■パジェロ復活は「パジェロスポーツ」国内導入か
このところ自動車メディアを中心に盛りあがっている三菱「パジェロ」復活論。果たして本当にパジェロが復活するのかが明らかになるまでにはもう少し時間が必要ですが、筆者はその説に対して半信半疑なのが正直なところ。
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「パジェロではなく『パジェロスポーツ』のことではないか?」と思っています。
ところでパジェロとは1982年に初代がデビューし、2021年夏をもって生産が終了したSUV(当初はクロスカントリーカー)のこと。
デビュー当初は「快適性も重視した乗用車ライクなオフローダー」という位置づけ(背景として当時はもっともっとハードなオフローダーが一般的)だったパジェロですが、2000年代になると世の中にはモノコック構造でオンロード重視の軟派なSUVが増加。
そんな社会環境の変化のなかでパジェロは本格オフローダーの証といえる「ラダーフレーム構造」を貫いたこともあって、乗用車ライクなモデルだったはずがモデルライフ後半は気が付けば自他ともに認める「乗用車ライクなSUVとは一線を画する本格オフローダー」へと変化していったのだから面白いですね。
そんなパジェロは2019年に日本向けの販売を終了。その後2021年には海外向けも消えてしまったわけですが、実は海外には“パジェロ”と名の付くモデルがあります。それがパジェロスポーツです。
日本でも新型のデリバリーが始まったピックアップトラック「トライトン」(の従来型)をベースに作られたフレーム構造のSUVで、ポジションとしてはハイラックスをベースに作られたトヨタ「ハイラックスサーフ」とかダットサントラックから派生した「テラノ」のようなもの。
軟派なSUVとは違う、本格オフロード性能を備えたトラック派生タイプのSUVなのです。かつては日本でも「チャレンジャー」として販売していました。
そんなパジェロスポーツは、本国ともいえる生産工場を置くタイで今年3月にマイナーチェンジを実施し2024モデルへ進化したばかり。3月末に開催された「バンコク国際モーターショー」でお披露目されました。
トピックはなんといっても新エンジンの採用で、先だって新型トライトンに搭載された新開発の4N16型2.4Lディーゼルエンジンを組み合わせたのです。
2019年から最新のダイナミックシールドをフロントに採用したデザイン(今回のマイナーチェンジでもブラッシュアップされた)はアグレッシブかつスポーティで、筆者も素直にカッコいいと思えるもの。日本でもSUVブームが盛り上がり、ますますSUVのシェアが広がる今なら日本市場への再復活もアリでしょう。
気になるタイミングはいつか。あくまで筆者の予測ですが、フルモデルチェンジして次期型が登場した時と考えます。先日はラダーフレームからエンジンまですべてを刷新した新型トライトンが日本再デビューを果たしましたが、それはエミッション性能や先進安全機能まで含めて新型トライトンのメカニズムが日本市場へ適合する開発が行われたことを意味します。
次期型パジェロスポーツがそんな新型トライトンをベースに作られることは間違いなく、すなわち車両側としては日本で販売することに問題ないでしょう。
ただ、次期パジェロスポーツの登場は“近いうち”ではないかもしれません。なぜなら先日のマイナーチェンジで“新型エンジン”へと載せ替えたばかりであり、一般的に考えてそれは「次のモデルチェンジまでまだ時間がある」ことを意味するからです。
この先、海外でパジェロスポーツがフルモデルチェンジしたら、その時は日本上陸が近いのではと筆者は考えます。
筆者が「パジェロ復活論」に対して「それはパジェロスポーツでは?」と思う理由。それは、三菱自動車の状況を「パジェロとパジェロスポーツの両方が必要か?両方を持てるだけの体力があるか?」という2つの面から見たときに「YES」と即答するのが難しいからです。
日本市場へ復活するとしても、それは「生粋のパジェロではなく、パジェロスポーツ」と考えるのが自然ではないでしょうか。
もしくは、次期型パジェロスポーツは新型トライトンのフレームやパワートレインを使いつつ、リヤサスペンションを現行モデルの3リンク式から最終型のパジェロと同じマルチリンクの独立式として「パジェロ」と改名するのも一つの手かもしれません。
それなら「パジェロ」を名乗ってもいいと考えますが、いかがでしょう。ただし、タイからの輸入車として国内へ導入する場合、タイバーツに対しても円安となっている現在の為替相場だと600万円オーバーは確実でしょう。
そうなるとトヨタ「ランドクルーザー250」などライバルとの価格競争力で難しくなるのも頭の痛いところ。国内に導入される(かもしれない)頃までには、タイバーツに対する円安も収まることを祈らずにはいられません。
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