2022年シーズンからスーパーフォーミュラに2台体制で参戦するTEAM GOH。アウディでのル・マン24時間総合優勝でも有名な同チームは、なぜスーパーフォーミュラを新たな戦いの舞台に選んだのか? 今季からTEAM GOHのチーム代表及び代表取締役となった池田和広氏に話を聞いた。
TEAM GOHは1996年、郷和道氏によって結成。同年の全日本GT選手権(現スーパーGT)に参戦し、ラーク・マクラーレンでいきなりタイトルを獲得した。そして戦いの舞台はル・マンへ。2004年にアウディR8で悲願の総合優勝を手にしたが、その後は“TEAM GOH”の名で主だった活動をすることがない期間が続いた。
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「アウディを使った3年間のル・マンプロジェクトは、オーナーの郷さんや我々当時のスタッフを含め、日本ではできないような刺激的な経験ができました。ただ、アドレナリンを出し切ったような形になり、日本に帰ってきた時には俗に言う燃え尽き症候群のようなものになってしまいました。感覚としてはそういう感覚でした」
池田代表はそう語る。
「特に郷さんは長くそのような状態になっていて、もしかすると今もそうかもしれません。ただ、TEAM GOHとして何かしたいという思いは常にあるんですよ。レースが好きでチームをやっている訳ですから。でもやるからには、(ル・マンと)同等くらいに面白いこと、感動できることを追求したいという思いがあったんです」
そんな中で、郷氏とTEAM GOHにとって転機となったのが、アレックス・パロウとの出会いだ。
TEAM GOHは2019年に『McLaren Customer Racing Japan』としてスーパーGTに参戦した際にパロウを起用。その縁もあって、パロウの2020年からのインディカー・シリーズ挑戦もサポートした。同年は彼が所属するデイル・コイン・レーシングとジョイント。2021年にチップ・ガナッシに移籍した後もサポートは継続し、パロウは見事タイトルを獲得した。
「アレックス・パロウとの3年間、特にインディでの2年間は、オーナーの郷さんも含めて久しぶりに面白いと感じたんですよね」と池田代表は言う。
「自分のところの若手が世界で活躍してくれるというのは、やはり醍醐味だと思います。ファンの方にとって、日本人ドライバーや自分の応援していたドライバーがF1ドライバーになるのが嬉しいのと同じです。これもモータースポーツのひとつの文化であると再確認できました」
「パロウの例から、スーパーフォーミュラで結果を残したドライバーはインディでも通用すると分かりました。ですので、レッドブルさんとホンダさんのドライバー育成プログラムの下で、若いドライバーを世界に送り出せたら楽しいだろうということで、スーパーフォーミュラに“TEAM GOH”という名前で参戦しようという決断に至りました」
そんなTEAM GOHは、新規チームにありがちな1台体制ではなく、初年度から2台体制を組んでいる。「レースをやる限りは勝ちを目指さないと意味がない。短い時間で良いものを作るためには(2台体制は)当たり前のことです」と池田代表が言うように、これはTEAM GOHの本気度のあらわれと理解してもいいだろう。
またチーム体制にもその本気度が伺える。監督にはホンダのF1マネージングディレクターを務めていた山本雅史を招聘し、岡田秀樹、伊沢拓也といった経験豊富なアドバイザー陣も控えている。
池田代表は、“イケイケ”の山本監督の下でチームの士気を高めつつ、自らはそこから一歩離れてチームの舵取りをするのが役目だと語った。
「私はチーム代表ですので、株式会社チームゴウモータースポーツという会社を運営していかないといけない。お金をどうやって捻出するかや、チームとしての方向性、指標を示すのが私の仕事だと思います」
「(監督業との)兼任は難しいんですよ。それ(資金繰り)を考えながらチームの士気を上げるのは簡単じゃないんです。だから山本さんのように、イケイケの人をチームの監督に採用しました。そうするとチームの士気が上がるんです。チームは士気が高い方が結果が出る。ただ方向性がずれそうな時は修正し、舵取りをする。それが私の仕事です」
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