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ハイブリッドを引っ提げて「レクサスLC500」がスーパーGTに参戦! プリウスからスイッチしたaprの新型マシンはポテンシャルの塊だった

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ハイブリッドを引っ提げて「レクサスLC500」がスーパーGTに参戦! プリウスからスイッチしたaprの新型マシンはポテンシャルの塊だった

 この記事をまとめると

■スーパーGTのGT300クラスにLC500hが出走中だ

これがホンダの次期型戦闘機! 2024年のスーパーGT参戦マシン「シビックタイプR-GT」を初公開

■大型なボディながらプリウスよりもポテンシャルが高いと期待されている

■デビューからの成績もよく今後の活躍に期待したいマシンだ

 今年からLC500のハイブリッドモデルがレースに出場!

 2023年もスーパーGTには同シリーズでしか見られないニューマシンが登場。なかでももっとも注目を集めている1台がGT300クラスに登場した「LC500h」だと言えるだろう。

 GT300クラスで活躍するaprが、2023年に合わせて31号車のベース車両をGRプリウスPHVからLC500hにスイッチしており、「apr LC500h GT」を開幕戦の岡山に投入。第2戦の富士では予選で2位につけるなど、素晴らしいパフォーマンスを披露している。

 ちなみに、LC500としては2017年から2019年にかけてGT500クラスでも活躍しており、2017年に平川亮選手/ニック・キャシディ選手がドライバー部門でチャンピオンに輝いたほか、LEXUS TEAM KeePer TOM’Sがチーム部門を制覇。さらに、2019年には大嶋和也選手/山下健太選手がドライバー部門、LEXUS TEAM KeePer TOM’Sがチーム部門でチャンピオンに輝くなど、猛威を発揮したことは記憶に新しいが、GT500クラスで活躍した同モデルはTCDが開発したマシンで、2000ccの直列4気筒・直噴ターボエンジンが搭載されていた。

 当然、ハイブリッドシステムは搭載されていなかったが、2023年にデビューしたLC500hはaprが車体、TCDがエンジンを開発したまったく別のマシンで、ベース車両の名前からもわかるようにハイブリッドシステムを搭載するほか、エンジンも5400ccのV型8気筒を搭載。まさにGT300専用モデルとして開発されているのだが、同マシンはどのような特徴を持っているのか?

 というわけで、8月4~6日に開催された第4戦の舞台、富士スピードウェイでマシンの開発を行ったaprを直撃。監督兼エンジニアの金曽裕人氏にLC500h GTの特徴をうかがってみた。

 ——aprさんと言えば、2012年にZVW30型、2016年からはZVW50型を投入するなど、2世代のプリウスをGT300クラスに投入したほか、2019年からはGRプリウスPHV でGT300クラスを戦ってきましたよね(https://www.webcartop.jp/2021/09/760590/0/)。当然、ベース車両のモデルチェンジに合わせてGTカーも新型のZVW60型になるのかなぁ……と注目していたのですが、なぜ、プリウスを投入しなかったのでしょうか?

 金曽氏:本当はスポーティになった新型のプリウスでスーパーGTに参戦したかったんですけど、半導体の問題もあってベース車両の販売が遅延しましたよね。チームとしてもレーシングカーを開発するために時間が必要になりますが、セールスのタイミングが合わなかったのでプリウスでの参戦を見舞わせることになりました。

 ——なるほど。そこでプリウスを諦めてほかのモデルを選ぶことになるわけですが、なぜ、LC500hになったのでしょうか?

 金曽氏:チームとしてはトヨタ車両のハイブリッドを磨きたい……というテーマがあるんですけど、プリウスが時間軸でダメ、あとはRCのハイブリッドも検討したんですが、RC FとしてGT3車両があるので、そこでLC500hが候補に上がりました。もともとLC500hはディメンションとしても興味があったし、空力的にも良さそうだったので、これがレーシングカーになればいいクルマができるだろうという思いもあったので、LC500hをベースに開発することにしました。

 ——ちなみにGT車両のエンジンは5400ccのV型8気筒で、ハイブリッドシステムが搭載されていますが、エンジンとハイブリッドシステムはGRプリウスPHV GTと同じパッケージなのでしょうか?

 金曽氏:ある程度、コンバートしていますが、LC500hはバランスのいいクルマで、もともとV型エンジンを搭載していますよね。プリウスのときのように無理をして大きなエンジンを積む必要がなかったので、そこがLC500hのストロングポイントだと思います。

 ——レーシングカーではエクステリアもモディファイされているので、空力性能は高そうですが、サイズ的にLC500hはGT300クラスのなかでもかなり大きそうですよね。サーキット的に相性の良さそうなコースはどこになるんでしょうか?

 金曽氏:たしかにホイールベースはGT300クラスのなかで一番長いですからね。それだけにコンパクトなコースは苦手かな……と思っていたんですけど、車両バランス、重量配分が良いので、コンパクトなコースも意外と悪くない。苦手なコースはなさそうですね。

 ——LC500hはどのコースでも対応できそうなんですね。ところで、ベース車両と比べると、GTマシンはかなり迫力のあるスタイリングですが、ベース車両とどれくらい違うのでしょうか?

 金曽氏:オーバーフェンダーがついているぐらいで、じつはホイールセンターから上の形状は大幅に代わってないですよ。フロントグリルもそのまま使っているし、ドアの形状やルーフもノーマルです。もちろん、軽量化のためにパーツの材質はカーボンになっていますが、シルエットはそんなに代わってないですよ。

 ——ちなみにGRプリウスPHV GTは初優勝まで約3年の時間がかかりましたが、LC500h GTはどのぐらいのタイミングで初優勝できそうですか?

 金曽氏:早いタイミングで勝てると思います。GRプリウスPHV GTが悪いわけではないんですけど、それぐらいLC500hはバランスが良いマシンになっています。

「apr LC500h GT」を操るドライバーに感想を直撃

 以上、金曽氏にLC500h GTの特徴を解説してもらったが、実際のフィーリングはどうなのか? というわけで、aprで31号車、「apr LC500h GT」のステアリングを握るドライバーのひとり、嵯峨宏紀選手にインプレッションしてもらった。

 ——開幕戦の岡山から31号車としてLC500hをドライビングしていますが、印象としてはいかがでしょうか?

 嵯峨選手:昨年までドライビングしていたGRプリウスPHVと比べるとボディサイズが大きくなりましたね。当然、メリット、デメリットはあるんですけど、概ね良い印象となっています。

 ——ちなみにメリットは?

 嵯峨選手:ボディが大きくなったことで床面積も広がっています。空力面でのメリットが大きくて、高速コースではダウンフォースを強く感じることができますね。

 ——逆にデメリットは?

 嵯峨選手:ボディが大きくなったことで、ホイールベースも長くなっていることから小まわりが苦手になっている部分はあると思います。それでも、重量配分が限りなく、50:50に近いので、そこまで小まわりが悪いとは感じないように仕上がっています。

 ——エンジン、ハイブリッドはGRプリウスPHV GTと同じパッケージだと思いますが、フィーリング的にはいかがですか?

 嵯峨選手:ハードウェアとしてはGRプリウスPHV GTのエンジン、ハイブリッドシステムを踏襲していますが、LCになって速いところ、遅いところは違ってくるので、ソフトウェア側でチューニングしながら戦っているところです。ハイブリッドは立ち上がりの初期でパワーを使ったり、逆にコーナーのエンドでパワーを使ったりとバリエーションがあるので、LCにとって一番どこが“おいしい”のか、ドライバーのフィーリングに合わせながら調整していく作業を行っています。

 ——スーパーGTの開催コースで言えば、どこがLC500h GTに合っていそうですか?

 嵯峨選手:中速コーナー、高速コーナーを得意としているのでアベレージ速度の速い鈴鹿やSUGOなんかは得意だと思います。逆にストップ&ゴーのもてぎとか、岡山とかは苦手とする印象ですね。

 ——いま現在の課題はなんですか?

 嵯峨選手:いいマシンなんですが、セットアップを含めて完璧には仕上がっていなくて、ポテンシャルを活かしきれていない状態です。タイヤの使い方を含めて、まだまだ調整しないといけない部分がありますね。

 ——初優勝まで時間はかかりそうですか?

 嵯峨選手:僕らが進化しても、まわりも進化しています。結果は相対的なものが多いので、追いつけ、追い越せでがんばっていますが、苦労したGRプリウスPHV GTよりは早く勝てると思います。

 残念ながら第4戦の富士の予選は、“指定燃料以外の使用”により予選タイムが抹消されたことから最後尾からのスタートを強いられたものの、決勝ではapr LC500h GTは素晴らしい追い上げを披露し、5位に入賞。美しいシルエットを持つLC500h GTは存在感が満点で、セッティングの熟成に合わせてさらなる進化が期待されているだけに、シーズン後半戦でもapr LC500h GTの動向に注目したい。

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みんなのコメント

20件
  • GT500のLCは歴代のレーシングカーの中でもトップレベルに好きだったがapr製の車両全てに共通するけどフロントは純正の高さのままでリアだけ異常に低くしてバンパー削れてるみたいなデザインは好きじゃない
  • 参加することに意義があるんですハイ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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