ワゴンはカジュアルで親しみやすさが魅力のクルマだった
あれほど流行っていたのに……の思いがしないでもない。ともかく1990年代の日本ではステーションワゴンが一大ブームとなっていた。
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スバル・レガシィツーリングワゴン
そのキッカケとなったのが、1989年に登場したレガシィツーリングワゴンだった。セダンとともに登場したツーリングワゴンは、それまでになかった、バンをもたないワゴン専用モデルとして登場。セミハイリーフとサッシュレスドアの、機能とスタイリッシュさを両立させたクルマだった。
さらに1989年9月には、このクルマの人気とイメージを決定づける“GT”が出現。2LのDOHC+インタークーラー付きターボで200ps/26.5kg−mを搭載。しかも4WDと、ワゴンなのにまるでスポーツカーのようなスペックが与えられたクルマだった。
この人気は、2代目以降も続いた。ちなみにこのレガシィ・ツーリングワゴンのルーツは、1972年に登場したレオーネ1400エステートバン4WD。このモデルが、量産車ではあのアウディ・クワトロよりもずっと早く、乗用4WDを実現したのだった。
日産アベニール
一方でレガシィツーリングワゴンが牽引役となり、国産各社のステーションワゴンも脚光を浴びることとなった。日産アベニール(1990年)はそのなかの1台。このクルマで奮っていたのは、1989年に登場したフェアレディZ(Z32型)の“スポーツカーに乗ろうと思う”のキャッチコピーを受けて、“スポーツカーの次に来るもの”を謳い文句に登場してきたこと。
スタイリングはスッキリとクリーンでおおらかなもので、カーブドガラスが用いられたリヤゲートはアクセントのひとつ。リヤサスペンションには、ストラットの室内への張り出しがないトーションビーム式トレーリングアームを採用する点も特徴だった。
マツダ・カペラカーゴ
登場年でいうとレガシィよりも1年早い1988年デビューだったのが、マツダ・カペラカーゴ。
当時「JALカーゴを連想する(ビジネス風の)車名はどうなのか?」とマツダのとある幹部役員が非公式に言うのを聞いたことがあったが、そのCARGOのロゴが大きくあしらわれたリヤゲートをルーフまで回り込んで開き大開口を確保。このクラスでは珍しい後ろ向きのサードシートを備え、7名乗りが可能な点がユニークだった。
トヨタ・カルディナ
一方でトヨタが用意した新しいステーションワゴンがカルディナだった。
当時のコロナをベースにステーションワゴンに仕立てたモデルだったが、当初からフルタイム4WD車を揃えるなど、トヨタらしいソツのない商品企画が特徴的。さらに“スカイキャノピー”と名付けられた、ハイルーフボディにガラスルーフを組み合わせたユニークなスタイルのバリエーションも用意した。
ホンダ・アコードワゴン
ほかには1991年に投入された初代アコードワゴンも忘れられない存在。
このクルマはHAM(ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング)で生産、輸入されたモデルで、当時の4代目アコードをベースにBMWなどを連想させる優雅なスタイリングが特徴だった。搭載エンジンは2.2L、ラゲッジスペースはサイドトリム部までカーペットで覆われた上質な造りで、ユーザーにスマートなワゴンライフを提供してくれた1台だった。
日産ステージア
日産では1996年に初代が登場したステーションワゴン専用モデルのステージアもあった。このモデルは6気筒エンジンを搭載し、上級クラスのニーズに応えるべく用意された点がポイントで、ゆとりのある走りと室内スペースで存在感を示していた。トップモデルに2.5Lターボと4WD(アテーサE-TS)を組み合わせたRS FOURシリーズも設定。FR車とともに、走りの性能の高さでもアピールした。
三菱レグナム
三菱車ではギャラン系のステーションワゴン版として登場したレグナム(1996年)があった。全幅を1740mmとしたゆとりのあるボディサイズに、4気筒の1.8Lのほか、V6の2L、2.5Lを用意。フルタイム4WDを組み合わせたトップモデルのVR−4には、280psの5速マニュアルトランスミッションのほか、INVECS-IIスポーツモード5速フルオートマチックのVR−4 type-Sも設定された。
三菱ディアマンテワゴン
三菱車ではもう1台、オーストラリア製のディアマンテワゴンも優雅なステーションワゴンとして印象に残るクルマだった。搭載エンジンはV6の3Lとし、本革シートをはじめハイグレードオーディオ(リヤ側はルーフにスピーカーが埋め込まれていた)、電動チルト&スライドサンルーフなど贅を尽くした仕様とおおらかな走りが売りだった。
スバル・インプレッサスポーツワゴン
そして冒頭のレガシィツーリングワゴンとともにSUBARUのワゴンとして忘れてはいけないのが、インプレッサスポーツワゴン(1992年・初代)だ。水鳥が飛ぶ姿をイメージしたという、いかにも優しいスタイリングのコンパクトなワゴンだったが、全高をゆったりと取り、快適な居住空間と十二分なラゲッジスペースを用意していた。セダンからWRXが誕生したのはご承知のとおりだが、ワゴンは、スポーツの名が与えられつつも、カジュアルな親しみやすさが魅力のクルマだった。
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みんなのコメント
格好の良いワゴン車欲しいなぁ~、今のワゴン車は車種が少ないのはもちろんだけど
カーゴ部分のガラス面が伸びやかではなく、なんか寸足らずでちょっと後ろの長いHB車的な感じ・・
この頃のクルマは破格なお値段だったと感じる。