今年5月にデビューしたMAZDA3、モーターショーの会場で一部改良版が初公開されたCX-8、10月24日に発売開始されるCX-30など、いずれも興味深いモデルばかりが並ぶ。
中でも特に注目されるのは、マツダ初の量産EVであり、今回ワールドプレミアとなる「MX-30」だろう。欧州では公開と同時に予約受付開始、来年後半にも販売開始。日本への導入も予定されている。
MX-30
マツダは今年9月、ノルウェーのオスロで開催した「MAZDA Global Tech Forum 2019」でも新型のプロトタイプEVを発表している。
プラットフォームはEV専用に新開発したもので、その時点ですでに試乗も可能だった。今回、東京モーターショーで公開された「MX-30」は、そのプロトタイプを元に量産モデルとして完成させたもの。参考出品ではあるが、外観、細部も含めて欧州で実際に販売される仕様そのものと思っていいだろう。
全長4395mm×全幅1795mm×全高1570mmと、車体サイズはコンパクト。エクステリアはマツダのデザインテーマ「魂動」のもと、「さらに芸術性を高めるとともに、表現に拡がりを持たせることに挑戦した」という。
センターピラーレスとして、前後ドアが観音扉式に開く「フリースタイルドア」を採用しているのも印象的だ。ご存じ、RX-8でお馴染みの機構である。
インテリアは開放感のある空間構成。エコカーらしくコルクや再生材からできた生地などの環境に配慮した素材を使用し、心地のよい室内空間を実現している。
気になるパワートレインは「人間中心の開発思想に基づき、EVでも変わることのない『人馬一体による走る歓び』を追求」したとし、電動化技術「e-SKYACTIV(イー・スカイアクティブ)」を採用。
意のままの操作感と滑らかな車両挙動を高次元に融合させ、ドライバーが自然に運転を楽しむことができる走りを実現している。
バッテリー容量は35.5kWhと発表された。日産 リーフよりもやや控えめな数字だが、これはマツダが使用過程だけでなく、EVのライフサイクル全体を考慮しながら、よりCO2排出量が少なくて済むよう、バッテリー容量などを吟味した結果だという。
さらに、今回の外部電源から充電するタイプに加え、発電専用エンジン(駆動には使わない)を搭載したレンジエクステンダー仕様も追加される予定だとか。そのエンジンがロータリーだというのだから、マツダファンにとっては大いに気になるところだろう。
前述したように、欧州での発売は2020年後半を予定し、すでに予約が始まっている。時期こそ未定だが、国内でも発売されるのはほぼ間違いない。
CX-30
東京モーターショー開催のタイミングに合わせ10月24日から発売開始された、マツダの新しいクロスオーバーSUV「CX-30」。
SUVらしく力強いルックスでありながら、高さ制限のある立体駐車場を利用できる低めの全高、市街地でも取り回しが良く運転しやすいボディサイズが特徴だ。
ベビーカーとキャリーオンバッグなどを同時に積載できる荷室、乗降しやすいシートの高さなど、日常の使いやすさにも配慮されている。
MAZDA3 ファストバック & セダン
今年5月に国内導入されたMAZDA3ファストバック/セダンのSKYACTIV-X搭載グレードが、満を持してお目見え。デビュー当初は10月とされていた発売予定日が12月に変更され、首を長くして待っている人も多いだろう。
SKYACTIV-Xは、世界初の燃焼制御技術「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」を採用した、マツダの新世代エンジン。
力強いトルク、リニアで正確なレスポンス、高回転までスムーズに伸びていく爽快な加速感など、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンのメリットを兼ね備えた動力性能が魅力だ。
SKYACTIV-X搭載グレードには、新しい電気デバイス技術「M HYBRID」が採用され、優れた燃費性能も両立している。
CX-8
3列シートの大型クロスオーバー、CX-8にもちょっとしたサプライズがあった。モーターショー開催初日に一部改良の発表があり、会場に実車が展示されていたのだ。
今回の商品改良における目的は、利便性と快適性の向上。電動スライドガラスサンルーフや3列目シートの充電用USB端子などの装備を追加した他、塗布型制振材を新たに採用することで雨粒がルーフを叩くことで発生する騒音を低減させている。
荷室はサブトランクボックスの容量が拡大され、定員乗車時でも機内持ち込みサイズのスーツケース4個が積載可能に。
また、同乗者をおもてなしする特別仕様車「Exclusive Mode(エクスクルーシブ・モード)」も追加された。2列目のアームレスト付コンソールを備えたキャプテンシートに、マツダ車初採用となる電動スライド&リクライニング機構やベンチレーション機能を装備した。マツダ最上級クロスオーバーとしての長所をさらに高める変更内容だ。
ロードスター
前回のフルモデルチェンジから早くも4年たった、マツダのシンボルとも言える車「ロードスター」。ショー会場ではソウルレッドのロードスターを展示。ガレージ風に演出されたディスプレイが心憎い。
さらにもう1台、現行のカラーラインナップには存在しないが、今後市販が予定されているポリメタルグレー&シルバートップのモデルも。
文/田端邦彦、写真/篠原晃一
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