シート配列3-3-2でベンコラ4速MTの8人乗り
走行10万kmのフルノーマル車、今すぐ世界遺産登録を(笑)!!
「斬新すぎたセンターピラーレス両側スライドドア」新ジャンルを世に問うた、日産のチャレンジングな意欲作!【ManiaxCars】
国産ミニバンのパイオニアと言っていい初代プレーリーのデビューは1982年8月。変態の子は変態(!?)という格言そのままに、T11系オースター(スタンザ、リベルタ)をベースに2ボックスボディを被せ、両側スライドドアを与えた1台だ。
グレード構成は、コラムシフト+3-3-2のシート配列で8人乗りを実現したJW系、一般的な2-3のシート配列で5人乗りとしたRV系、同じ5人乗りでも上級志向のSS系、さらにベンコラで3/6人乗りの商用4ナンバー仕様NV系…と、そのワイドな展開からニッサンの気合の入り方がわかるってもんだ。
エンジンは1.5LのE15S(85ps/12.3kgm)と1.8LのCA18S(100ps/15.2kgm)が用意される。取材車両はCA18S。最大トルクの発生回転数は2800rpmで、街乗りなら3000rpm前後でシフトアップすればコト足りる。あんまり回してもしょうがない…と思える典型的な実用エンジンだ。ミッションはJW系がコラム4速MTまたは3速AT、RV系がフロア5速MT、SS系がコラム3速AT、NV系がコラム4速MTと、グレードごとにちゃんとすみ分けてるのが変態だ。
当時、3列シートで8人乗りの国産車といえば、ハイエースやタウンエース、ホーミー/キャラバンなどワンボックスしかなかったわけで、全長わずか4mちょいの2ボックスボディで同じパッケージングを実現してたのは超画期的だった…んだけど、ニッサンはプレーリーをあくまでもセダンと位置づけ(車検証上はステーションワゴン)、カタログには“未来型マルチユースセダン”だの“セダン初のスライドドア”だの“セダンでは世界初の回転対座シート”だの、クドイくらいに“セダン”という単語が出てきてたりする。「背高2ボックス車をセダンと呼ぶのはあまりにも無理があるだろ?」と思うんだけど、その頃はミニバンって言葉がなかったんだから、まぁ仕方ない。
取材車両である初代プレーリーJW-Gの後期型を前にして、早くもテンションはMAX200%。ローレルスピリットみたいな顔しているのに、フロント/サイド/リヤウインドウが高くそびえ立ったフォルムはどう見てもオカシく、あえてそのスタイリングを系統づけるなら、アルトやミラのウォークスルーバンに近いのかも。キャビンに対するノーズの取って付けた感はけっこうなものだ。
おもむろにフロントドアを開け、リヤドアをスライドさせると…おおおおお! センターピラーレスの巨大な開口部が出現だ~。何度となく写真を見てイメージしてたんだけど、本来そこにあるはずのモノがない!! っていう開放感は想像をはるかに超えていた。
たしかにボディ剛性が絶対的に足りないとか、側突安全性が極めて低いとか、いくらでもケチはつけられる。けど、他のクルマじゃ絶対に味わえないこの開放感を知ったら、多少のことはどうでもイイやって気持ちになるのも事実。
続いて内装を見ていくと、まずベンコラってのがたまらん! 個人的に初代プレーリーの存在価値はスタイリングとピラーレス両側スライドドア、そして3列シートのベンコラ8人乗りっていう3点に集約されると思ってるくらいだから。
しかもミッションは4速MTで、サードブレーキが昭和の香り漂うステッキ式ときたもんだ(笑)。
シートは、1列目は右1名分(運転席)と左2名分で、2列目は右2名分と左1名分で、それぞれ独立してスライド&リクライニングが可能。1列目は背もたれがちょっと低めだけど、これはフルフラットを考えてのことだと思われる。
それと3列目シートが決して緊急用でなく、大人2人がちゃんと座れるように設計されてるのがエライ! 座面とフロアが近いから、やや体育座りっぽい体勢にはなるけど、8人乗りの“セダン”としてマジメに設計したニッサン開発陣の心意気をビシビシ感じる部分だ。ダブルフォールディングすれば、ラゲッジスペースを拡大できる。
でもって、お約束のフルフラットモード。写真は1~2列目でのモノだけど、2~3列目でもできるのかどうか…確認するのを忘れた。
室内でもいっちょ、オーバーヘッドコンソール。そこにデジタル式時計が設けられているんだけど、おそらく2~3列目からも確認できるようってことだと思う。ただし、肝心の運転席からは視線を大きく移動しなければならないから、決して視認性がイイとはいえない。
「コラムMT車に乗るなんて何年ぶりだろ??」と思いながら、アイポイントが高く、ボディ四隅の見切りもイイ運転席に収まっていざ出発! 走り出して数100m、ひとつめの信号を左折するまでに確信したのは「このクルマ、すべてがユルイ」ってことだ。ボディ、足まわり、エンジン、ハンドリング、ブレーキ…でも、80年代の実用的ニッサン車ってこんなもんだったんだろうと思い込むことにした。
カタログ値でグロス100ps、おそらく実測70psくらいであろうCA18Sは、ひとりで街乗りしてる分にはとくに不満を感じないけど、高速道路での追い越し加速、あるいは8人フル乗車なんて状況だと、けっこうツライいんじゃないかと推測。
それから、初代プレーリーといえば、走行中にルームランプが点くくらいボディ剛性が低いって話を聞いてたからヘンな期待をしてたんだけど、フツーに走る分にはそんなこともなく、ちょっとガッカリしたのがホンネだ。もっとも、取材車両はリヤゲートの開口部形状を変更するなどボディ剛性が見直された後期型だからかもしれないわけで、「もしかして前期型なら、ルームランプがパッカパカ点灯しまくりなんじゃないか!?」と思いを巡らせるだけで15分は楽しめたことを白状しておく。
にしても、ホールド性もへったくれもないベンチシートに腰かけて、コラムレバーをガチャガチャ操作しながら、トコトコ…と走るのは新鮮だ。ブレーキが心もとないこともあって、まるで飛ばす気にならないどころか、あえてゆったり運転したい気分になるんだから。
■プレーリーJW-G
車両型式:PM10
全長×全幅×全高:4230×1665×1620mm
ホイールベース:2510mm
トレッド(F/R):1430/1390mm
車両重量:1110kg
エンジン型式:CA18S
エンジン形式:直4SOHC
ボア×ストローク:φ83.0×83.6mm
排気量:1809cc 圧縮比:8.8:1
最高出力:100ps/5600rpm
最大トルク:15.2kgm/2800rpm
トランスミッション:4速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/トレーリングアーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR185/70R13
PHOTO & TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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