歩道橋が「バリア」に
歩道橋は全国におよそ1万1500橋あります。国土交通省の「道路統計年報」によると、その数は2009(平成21)年から2015年までの5年間で多少の増減はあるものの、ほぼ横ばい。新しい道路の開通にともなって新設された歩道橋がある一方で、古いものについて、架け替えではなく撤去されていると推測されます。実際、歩道橋が老朽化にともない撤去されて横断歩道に変わったという話は、最近よく耳にします。
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歩道橋は新設される一方で、なぜ架け替えではなく撤去されているのでしょうか。たとえば京都市では、2015年に市が管理する40橋のうち18橋を撤去の対象に選定し、順次着手しているといいます。同市建設局に話を聞きました。
――歩道橋をなぜ撤去するのでしょうか?
当市が管理する横断歩道橋の多くは昭和40年代から50年代にかけて整備されたもので、経年による老朽化や景観上の問題のほか、お年寄りやベビーカーを利用される方にとって歩道橋そのものが「バリア」となっているという側面があります。人と公共交通を優先する「歩くまち京都」を目指す事業のひとつとして、個々の歩道橋のありかたを見直し、不要と判断したものについて撤去を進めています。
――現在は何橋撤去したのでしょうか?
2015年に発表した計画で「早急に撤去していくもの」とした10橋のうち、4橋を2016年度末までに撤去済みです。これらは、通学路に指定されていない、あるいは通学路であっても児童の利用が極めて少なく、かつ近くに横断歩道の確保が可能な歩道橋です。代替として横断歩道を設けていることもあり、撤去によって支障が生じたという声は聞かれません。
――維持管理するよりも撤去したほうが安いのでしょうか?
橋を何年使い続けるかはそれぞれ異なるので、単純に維持管理費と撤去費を比較するのは難しいですが、撤去したほうが安くなる場合があるのは事実です。昨今、道路施設の老朽化が叫ばれ維持管理のあり方が全国的に見直されるなかで、施設の「撤去」も選択肢のひとつとし、施設保有数の最適化を図っていくという動きがあります。
残すべきところは残す 維持管理費を賄うための秘策とは
――「残してほしい」という声はないのでしょうか?
道路条件などにより横断歩道が設けられない場所については、今後、地元と調整していくなかでそうした声も出てくるかもしれません。ただ、歩道橋が歩道の幅員を圧迫しているケースも多く、むしろ「何とかならないか」といった声も聞かれます。
※ ※ ※
京都市によると、「歩道橋の多くはもともと、交通事故と渋滞、双方の対策として歩行者とクルマを構造的に分離するためにつくられたものです。当時はこれで安心が得られたのかもしれませんが、現在は子どもも少なくなり、使われ方が変わってきています」と話します。京都市では歩道橋存続の条件のひとつとして、「児童の利用者数がおおむね100人」を想定していますが、それを満たすものについても「利用実態を今後ていねいに検証していく」としています。
このように歩道橋が撤去される背景には、道路施設の維持管理を効率化する目的があることがわかります。一方で、残すべきところの維持管理費用を賄うため、歩道橋のネーミングライツ(命名権)を民間に販売するといった手法も全国の自治体で行われています。
たとえばさいたま市では、市が管理する一部の歩道橋について1橋あたり月額2万5000円以上という条件で、2015年からネーミングライツのパートナーを募集。「〇〇歩道橋」という正式名のほかに、法人名や商品名、ロゴマーク、キャッチフレーズなどを橋桁(はしげた)に表示することができるとしています。さいたま市はその趣旨について、「販売収入を歩道橋の維持管理に充てることと、民間企業の地域活動、社会貢献の場を提供すること」といいます。
さいたま市がネーミングライツの対象としている歩道橋は42橋ありますが、2017年9月現在、パートナーが決定しているのは15橋に留まっています。ただ、パートナーが集まらなかった橋が撤去の対象になるようなことはなく、「そもそも撤去を検討している歩道橋についてはパートナー募集をしていません。また、ネーミングライツで得た収入を撤去費用に充てることもありません」といいます。パートナー未決定の27橋については、引き続き募集していくそうです。
古い歩道橋の撤去を進めつつ、地域の協力を得ながら、残すべきところをどう維持管理していくか、全国の自治体が知恵を絞っているようです。
【写真】歩道橋の「ネーミングライツ」とは?
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