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日本最高峰のレースは今後どうなる!? スーパーフォーミュラシーズン終了で見えた課題

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日本最高峰のレースは今後どうなる!? スーパーフォーミュラシーズン終了で見えた課題

 2021年10月31日、全日本スーパーフォーミュラ選手権の2021年シーズン最終戦である第7戦が鈴鹿サーキットで行われた。

 レースは福住仁嶺が勝利して幕をおろし、チームタイトル争いは11年ぶりにチームインパルが制した。

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 しかしこの最終戦で、レースコントロールにいくつか納得のいかないジャッジがあった。スーパーフォーミュラの今後のために段 純恵氏が物申す!

文/段 純恵、写真/HONDA、TOYOTA

[gallink]

■最終戦は福住が優勝! 掉尾を飾るにふさわしい充実のレース

鈴鹿サーキットで行われたスーパーフォーミュラ2021年シーズン最終戦(第7戦)を制した福住仁嶺(ダンディライアン)

 10月31日、鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第7戦は、国内最高峰の今季最終戦にふさわしい、中身の濃い一戦となった。

 優勝した福住仁嶺(24、ダンディライアン)はスタートで予選3番手から5番手に後退したものの、そのミスを取り返す冷静さとスピードの維持、誰よりも早いタイミングでタイヤ交換を行う『アンダーカット』を成功させてトップを奪った。

 まさに逆転勝利への王道を力強く進みランキング2位で今季を終了。来季のタイトル挑戦へ弾みをつけた。

 その福住の優勝以上に決勝を盛り上げたのがチームのタイトル争いだった。

 ドライバーズチャンピオンは、前戦、チーム無限の野尻智紀(32)に決定していたが、チームタイトルは平川亮(27)と関口雄飛(34)を擁するインパル、無限、そして福住と牧野任裕(24)のダンディライアンの3チームが4点内にひしめく格好で最終戦にもつれ込んでいた。

 予選で平川が9番手、関口が14番手に沈み、3チーム中もっとも戴冠の可能性が低くなったインパルが、大逆転で11年ぶりの王座に輝いた。

 それは、ドライバーたちの闘志あふれる走り、気迫に満ちた引き締まった戦い、それに鼓舞されるようにチームスタッフが完璧にして最速のタイヤ交換作業を2台ともに成功させたからに他ならない。平川の2位、関口の4位はまさにチーム一丸でつかみ取ったもので、その結果のタイトル獲得だった。

■インパルが大逆転で11年ぶりのチーム王座!!

最終戦第2位は平川亮(インパル)。インパルは11年ぶりのチームランキング王座となった

 ただ、インパル勢にとって良い流れがあったのも確かだ。まずSF初ポールポジションから好発進した松下信治(28、B-Max)が、『反則スタート』によるドライブスルーペナルティでトップから陥落。

 替わって先頭に立った野尻も、2周目に大湯都史樹(23、ナカジマ)との競り合いで大湯に当たったことが『危険なドライブ行為』とみなされ競技結果に5秒加算のペナルティ。

 24周目にはジュリアーノ・アレジ(22、トムス)と競り合っていた牧野の走りが、野尻と同様、危険行為として5秒加算のペナルティとなり、牧野が順位を落としたことでダンディライアンのチームタイトル獲得の可能性は完全に消滅した。

 この3件のペナルティについて筆者はいまだにモヤモヤしている。松下についてだが、メディアセンターのモニターや帰宅後に見た録画映像でいくら確認しても(ちなみにメディアセンターのモニター映像はBSフジで放送される映像と同じもの)、松下のマシンが赤信号消灯前に動いたかどうかの判断はできなかった。

 スタート3分前までに止めるべき作業をグリッド上で行ったという場内放送(これは誤情報だった)があり、また正面からの映像で松下のマシンの動き出し後の加速が鈍い印象があったので、本人のSNSでスタート直前にマシンが動いたことがペナルティの理由と知って驚いた。

 鈴鹿のメインストレートはなだらかな坂になっており、うっかりブレーキを緩めるとマシンが動いてしまうことがある。SNSによると松下は5センチほど動いたような気はしたが、特段の優位に立ったわけではない。

 それでも自覚があるのだから、それがペナルティの理由と言われれば、モヤモヤはしても納得するしかない。

■レースコントロールの判断に疑問アリ

ジュリアーノ・アレジ(写真)と牧野のバトルは牧野に5秒加算のペナルティが与えられたが、モニターからは接触があったかどうかは確認できなかった

 しかし野尻と牧野へのペナルティについては大いに疑問が残る。どちらも競り合っていて起きたレーシングインシデントで、それで誰かがケガをしたわけでもリタイアに追い込まれたわけでもない軽いバージョンだ。

 モニター映像(と録画)で一部始終が確認できた野尻と大湯の場合、2台とも通常の走行ラインを通っていなかったが、これは競り合いの最中なのだから当然のこと。どちらもオーバースピード気味に感じられなくもなかったが、野尻が不注意やわざと大湯に当てた印象は微塵もなかった。

 どちらも意地で引かなかったと見る人もいるが、「意地とかそんなんじゃなく、バトルしてただけだから」と順位を落とした大湯は、結果につながらなかったことを残念がってはいたが、野尻を責めたり悪く言うことはまったくなかった。

 モニターでは当たったかどうかも確認しづらかったアレジと牧野の事件も、「牧野さんヒドい」とアレジが声を上げたわけでもレースコントロールにご注進したわけでもない。

 どちらかというと筆者には「アレジさんヒドい」に見えなくもなかったが、いずれにせよF1でさえ問題視しないであろう競り合いの最中の「あれしき」の接触に、今回からいきなり使われだした5秒加算というペナルティを下した判断根拠と基準はいったいなんなのか。

 あれがペナルティ対象になるのなら、前戦のもてぎでセーフティーカー明けに起きたアクシデント、山本尚貴(33、ナカジマ)がどうみても自身の不注意で後ろからきていた平川の前を塞ぐ格好で起きた事故にはなぜ何のペナルティも下されなかったのか。

 曖昧にして不明瞭、一貫性のないペナルティの理由を尋ねようとレースコントロールに話を聞きたい旨を伝えたが、「正式結果に書かれています」というトンチンカンな回答が返されただけだった。

■来季そして『NEXT50』プロジェクトに向けて

2021年シーズン最終戦、優勝は福住仁嶺、2位に平川亮、3位に野尻智紀という結果となった

 F1を取材していた頃、些細な接触から死亡事故に至るような大アクシデントまでヤマほど見た。

 FIAのF1技術専門責任者にしてレースディレクターを務めていた故チャーリー・ホワイティング氏(1952-2019)はその都度、公平に、公正に、だが必要以上に当事者を責めることなく、F1のレベルと品格の維持を心がけた判断と裁定を下していた。

 チームやドライバーがホワイティング氏に寄せる絶大な信頼はF1を最高峰たらしめる大きな要素の一つになっていたし、ホワイティング氏の仕事とその影響に直に接することで、筆者はどれだけレースの勉強をさせてもらったかしれない。

 そんなホワイティング氏のような人材は果たしてSFはじめ日本のレースコントロールにいるだろうか。

 来季SFはさらなる飛躍を目指す『NEXT50』というプロジェクトを開始する。その目標の一つに『ドライバーズファースト』を掲げているが、接近戦で生ずる軽い接触さえペナルティになる、バトルのできないレースが今後SFの目指す『ドライバーズファースト』でないことを願っている。

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みんなのコメント

12件
  • 記者の見てるモニター画面が全てだと思うなよ。
    競技長は複数の監視カメラの映像やコースマーシャルからの意見をもとにジャッジしてるんだから。
  • ベストカーなんかでで「物申す」とかイキってる奴にロクなのはいない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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