女子高生とホンダ『スーパーカブ』をめぐる小説、漫画、テレビアニメなどでヒットした『スーパーカブ』。山梨県北杜市で8月4日、その中の登場人物のひとり「礼子」の生誕祭が行われ、各地からそれぞれにカスタマイズしたカブなどが集まった。
『スーパーカブ』はトネ・コーケン氏原作のライトノベルで、2016年から21年まで小説投稿サイト「カクヨム」(KADOKAWA)へ投稿され、2017年から2022まで書籍版の単行本が刊行。漫画も2017年からWebコミックサイト「コミックNewtype」で連載を開始し、単行本は角川コミックス・エースから2018年から刊行された。さらに2021年にはテレビアニメ化されるなど、人気を博した。
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主人公の女子高生「小熊(こぐま)」と、「礼子(れいこ)」、「椎(しい)」というカブ仲間の物語。舞台の中心となる北杜市は、ディープなファンたちの“聖地巡礼地”になってきた。現地としてもそんなファンを温かく迎え入れようと、有志により「北杜アニメツーリズム協議会」を立ち上げ、様々なイベントを開いてきた。
そのひとつが、登場人物たちそれぞれの“生誕祭”で、これまで6月に小熊、8月に礼子、1月に椎の誕生日イベントを開催。この8月は礼子の目線で描かれるスピンオフコミック『スーパーカブRei』にフィーチャーした企画で、作画のさいとー栄氏のトークショーが目玉となった。
「昨年はいちファンとしての参加しました」というさいとー氏。「トークショーなんて人生初めてで緊張しますよ」と開始前は落ち着かいない様子だったが、いざ始まってみると次々に話題があふれた。漫画を描くきっかけや礼子のキャラづくりのこと、自身のバイクのことといった内容で来場者も興味津々。質問コーナーや書下ろし色紙のじゃんけん大会などでも大いに盛り上がった。
会場となったのは、北杜市のコミュニティ施設「甲斐駒センターせせらぎ」。用意した100席はすぐに埋まり、立ち見も。駐車場には小熊の『スーパーカブ50』や礼子の『MD90』(郵政カブ)、『CT110』、椎の『リトルカブ』などを中心にカスタマイズされたバイクが数多く集まった。
ダイハツ『ハイゼット』にヒロイン3人の等身大人形をカブとともに積んできたというのは、滋賀県の50代男性。「このアニメを見てカブにはまり、どうせならカブ110に乗ろうと免許を取りました。この子たちいつもは制服ですが、今は夏だから浴衣着せて記念写真を撮らさせてもらいます」と楽しそうだった。
また長野県の30代男性は、「最初のクルマとなったダイハツ『シャレード』でドライブした時、世界がパーッと広がったんですが、このアニメの主人公もカブを得たことで世界が広がったシーンがありました。私と一緒だなーって、当時を思い出しました」と感慨深そうだった。
閉会後、来場者たちは聖地のひとつになっている近所の「スーパーおの」に立ち寄ったりしながら帰途に就いていた。さいとー氏も「北杜市は水や果物が美味しくて温泉もある。ツーリングで(周囲の景色が良い)この会場そのものを目指すだけでもいいですね。私はワインを買って帰ります」と話すなど終始にこやかだった。
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