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生産終了が来年に迫る でもシッカリ小改良 ジャガーXF スポーツブレークへ試乗 訴求力強化

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生産終了が来年に迫る でもシッカリ小改良 ジャガーXF スポーツブレークへ試乗 訴求力強化

3シリーズやCクラスに並ぶ英国価格

ジャガーのミドルクラス、XFが2024年仕様としてフェイスリフトを受けた。しかし、早ければ1年以内に生産が終了するという。

【画像】2024年には生産終了 ジャガーXF スポーツブレーク 競合クラスのステーションワゴンたち 全105枚

現在は、電動パワートレインの開発へ力が注がれている。それでも、余命僅かなXFにも望ましいアップデートが施された。従来以上に、価格価値は増したといえる。

英国では2021年に、ひと回り小さいXEとともに、XFへ思いきった価格改定が行われた。フェイスリフト後でも1000ポンド(約18万円)程度の上昇に留まっており、上級ブランドのこのクラスとしては、かなりのお値打ち価格だといっていい。

今回試乗したステーションワゴンのXF D200 スポーツブレークの場合、クラス下のBMW 320d ツーリングより約8000ポンド(約144万円)も安い。メルセデス・ベンツCクラスの220d ステーションワゴンと比べると、1万ポンド(約181万円)も違う。

エントリーグレードで3万6000ポンド(約651万円)を切る設定は、かなりのインパクトなのではないかと思う。試乗車のダイナミック HSE ブラックでも、4万2750ポンド(約773万円)だ。流石に、ディーラーでの値引きは期待できないようだが。

D200 スポーツブレークの動力源は、2.0L 4気筒ディーゼルターボエンジン、インジニウム・ユニット。2024年仕様のXFでは1番お安く、マイルド・ハイブリッド化されており燃費も良い。カタログ値で20.1km/Lがうたわれ、CO2排出量は130g/kmになる。

フェイスリフトで装備充実 内装の質感も向上

他に選択できるパワートレインは、P250とP300に搭載される、2.0L 4気筒ガソリンターボエンジンのみ。ただし、D200とは異なりマイルド・ハイブリッドではない。P300では、後輪駆動のほかに四輪駆動も選択できる。

トリムグレードは、RダイナミックS、SE、HSEの3段階に絞られた。SEとHSEには、「ブラック」というスタイリングパッケージも指定できる。

フェイスリフトに合わせて、装備も充実している。オートハイビームLEDヘッドライトやシーケンシャル・ウインカー、ヒーター内臓ドアミラーなどが標準装備になった。

インテリアでも、メーター用モニターやパワーシートなどが標準。とはいえ、2021年の改良で大幅に知覚品質を高めており、見た目から受ける変化は小さいかもしれない。

落ち着いた輝きを放つ、クロームメッキ・トリムが内装を彩る。ステアリングホイールとセンターコンソール上のボタンやノブなどは、これまでより質感を増し、レイアウトも良くなった。

従来のXFでは、一部のスイッチ類などにゴムコーティングが施されていた。新しい時は好ましい触感でも、摩耗しやすいのが難点だった。それらは、堅牢そうなクロームメッキ仕上げに変更されている。

ダッシュボードの中央には、11.4インチのインフォテインメント用モニターが突き出ている。緩くカーブを描き、ダッシュボードと馴染んで見える。これは、エントリーグレードでも標準装備だ。

滑らかでたくましい2.0Lディーゼル 燃費も良好

ピヴィ・プロと呼ばれるインフォテインメント・システムも、反応が素早く扱いやすい。表示エリアの隅にショートカットボタンが並び、頻繁に利用する機能をホーム画面へ登録できる。ワイヤレスでスマートフォンとミラーリングも可能だ。

フロントシートの座り心地は素晴らしい。身長の高いドライバーの場合、ステアリングコラムの調整域が、僅かに足りないかもしれない。天井も若干低く感じられる。それでも、3シリーズやCクラスと比べれば不満は出ないはず。

荷室容量は、トノカバー下で550Lと広々。マイルド・ハイブリッドの場合、電圧48Vの駆動用バッテリーとインバーターが載る都合で、床下の収納空間が削られてしまう。

2.0Lディーゼルエンジンは、アクセルペダルを一気に傾けると電気モーターとの協調に悩むのか、ギクシャクすることがある。しかし、日常的なペースで操っている限り、スムーズでたくましい。

中回転域でのトルクが太く、このクラスとしては燃費も良好。マイルド・ハイブリッドの恩恵もあり、普段使いで18.0km/L近くまで伸ばせる。アクティブ・ノイズキャンセリング機能が実装され、走行中の車内は従来以上に静かでもある。

惜しいのが、8速AT。変速をためらうような仕草が稀にあり、低速域では滑らかさに欠く場合も見受けられた。ステアリングホイール奥のシフトパドルを弾くと、そんな弱点は気にならなくなるが、全体的に磨き込まれた印象を霞ませる側面ではある。

連続するカーブを堪能できる優れた操縦性

XFはクラス最高の操縦性を備えると、登場当時からAUTOCARでは高く評価してきた。それは、今でも変わらない。ドライバーズ・サルーンやステーションワゴンをお探しなら、XFは有力な選択肢になるはず。

オススメしたいグレードは、試乗車と同じRダイナミック HSE ブラック。そこに、ひと回り小さい19インチ・アルミホイールとアダプティブダンパーを追加すれば、理想的なXFが完成する。

試乗したD200 スポーツブレークには、20インチ・アルミホイールに通常のパッシブダンパーが組まれており、乗り心地は若干落ち着きが足りなかった。

とはいえ、ステアリングホイールには適度な重み付けがあり、感触も明瞭。後輪駆動の好ましい操縦性を味わえるという、魅力が備わる。姿勢制御は、引き締まりつつしなやか。ひと回り小さいモデルかのように、連続するカーブを存分に堪能できる。

特にステアリングは正確で直感的。必要以上にダイレクトというわけではなく、不自然に戻されるような印象もない。一体感を伴って狙ったラインを辿れ、グリップ状態も感じ取れ、ドライバーへ自信を抱かせる。

太いトルクで、低速コーナーではアクセルペダルの加減でフロントノーズの向きを整えられる。安全性を保つ電子制御システムは、必要に応じて機能を制限することも可能で、運転の楽しさを邪魔するものではないだろう。

価格破壊的な見逃せないオッファー

スポーツブレークのサルーンとのメカニズム上の違いは、リアにセルフレベリング機能付きサスペンションが組まれること。重い荷物の運搬やトレーラーの牽引などで効果を発揮するものだが、走り味に影響を及ぼすことはないようだ。

乗り心地は、フロントシートでもリアシートでも快適。長めの揺れをしなやかに吸収し、操縦性との好バランスにある。

生産終了まで1年足らずしかないモデルではあるが、アップデートで従来以上の訴求力を獲得したことは間違いない。特にインテリアの質感や洗練された車載技術は、これまでのジャガーでは想像しにくかった水準にある。

それでいて、ライバルと一線を画す乗り心地や操縦性は従来どおり。ゆとりのある車内空間など、実用性も悪くない。

最近は、バッテリーEVの小型ハッチバックでも、4万ポンド(約724万円)することは珍しくない。同じ予算で、燃費の良いエグゼクティブ・ステーションワゴンを買えてしまうという事実は、価格破壊的な見逃せないオッファーだと思う。

◯:落ち着いて優しい乗り心地 一体感がありバランスの良い操縦性 クラス下に並ぶ英国価格
△:プラグイン・ハイブリッドが選べない リアシートの広さはほどほど D200はもう少しパワフルでも良い

ジャガーXF スポーツブレーク D200 Rダイナミック HSE ブラック(英国仕様)のスペック

英国価格:4万2750ポンド(約773万円)
全長:4964mm
全幅:1982mm
全高:1494mm
最高速度:230km/h
0-100km/h加速:7.8秒
燃費:17.9km/L
CO2排出量:146g/km
車両重量:1795kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:軽油
最高出力:203ps/3750rpm
最大トルク:43.7kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック/後輪駆動

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