原宿では「ありかも、BYD Park!」を4月15日(月)まで展開中
中国発のEV大手BYDは2024年4月12日(金)から、長澤まさみさんを起用した新TVCMを全国で放映開始しました。それと同時に、直接BYDのクルマに触れられる「ありかも、BYD Park!」を東京・原宿で15日(月)まで展開し、さらに「今だけ、0金利キャンペーン」もスタートしています。AMWではBYDオートジャパンの東福寺社長にインタビューし、日本市場に本格上陸して1年あまり経ったこのタイミングで過去最大の攻勢に出た意図と背景を聞いてみました。
中国でEVメーカーが爆増! ただし生き残れるのはたったの3社!? どうしてメーカーが乱立しては消えていくのでしょうか【Key's note】
「ありかも、BYD!」をキーワードに多彩なブランドキャンペーンを展開
すでに公共交通バスには多くのEVを提供していたBYDは、乗用SUVの「ATTO 3(アットスリー)」を2023年1月31日に日本で発売。同年9月にはコンパクトSUV「ドルフィン」も発売し、BYDのEVの2023年国内販売実績は1446台を記録した。すでに正規ディーラーは本稿執筆時点で23店舗、開業準備室を含めた拠点は51を数え、2025年末までに正規ディーラー100店舗の展開を目指している。今年3月からは、全国約30カ所を巡る「Hello! BYD Caravan」を実施中で、ユーザーがBYDを体験する機会を拡大している。
そんなBYDが、女優の長澤まさみさんをイメージキャラクターに起用して新CM「ありかも、BYD! 出会い」編と「ありかも、BYD! 安全・信頼」編を2024年4月12日から全国で放映スタートした。
同時に、東京・原宿のThe Iceberg(ジ アイスバーグ)において4月10日(水)~15日(月)にかけて「ありかも、BYD Park!」を展開。ATTO 3、ドルフィン、そして6月末の発売が見込まれている上級セダン「シール」を展示し、BYDのEVに直接触れたりBYDグッズをもらえるだけでなく、日替わりゲストがEVのある暮らしについて語るトークイベント「Hello! e-TALK!」も行われる。
これらブランドイメージの普及策にくわえて、BYD全車を対象とした「今だけ、0金利キャンペーン」を4月1日から期間限定(車両登録日6月28日まで、ローン申込日6月30日まで)で実施している。これにより、ATTO 3であれば約22万円、ドルフィンでは最大約20万円ほど、金利分がオトクになるという。
日本を走るBYD車がまもなく2000台!
そこでBYDオートジャパン代表取締役社長の東福寺 厚樹氏に、このタイミングで長澤まさみさんのCMをスタートした理由を聞いてみた。
「“Hello! BYD Caravan”という全国30カ所での試乗キャンペーンを3月頭から開始しており、好評をいただいています。試乗を終えた方からは、車種も大事なのですが、BYDというブランドを知らなかったというお声を多くいただきました。そこで、もっとBYD自体を知っていただきたいなと、長澤まさみさんをCMに起用したという次第です。いろんな生活シーンの中でCMを見たお客さまが、“EVって意外と簡単かも”、“もしかしたら自分の家でも使えるかな”と思っていただけるようなイメージを醸し出す映像になったのではないかと思っております」
さらに、まもなく日本国内でのBYDのEV販売台数は2000台に到達し、日本の路上を2000台のBYD車が走っている状況となる。これが3000台になると、「今日見た」「昨日見た」と認知されるようになってくるため、身近な生活シーンでのBYD車との接触と、長澤まさみさんのCMが結びつくことで、BYDというブランドのイメージが定着することを目指すというわけだ。
EV補助金の減額ショックを跳ね返す魅力を発信していく
その一方、4月から「今だけ、0金利キャンペーン」を開始した背景には、EV補助金をめぐるショッキングな出来事があったようだ。2023年度はEV購入時の補助金として、ATTO 3で85万円、ドルフィンが65万円支給されていたのだが、3月19日に経済産業省が発表した2024年度の政府補助金額では、両モデルとも35万円に減額されてしまったのだ。
「ここまで下がるのは予想外だったというのが正直なところです。先日、政府の補助金の委員会から計算根拠が送られてきましたので、その中身をひとつひとつ精査して、何が足りなかったのか、どこを改善すればどこまで戻せるなというのは、だいぶ見えてきました。これからできることをどんどん急いで進めていきますが、少なくともこの3カ月間は、今の35万円という補助金は変わらないかなと」
「我々としてはこの0金利キャンペーンで、実額ベースで20万円前後を引こうと。それでもまだ少しビハインドがあるのは事実なのですが、実際の支払総額ですとか、主要装備を見ていただいたうえで比較していただけば、まだまだBYDには十分な競争力があると我々も思っていますし、それをお客さまのニーズに合わせてご説明していけば、ご納得いただけるようなクルマであり、また販売条件になると思っております」
政府の補助金については7項目からなる200点満点で130点以上だと最高額の85万円が支給される仕組みとなっている。年度途中でも、補助金の低下分をリカバリーしていく目途はあるようだ。
「サイバーセキュリティに関する部分がまだ我々は6月以降、認証追加していく項目ですので、確実に6月7月で認証をしていけば、獲得できるポイントになっています。次の政府補助金の審査会のときに間に合えば認めていただけるポイントですので、たぶん5万円とか10万円ですが、年度途中でもできることをやっていけば、少しずつリカバリーは可能だと思います」
* * *
もちろん補助金はメーカー側にとっても消費者にとっても重要な要素ではあるが、BYDブランドそのものが認知され、商品であるEVの魅力を知ってもらうことが何より重要であることに変わりはない。現在は全国51カ所の拠点を、新型「シール」発売予定の年央には70程度まで増やす見込みがついているとも語ってくれた東福寺社長。
あえて旧来のガソリン車でたとえるなら、BYDが日本で乗用車販売をスタートした2023年が「1速」、2024年度は「2速にシフトアップしてベタ踏み」というべき勢いとなりそうだ。
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