現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アストン・ヴァンキッシュS「ヴォランテ」試乗記 2017年版、理性で選ぶなかれ

ここから本文です

アストン・ヴァンキッシュS「ヴォランテ」試乗記 2017年版、理性で選ぶなかれ

掲載 更新
アストン・ヴァンキッシュS「ヴォランテ」試乗記 2017年版、理性で選ぶなかれ

■どんなクルマ?

アストン マーティンは今年のはじめ、ヴァンキッシュSのソフトトップオープン版、すなわち「ヴォランテ」を完成させていた。

リアに注目 アストンDB11S 馬力よりコーナリング重視 2018年登場

しかし、その頃はあまりにも寒く、初試乗はこの暑いさ中まで待つこととなった。

昨年、それもDB11の登場以降は特に、スーパーGTであるべきモデルが「スーパー」と呼ぶには十分ではないと、アストンは感じたようで、ヴァンキッシュを改良した。

そうして、2年の延命が図られたのがヴァンキッシュSである。

■どんな感じ?

2017年ヴァンキッシュS どう違う?

5.9ℓ(肩書的には6.0)の自然吸気V12は、トルクこそ64.3kg-mのままだが、パワーは573psから600psへアップした。

音量も増したが、これは抵抗が減少した新たなエグゾーストシステムによるもの。この排気系と、やはり改良された吸気系が、パワーアップに貢献している。すでにクーペで数千マイルを走っているが、そのサウンドは素晴らしく、少しも飽きるものではない。


ヴォランテならではの変更点も

クーペに施された空力対策は、ヴォランテのエクステリアにも受け継がれた。しかし、オープン化によって、クーペほど効果的に機能しないことが予想される。

クーペとヴォランテで最も大きく異なるのはサスペンションだ。従来から改良を受けたのはクーペもヴォランテも同様で、ジオメトリーやスプリング、スタビライザーは共有する。

しかし、ヴォランテは重量の増加と配分変化に対応して、アダプティブダンパーのレートが変更されている。

見ようによっては、このクルマはオールドスクールなコンバーチブルだ。ミドエンジンのモデルでは、オープン化での重量増加は50kg以下に抑えられるのが当たり前となりつつあり、剛性低下もほぼ認められない。

対してこのヴォランテは、フロントエンジンのアルミ構造を持つ2+2で、後席を持つ分だけキャビンが広く、オープン化では剛性を担う構造部材がより広範囲にわたって切り飛ばされることになる。

そこに重量のかさむ電動開閉機構と、遮音性や耐候性を追及したファブリックのフードを設置すると、補強も含めて100kg程度は車重が上乗せされてしまう。


「クーペorオープン」という次元ではない

クーペモデルよりスポーツ的な要素が損なわれるのは、やむを得ないところだ。しかし、クーペかオープンか、という選択にはならないように思われる。

ヴォランテの比較対象になるのは、フェラーリ・カリフォルニアTやロールス・ロイス・ドーン、ベントレー・コンチネンタルGTコンバーチブルといったところか。

そうしたライバルに対して、ヴォランテの競争力は高い。少なくとも、フェラーリ812スーパーファストまでも相手にしなくてはいけない市場に投入されたクーペよりは。

ライバルとの比較はともかく、オープン化は、クーペにあったヴァンキッシュSのキャラクターをいささかも損なうものではなかった。乗り心地は変わらず良好で、ボディコントロールもタイトなままだ。

たしかにバタつきはあるし、不整路面ではルームミラーにわずかながら震えが出る。ステアリングのキックバックや振動も、剛性の低下を感じさせる。

ただし思うことがある。


快楽を求める、すべての大人へ

そもそも剛性に非の打ち所がないスーパーGTを求めるユーザーは、コンバーチブルを選ばないだろう。それよりも、アストンらしいシャシーバランスが、オープンボディでも味わえる喜びを楽しんでほしい。

ステアリングはリニアなままであり、スロットルのレスポンスは爽快で、8段ATはほんのわずかな遊びを残しつつもしっかりと噛み合い、そのうえ素晴らしいサウンドは耳に届きやすくなっている。

■「買い」か?

このクルマは、現在の市場に出回っているうちでも最高のルックスを備えたコンバーチブルだ。

そして、おそらくはサウンドの面でもベストだろう。最高の1台かどうかは断言できないが、それに限りなく近いものではある。

完全バランスの12気筒で、サウンドを損ねるターボはなく、排気抵抗を減らすフリーフロー・エグゾーストを備えるのだ。

クーペより剛性面で劣るのは間違いない。しかし、コンバーチブル市場においては、極めて高い競争力のある1台だ。迷わず買っていい。

アストン マーティン・ヴァンキッシュSヴォランテ

こんな記事も読まれています

24年GWの「高速道路渋滞」後半4連休が“激コミ”の予想! どの車線が早く進む? 一般道への迂回は逆効果ってホント!?
24年GWの「高速道路渋滞」後半4連休が“激コミ”の予想! どの車線が早く進む? 一般道への迂回は逆効果ってホント!?
くるまのニュース
RIP SLYME、Crystal Kayの出演も決定! ハーレー主催の「ブルスカ」参加アーティストを発表
RIP SLYME、Crystal Kayの出演も決定! ハーレー主催の「ブルスカ」参加アーティストを発表
バイクのニュース
疲れ知らずのドライビング体験!シート交換がもたらす快適性の秘密~カスタムHOW TO~
疲れ知らずのドライビング体験!シート交換がもたらす快適性の秘密~カスタムHOW TO~
レスポンス
なんかシビッククロスオーバーぽいぞ!!  ホンダ[新型SUV]の内装が超絶イイ!!  好みの匂いにできるってマジでなに????【北京ショー】
なんかシビッククロスオーバーぽいぞ!!  ホンダ[新型SUV]の内装が超絶イイ!!  好みの匂いにできるってマジでなに????【北京ショー】
ベストカーWeb
【10年ひと昔の新車】日産 NV350キャラバンは、ビジネスでも趣味でも頼れる相棒として誕生した
【10年ひと昔の新車】日産 NV350キャラバンは、ビジネスでも趣味でも頼れる相棒として誕生した
Webモーターマガジン
【原付二種/軽二輪】新開発の水冷エンジン搭載!! マットモーターサイクルが新型車「DRK-01」を発売
【原付二種/軽二輪】新開発の水冷エンジン搭載!! マットモーターサイクルが新型車「DRK-01」を発売
WEBヤングマシン
いよいよ帰省ラッシュ! 一人前のドライバーとは、渋滞時の「後続車」に配慮できる人間である
いよいよ帰省ラッシュ! 一人前のドライバーとは、渋滞時の「後続車」に配慮できる人間である
Merkmal
200万円級のトヨタ「コンパクトSUV」何がいい? 「ちょうど良すぎる」のが魅力!? 大人気の「カローラクロス」支持される理由は?
200万円級のトヨタ「コンパクトSUV」何がいい? 「ちょうど良すぎる」のが魅力!? 大人気の「カローラクロス」支持される理由は?
くるまのニュース
え、めっちゃカッコいいじゃん!!  薄目ライトがヤバい!!  巨大モニターの内装も羨ましいデキ【北京ショー】
え、めっちゃカッコいいじゃん!!  薄目ライトがヤバい!!  巨大モニターの内装も羨ましいデキ【北京ショー】
ベストカーWeb
日本一地味な高速道路は「播磨道」に決定! いったいどんな道なのか?【清水草一の道路ニュース】
日本一地味な高速道路は「播磨道」に決定! いったいどんな道なのか?【清水草一の道路ニュース】
ベストカーWeb
ヤマハ「XMAX」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
ヤマハ「XMAX」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
[EV版クラウン]爆誕!? 全長5mオーバーの本格高級セダンがヤバいカッコいいゾ!!【北京ショー】
[EV版クラウン]爆誕!? 全長5mオーバーの本格高級セダンがヤバいカッコいいゾ!!【北京ショー】
ベストカーWeb
運転しやすく車内も広い! 就寝スペースもバッチリ確保できる日産NV200バネットがベースのキャンパー
運転しやすく車内も広い! 就寝スペースもバッチリ確保できる日産NV200バネットがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
ええ、[初代オデッセイ]のスペアタイヤマジかよ!! もうちょい置き場所なかったのか!?
ええ、[初代オデッセイ]のスペアタイヤマジかよ!! もうちょい置き場所なかったのか!?
ベストカーWeb
バニャイア、不調断ち切る渾身のアタックで初日最速。2年ぶりに3名がレコード更新/第4戦スペインGP
バニャイア、不調断ち切る渾身のアタックで初日最速。2年ぶりに3名がレコード更新/第4戦スペインGP
AUTOSPORT web
ヤマハ、クラッチローのワイルドカード参戦計画を発表。イタリアGPを皮切りに計3戦に出走/MotoGP
ヤマハ、クラッチローのワイルドカード参戦計画を発表。イタリアGPを皮切りに計3戦に出走/MotoGP
AUTOSPORT web
新型CX-80が待ち遠しい! マツダが今年も良いSUVを揃えて来た 今季注目のSUVも交えて一挙公開
新型CX-80が待ち遠しい! マツダが今年も良いSUVを揃えて来た 今季注目のSUVも交えて一挙公開
ベストカーWeb
周冠宇、中国マクドナルドのビーフバーガー・アンバサダーに就任
周冠宇、中国マクドナルドのビーフバーガー・アンバサダーに就任
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3458.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1270.02640.0万円

中古車を検索
ヴァンキッシュの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3458.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1270.02640.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村