメリットは何か? スーパーカーやレーシングカーといったクルマの影響を大きく受けて育った世代には、「カッコいいクルマ=車高が低い」という公式が、骨の髄まで刷り込まれている。カウンタック=全高1070mm、ロータス・ヨーロッパ=全高1067mm、ランチャ・ストラトス=全高1114mm……。
「低いクルマはカッコいい」気が付いたら、そういう価値観に支配されていた人にとって、全高の低いクルマの魅力には抗えないものがある。つまり、サスペンションをいじって、ローダウン=車高を落とす目的の大半は、ルックス重視のドレスアップといっていい。しかし、レーシングカーの車高が低いのには、当然機能的な理由があるからにほかならない。
それは重心高を下げるためだ。コーナリングの際、クルマはロールして外側のサスペンションは大きく沈み、アウト側のタイヤに荷重がかかる。その反面、イン側のタイヤは浮き気味になり、接地性=グリップ力は低下する。コーナリングの限界を高め、コーナリング速度を高めるには、外側二本のタイヤだけでなく、内側の二本を加えた、四つのタイヤのグリップ力の合計値を大きくする必要があるのだが、簡単にいうと、重心が低くなればなるほど、コーナリング中にインサイドのタイヤの接地性が高まり、グリップ力をより有効に生かせるというわけ。
ロールする力=ロールモーメントは、「重心より上の部分の高さ×ロールセンターから重心までの距離」で決まる。仮に、クルマの重心を全高の半分の高さと考えれば、全高1235mmのマツダ・ロードスター(ND)の重心は、617.5mm。全高1950mmのトヨタ・ヴェルファイアなら、975mmになって、ロールモーメントもざっと1.5倍の違いがあることになる(ロールセンターの位置も同じだと仮定した場合)。
ロールモーメントが小さければ、左右の切り返しなどが安定して、俊敏に行え、揺り返しも少なくできるので、運動性能が向上するし、前記のように四つのタイヤのグリップ力が有効に使える。同じことは、ブレーキ・加速時にも言えて、重心が低いと加減速時の荷重移動量が少なくて済む。
つまり、レーシングカーが積極的に車高を低くするのは、コース一周の平均車高を下げることで、四つのタイヤのグリップ力の総和を増やすため。一方で、車体の形状ではなく、サスペンションだけで車高を下げようとすると、必ずサスが固くなるという弊害も出てくる。
一般のローダウンのように車高を下げる=サスペンションのストローク(自由長)を減らす手法だと、50mmのストロークを25mm減らして車高を落とした場合、単純計算でバネレートは2倍必要になるので、乗り心地は悪くなる。固いアシは、接地性が悪くなるので、サーキットのようなフラットな路面でない限り、グリップ力はマイナスに……。
またローダウンは、ロードクリアランスが減るので、ギャップなども越えられなくなる。アーム類の角度なども、車高を落とし過ぎると理想的ではなくなるので、車高は落とせば落とすだけいいというものでもない。
そういう意味で、カスタマイズで車高を落とすときも、ノーマルより全高でマイナス30mmぐらいのダウンで、保安基準適合する最低地上高90mm以上を確保するのは、公道を走るうえでの前提になる。
余談だが、車高を落とすと空気抵抗も減るような気がするが、ロードクリアランスが減るだけで、ボディの前投影面積はほとんど変わらないので、その効果はあまり期待できない。むしろ、フロアと路面の間が狭まることで、ボディ下面を流れる空気の粘性抵抗が増えて、ドラッグは増える可能性もある。
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