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メルセデスF1、チーム内の多様性向上プロジェクトで“大いなる進展”も「最初の一歩に過ぎない」と兜の緒を締める

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メルセデスF1、チーム内の多様性向上プロジェクトで“大いなる進展”も「最初の一歩に過ぎない」と兜の緒を締める

 メルセデスF1は2020年12月に、「アクセラレート25・プログラム」というチームの多様性向上に向けた5ヵ年計画を開始した。

 2025年末までに、チームへ新たに加わるスタッフのうち25%以上を過小評価グループ(もしくは低代表グループ)から積極的に雇用することを目指すこのプロジェクト。開始から1年以上が経過し、メルセデスはこのプロジェクトに関して「有望な進展があった」とチームのCSRレポートで発表した。

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 過小評価グループとは特定分野における少数集団のことを差し、F1が位置するエンジニアリングやSTEM(科学、技術、光学、数学)分野では、女性やアフリカ系を含むエスニックマイノリティがそれに該当する。

 メルセデスによると、プロジェクト初年度は新入社員の38%が過小評価グループ出身者で、目標の25%以上を達成したという。女性スタッフの比率は12%から14%に、エスニックマイノリティに属するスタッフの比率は3%から6%へ上昇した。

 ただ、F1の予算制限(ファイナンシャル・レギュレーション)によりチーム内の技術スタッフの数に限りがあることから、新入社員の多くはチームが望んでいたエンジニアリングやSTEM分野ではなく、ビジネスサポート部門に配属されることになったという。

 チーム代表のトト・ウルフは、これまでの進展に満足しているとしながらも、まだ解決すべき課題が残されていると語っている。

「アクセラレート25・プログラムの初年度に、我々は多様性と包括性に溢れたチームへの発展に向けて大いなる一歩を踏み出した」とウルフは言う。

「チーム内の細かい調査や優れたパートナーの指導により、STEM教育や(エンジニアの)キャリアへの道を開き、将来的にチームに加わることを検討してもらえる人材とのパイプラインを築く旅路の一歩目を踏み出すことができた」

「過小評価グループ出身のメンバーが、わずかではあるが確実に増加したことは、我々が前進していることの証だ。しかし、これは長期的な取り組みであることを強く意識し、我々は最初のステップからその先へ進んで行きたいと考えている」

 メルセデスF1の人材部門トップ(CPO)を務めるポール・ミルズもウルフ代表と同様に、プログラム初年度は成功したものの、これは単なる始まりに過ぎないと考えている。

「トレーニングやワークショップ、ネットワーキングにメンタリングなど、様々なイベントへ自主的に参加してくれた多くのチームメイトをとても誇りに思っている」とミルズは言う。

「チームは、過小評価グループと関わりながら学び、STEM分野の専攻を考えるキッカケになるよう、積極的にチャンスを掴んできた」

「我々は良いスタートを切れたが、まだ課題はたくさん残されており、我々のチームとスポーツをより包括的かつ多様性に溢れたモノにする旅路の始まりに過ぎない」

 アクセラレート25・プログラムの他にも、メルセデスでは機会均等を目的とした「アクセラレート・インクルージョン(包括性推進)・ワークショップ」などの社内教育プログラムを実施するなど、既存スタッフの多様性へ対する問題意識向上への取り組みが進められてきた。

 また、現在チームには「多様性・平等性・包括性フォーラム」が設けられている。過小評価グループに属する25人のスタッフが率先してフォーラムの運営を行ない、今後重点を置くべきポイントについての会合を開催している。

 その他にも、エンジニアの人材育成に向け、メルセデスF1はイギリス・ロンドンのマルベリー学校法人とともに「マルベリーSTEMアカデミー」を設立し、7歳から18歳の生徒180人を対象にSTEM分野の職業体験プログラムを実施している。

 若い女性のSTEM分野での活躍を奨励する「ステムメッツ(Stemettes)」とのパートナーシップを通じて、34人のSTEM分野に強い関心を持つ女性にメルセデスF1のスタッフが直接メンタープログラムを実施。ステムメッツでは、履歴書や質疑応答のワークショップや模擬面接などの支援プログラムが実施されている。

 そしてメルセデスF1は、障害者が職場で直面しうるあらゆる障壁を取り除くことを目的とした「ビジネス障害フォーラム」のメンバーでもあり、イギリスの黒人・少数民族エンジニア組織(AFBE-UK)に所属する工学部生のファクトリー訪問をサポートしている。

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