甘美に吹け上がるツインカム直列6気筒
ジャガーMk VIIからMk IXへ搭載される、スポーツカーのXK 120由来となるツインカム直列6気筒エンジンは甘美に吹け上がる。Mk IXに搭載された、3.8Lユニットでは特に。
【画像】1950年代のジャガーMk VIIとVIII、後継モデルのMK Xと最新モデルのXFも 全78枚
異音やノッキング、エンジンオイル漏れ、排気ガスの白煙などがないか試乗で確かめたい。リビルドには、英国では5000ポンド(約76万円)は必要になる。
このユニットで気を付けたいのが、リアクランクシールからのエンジンオイル漏れ。最近リビルドを受けた状態の良いエンジンだとしても、無縁ではない。
排気ガスに白煙が混ざっていない状態でパワーが物足りない場合は、ヘッドのリビルドで改善できることがある。この型のジャガーはヘッドの載せ替えが一般的に行われており、エンジンブロックと番号が一致するか予め確認しておきたい。
パワーステアリングは、Mk VIIIの後期型から標準装備されている。ステアリングラックの摩耗具合も、確認したいポイントだ。
ATやブレーキは現代仕様に変更も
モス社製の4速MTは1速にシンクロメッシュが付かず、丁寧な変速が必要。ユニットとしては堅牢ながらリビルドは難しい。ギアからの振動音や、走行中に不意にギアが抜けないか確かめたい。
オーバードライブをオプションとして選択でき、現代の高速道路を走る場合にも好適。アスクルギアのレシオ変更は、さほど難しい作業ではない。
ボルグワーナー社製の3速ATは、変速が鈍重。ゆっくり走っている限りは個性的と感じられるものの、現代的なユニットへアップグレードされることも珍しくない。フルードのにじみは珍しくないが、黒く濁っていたり滴るのは良くない。
MTの場合、フロント側は左右独立したシートだが、ATの場合はコラムシフトになるためベンチシートが与えられていた。
Mk VIIとMk VIIIのドラムブレーキには、充分な制動力を得るためにサーボが付き、フロント側にツインシューを備えている。状態が良ければ、現代の交通にも問題なく対応できるが、Mk IXから導入されたディスクブレーキなら遥かにモダンに運転できる。
ただし、機能をアップグレードする改良は悪くないものの、オリジナル部品以外は望まれないことも。一部の部品の発見は難しく、出てきたとしても価格は高い。
購入時に気をつけたいポイント
ボディ
フロントフェンダーのサイドライト付近やグリル周辺、下端部分は錆びやすい。バルクヘッドにバッテリートレイ付近、サイドシル、フロア、リアフェンダーとスパッツなども要注意。
ドアピラーとドアの下面、荷室のフロア、サンルーフ周辺、ドレインホールの状態も確かめたい。ボディを飾るクロームメッキ部品は入手が困難。リクロームの費用も安くない。
エンジン
ツインカムの直列6気筒エンジンは、20世紀中盤では最も優れたエンジンの1つ。眺めるだけでも美しいし、走りも楽しい。
タイミングチェーンの振動音や、ブロック下部からのゴロゴロといった異音がないか確かめる。エンジンオイル漏れや圧縮比の低下にも注意。リビルドに至る可能性がある。
シャシー
シャシーは丈夫で錆びにくい。アウトリガーやスプリングのハンガー部分、後端、フロント側のアンチロールバー・マウント付近などは確認したい。
燃料タンクは、水を吸収して腐食を招くスポンジの上に載っている。状態確認は難しい。
サスペンションとブレーキ・ステアリング
フロントサスペンションには高い負荷がかかっているが、部品代は高くない。オリジナルのドラムブレーキは、定期的なメンテナンスが必要。フロント側をディスクブレーキに交換するキットを、英国のクーパークラフト社で入手可能。
ウォーム&ナット式のステアリングラックは、経年劣化で摩耗する。過度に遊びがある場合はリビルドが必要。Mk IXでは、パワーステアリングが標準装備となっている。
インテリア
オリジナルの内装なら、遺産級と呼べる価値があるだろう。ウォールナットのウッドパネルは高価。各パネルの木目が合わされているため、欠落していたり再制作する場合、コストがかなり掛かるはず。
初期のMk VIIには、スプリングの入ったシートが用いられていたが、1954年からはスポンジが入ったものに変わっている。オリジナルのレザーなら、深い艶がある。仕立て直しは高価で、同じ素材は入手困難。
ジャガーMk VII/Mk VIII/Mk IXのまとめ
優雅なスタイリングと、堂々とした車格を持ち、モノトーンかツートーンのカラーで選択できた、Mk VIIからMk IXのジャガー。英国製スポーツサルーンのお手本といえるモデルだった。
当時の同価格帯では他を圧倒した豪華さとパフォーマンスは、揺るがない魅力といえる。クラシックカーとなった今でも、同様にコストパフォーマンスには優れる。だが、大々的なレストアが必要なクルマは避けた方が良いだろう。
自らレストアを手がけられる技術を持っているなら別だが、車両価値を越える費用が必要となることも多い。多少傷んでいてもオリジナルのままの方が、中途半端なレストアを受けたクルマよりベターチョイスとなることも少なくない。
まずは時間をかけて、良い例を探すことが先決。信頼性に優れ優雅で、心から楽しめるクラシックカー・ライフに浸れるはずだ。
良いトコロ
美しいスタイリングに豪華なインテリア。ドライブトレインの信頼性は高く、取引価格も英国では高すぎない。多くの部品が手に入る環境も魅力的。
良くないトコロ
長期間放置されていた例などは、入手困難な部品が欠損していることも。完璧にレストアを仕上げるには、ジャガーのなかで最も費用がかさむモデルの1台といえる。
ジャガーMk VII/VIII/IX(1950~1961年/英国仕様)のスペック
英国価格:1829~1897ポンド(1958年時)
生産台数:3万190台(Mk VII)/6332台(Mk VIII)/1万5台(Mk IX)
全長:4990mm
全幅:1867mm
全高:1575mm
最高速度:162-183km/h
0-97km/h加速:11.3~14.1秒
燃費:5.0-7.8km/L
CO2排出量:−
車両重量:1756-1889kg
パワートレイン:直列6気筒3442/3781cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:162ps/5200rpm/223ps/5500rpm
最大トルク:26.9kg-m/2500rpm/33.1kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル/3速オートマティック
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みんなのコメント
なんか乗るの恥ずかしい格好だな。
ロールスならともかく、この頃のジャガーってどちらかっていうと安物のイメージが。