ボルボの新世代プラットフォーム「SPA」が採用された初めてのモデル「XC90」はグローバルで32万台以上、日本国内でも3600台を超える好調な販売実績を持つ。そんなXC90の改良モデルに試乗した。今回はPHEVのT8ツインエンジンである。(以下の記事は、Motor Magazine 2020年5月号より)
目に見えない部分の熟成や安全機能を充実
デビュー以来初めてアップデートされたボルボ XC90。一見して「どこが変わったの 」と思う人も少なくないはずである。今回の改良は、好評なエクステリアやインテリアは小変更にどどまり、目に見えない部分の熟成や安全機能の充実が中心となった。つまり、見た目より中味が進化したのだ。
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ちなみにエクステリアでは新デザインとなったグリルとアイアンマーク、そしてインテリアはT8ツインエンジンに新デザインのオレフォス社製クリスタルシフトノブが採用されるなどが視覚的にすぐにわかる変更 分である。しかし、それ以外に大きな変更はなく、キープコンセプトである。
では目に見えない部分はどう変わったのか。まずはT8ツインエンジンに搭載される駆動用リチウムイオンバッテリーの進化があげられる。容量が30Ahから34Ahに拡大され、EV走行距離が従来の35.4kmから40.4kmに拡大したのである。またバッテリーのマネージメントも進化しているように感じられ、「ピュア」モードでのEV走行距離は、より実用的な距離を実現している。
そして先進の安全・運転支援システム(ADAS)の充実も特筆すべきポイントである。ボルボのADASをパッケージしたインテリセーフが標準装備であることに変わりはないが、その中味が進化した。具体的にはシティセーフティ(衝突回避・ 被害軽減ブレーキシステム)に「ステアリングサポート(衝突回避支援機能)」と「衝突回避・被害軽減ブレーキ付きCTA(クロストラフィックアラート)」が追加されたのだ。
モーターとエンジンが強調した走りは魅力的
前者は、被害軽減ブレーキだけで衝突を回避できない場合、ドライバーのステアリング操作が障害物の回避に不十分であれば、適切な操作量を確保できるようステアリング操作を補助すると同時に前後輪のブレーキを作動させ緊急回避操作を安全に行えるように支援するという機能である。
そして後者は、駐車スペースなどからの後退時に、リアバンパーに内蔵されたミリ波レーダーによって接近する車両、歩行者、サイクリストの存在を検知、警告音でドライバーに知らせるとともに必要に応じて被害軽減ブレーキを作動させ衝突の回避、被害を軽減するというものだ。また駐車操作を支援する「パークアシスト」に被害軽減ブレーキも追加され、車両前後の予想進路内に車両や歩行者を検知した場合自動的にブレーキがかかるようになった。
ボルボのPHEVは長期テスト車に導入していたこともあり多く試乗している。そのメリットは十分に知っているつもりだ。自宅や勤務先、そして行動範囲の中で充電施設があり、マメに充電すればするほどそのメリットを味わうことができる。走り出しをモーターがアシストし、エンジンに切り替わってもその走行フィールは実にスマート。モーターとエンジンの協調も実に見事である。
電動化に積極的なボルボは今後、新しい電動化モデルの日本市場への導入が控えている。ただし、その実力は今のところ未知数である。しかし、このT8ツインエンジンの完成度を知ると「そんな心配は無用」なのかもしれない。(文:MotorMagazine編集部 千葉知充/写真:永元秀和)
■ボルボ XC90 T8ツインエンジン AWD インスクリプション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4950×1960×1760mm
●ホイールベース:2985mm
●車両重量:2370kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+スーパーチャージャー+モーター×2
●総排気量:1968cc
●エンジン最高出力:233kW(318ps)/6000rpm
●エンジン最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2200−5400rpm
●モーター最高出力:34kW(前)+65kW(後)
●モーター最大トルク:160Nm(前)+240Nm(後)
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●WLTCモード燃費:12.8km/L
●タイヤサイズ:275/40R21
●車両価格(税込):1129万円
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みんなのコメント
相変わらず欧州フルサイズSUVは重いな。
せめて2トン以内になればな。
EVになると変わるのかな。
WLTCモード燃費が12.8km/Lってのも、褒められない。
少なくとも、環境に良い要素はないね。