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今、セダンに必要なのは“こだわり”ではないか? 新型レクサスIS試乗記

掲載 更新 5
今、セダンに必要なのは“こだわり”ではないか? 新型レクサスIS試乗記

ビッグマイナーチェンジを受けたレクサス「IS」に小川フミオが試乗した。想像以上の進化とは?

後輪駆動セダンは絶やさない

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「これはかなり魅力的なルックスになったなぁ」

さまざまな改良が施され、2020年11月5日に発売された新型レクサス「IS」。実車を最初に見たときの感想が思わず口をついて出た。

”ワイド&ロー”が強調されたスタイルだけでない。実際の走りは「このクルマ、まだまだいけるゾ」と、嬉しくなるものだった。

ISとしては3代目にあたる現行モデルが発売されたのは、2013年。ドイツ車を向こうにまわしたような、元気のいい後輪駆動セダンで、かつ、挑戦的なデザインが、自動車好きの関心を惹きつけるモデルである。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui「セダンを振り返ってもらいたい。そのために“後輪駆動セダン”の火を消さないんです」

ISに改良を施した背景について、開発を総指揮したレクサスインターナショナルの小林直樹チーフエンジニアが述べた言葉が印象的だった。

いま私たちが必要としているのは、こういう“こだわり”で作られたプロダクトではないだろうか? じっさい、あたらしいISは納得できる出来になっている。セダンが好きだというひとに、ぜひ注目してもらいたいと思うのだ。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui美点はバランスの良さ

今回のマイナーチェンジでは、レクサスらしさとはなにか? を、検討したうえで、その結論にもとづいて、そこかしこに手を入れたそうだ。ひとつは乗り心地、もうひとつは快適性である。そして、アウタースキンの作りこみだ。すべてにおいて、携わった技術者が誇らしげに成果を謳っているのも印象的である。

乗ったのは、「IS300 F Sport」だ。タイヤ、ダンパー、駆動系の制御システムなどが専用になる。「レクサス車はF Sportとそれ以外とに大別される」と、車両性能開発を統括する水野陽一氏が説明してくれた。エンジンは180 kW(245 ps)の1998cc直列4気筒ガソリンターボ・エンジンで、8段ATを介して後輪を駆動する。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui美点は、バランスのよさだ。たとえば足まわり。しっかりしている。でも、ガチガチでなく、適度にしなやか。ハンドリングを向上させるべく、たとえばカーブを曲がるときの車体の傾きなどは抑えられているいっぽう、まっすぐな道では路面の凹凸をきれいに吸収してくれるのだ。

今回のマイナーチェンジではトレッドといって左右輪の幅が拡大。コーナリングなど走りの性能が向上したという。同時に、一新されたボディパネルによって、バンッと威勢よくタイヤが張り出しているのが強調されているのだ。それもまたカッコいい。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiやたら速い、というよりは、やたら気持ちがよい。「うどんでいえば、トッピングでなく、麺とつゆだけでおいしい”素うどん”」とは、開発を手がけたアシスタントチーフエンジニアの前澤伸氏の言葉だ。

もうすこし具体的には、「シームレスな動きを意識して、たとえばステアリングは切っていくときとおなじく、戻すときの制御も繊細に、ブレーキも踏んでいくときとおなじく、ペダルの踏力を抜いていくときもていねいな減速感を意識しています」(前澤氏)とのことだ。

「シームレス(つなぎ目のない)」な操作感とも表現されるISの操縦性。たしかに、あたらしいISに乗っていると”なんだかいいなぁ”とすぐに感じられる。ようするに、スムーズにすべてがつながっていると感じられるからだろう。思ったとおりにクルマが動いてくれる。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui改良に終わりはない

350Nmの最大トルクが1650rpmから発生するので、扱いやすい。地面を猛烈な力で蹴り上げるようなダッシュ力ではなく、どちらかというと、徐々にパワーを積み上げていくように速度を上げていく。

比較的軽量な4気筒エンジンの利点が、カーブを曲がるときの軽快な動きに活きている。IS300 F Sportはまさにハンドリングを楽しめるクルマだ。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiほかにも、マニアックなディテールが多い。たとえば、ロードホイールの取り付け部にレクサスとして初めてハブボルトなる部品を採用したため、ステアリング・ホイールの切り始めの反応が向上したという。語るべき点はたくさんあるのだ。

マニアックといえば試乗会で、前出の小林直樹チーフエンジニアから聞いた話がすごかった。サスペンション・システムの重要な構成部品、ダンパーの調整についてだ。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui愛知県みよし市に、ドイツのニュルブルクリングサーキットをイメージして作ったという難易度の高い「下山テストコース」を走りこんで、ISの足まわりを仕上げたという。

「先の見えない坂をハイスピードで越えるとき車体がジャンプして荷重が抜けます。接地したとたん、キツいカーブが眼の前にあらわれる……といったコースを走り込んで、ダンパーをつけ替えていくんです。『あそこのコーナーでは足まわりが伸びるとき内部のオイルの流れが一瞬止まるみたいです』とかコメントしながら。そのコメント受けて、技術者がダンパーを調節し、付け替えていくのです。縮み側、伸び側ともに、どんな条件でも望む性能が発揮できよう、徹底的に調整しました」

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui“改良にはここでよし、という終わりがない”というレクサスの「Always On」の精神で改良された新型ISは、登場から7年もたっているとは思えない仕上がりだ。

セダンにいま大事なものは、“こだわり”かもしれない……進化したISに乗ってふと思った。

Hiromitsu Yasui文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

5件
  • マイナー後のISに乗ってみたけど、前期とは全く別次元のしなやかな足になってた。
  • YasuiHiromitsu
    うるさい。転載はいいけど誌面チェックしてるのか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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