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実はe-POWER方式が最適!? 軽自動車でハイブリッドは成立するのか ホンダは発売を明言!!

掲載 更新 37
実はe-POWER方式が最適!? 軽自動車でハイブリッドは成立するのか ホンダは発売を明言!!

 ホンダ新社長が投入を明言! 軽のハイブリッド、実現の課題は?

 2021年4月23日、ホンダの三部敏宏新社長は就任会見で「2024年に軽自動車のEVを投入するなど、ハイブリッド・EVによる軽自動車の電動化も進めていきます」とコメント。これまで軽自動車には本格的なハイブリッドがないなかで、その投入を明言したのだ。

20年後には全EV&FCV化!! ホンダの「2040年エンジン車全廃」は本当に可能なのか?

 では、実際に軽のハイブリッドは成立するのか? 課題と合わせてその可能性を解説。

文/高根英幸 写真/編集部、HONDA、NISSAN

【画像ギャラリー】2020年度軽自販売首位N-BOX&4月22日に発売された新型ヴェゼルをみる

ホンダが発売明言も軽HVは簡易版しか存在せず

2020年軽自動車新車販売台数首位を獲得したホンダN-BOXは、ガソリン仕様のみ。ハイブリッドシステムはまだ搭載されていない

 ホンダの社長交代は時代の流れとして当然のことではあるが、2040年に完全電動化の方針を発表したことに、自動車業界は相当な驚きをもった。

 もちろん三部新社長は2040年には経営には関わっていないだろうが、あのホンダがエンジンを完全に捨て去ると明言したことに、ホンダの覚悟と目指す方向性が感じ取れる。

 「タイプR」を筆頭とする高性能エンジンは、ホンダだけがもつ魅力的な武器であり、昨今のシビックタイプRの人気ぶりを見てもエンジンを捨てるのは、クルマ好きから見ればちょっともったいないという気もする。

 だが、これから先エンジンは急速に需要を失っていく気配であるから(筆者はまた見直される、とも思っているのだが)、企業が生き残っていくための手段としては仕方ない。

 ところでEVとFCVだけに絞り込む、となれば、軽自動車はどうするのかと思うユーザーも多いだろう。何しろ現在のホンダの四輪車販売は大半が軽自動車。それだけ優れた軽自動車を作っているのだが、軽自動車をEVやFCVにしても売れて、利益が出る構造にしなければ、企業として存続できない。

 これについても三部新社長は「2024年に軽自動車のEVを投入するなど、ハイブリッド・EVによる軽自動車の電動化も進めていきます」と語っている。つまり、現在の計画として2024年までに軽自動車のラインナップにEVを追加し、その後でハイブリッドも投入するというのである。

 ハイブリッドの軽自動車を開発することは、技術的にはもちろん可能だ。

 トヨタ、ホンダのストロングハイブリッド(パラレルハイブリッドとシリーズハイブリッドの両方の機能を併せ持つ)技術は世界一であり、スズキやダイハツもトヨタグループであるからハイブリッドの技術供与(公開された特許部分だけではないハズ)や、部品の共通化による開発の効率化や部品の調達コスト軽減も期待できる。

 だが、それでも今まで軽自動車にフルハイブリッドが存在しなかったことを考えれば、それがすぐに実現できるものではないことが理解できるのではないだろうか。

HVはEVより複雑で部品コストが嵩むのが課題

 よく言われることだが、EVはエンジン車に比べ構造が大幅にシンプルなクルマだ。

 EVならば走行用モーターとバッテリー、PCUだけで済むものが、ハイブリッドになるとエンジンと変速機、モーターとバッテリー、PCUが必要になる。バッテリーの搭載量は減らせるが、エンジンと変速機を搭載するコストと重量を考えると、安く軽く作ることは難しいのだ。

 そう考えると軽自動車が全車EVとなるのもバッテリーの性能が上がって、なおかつコストも安くなるまで待たなければならないだろう。それまでのつなぎとしてもハイブリッドは必要なのだ。

 またプラグインハイブリッド(PHEV)にするには、ある程度バッテリーを積む必要があるから、EVと比べてコスト面で有利にはならない。当分はEVとハイブリッド車の両立で、軽自動車市場(それが存続されるとすれば、だが)は構築されていくことになると思われる。

スズキの「Sエネチャージ」は、加速時にモーターをアシストするマイルドハイブリッド。同社以外の軽は現状、ガソリンエンジン車のみだ

 しかし、軽自動車でフルハイブリッドを実現しようとすると、技術面以外の問題がハードルとなってくるのだ。軽量な軽自動車にはマイルドハイブリッドの相性が良いことは、スズキのSエネチャージや日産/三菱の軽自動車に搭載されているハイブリッドを見ればわかるだろう。

 しかし、今よりも大幅に環境性能を高めるならば、モーターで走る領域を拡大しなければ不可能だ。それにはフルハイブリッドが必要になる。

軽にはストロングHVではなくe-POWER方式が最適

パラレルHVのホンダ i-MMD(現:e:HEV)とエンジンを発電機として利用するe-POWERのシステム図。軽自動車ではよりシンプルなシリーズHVのe-POWERに分があるという

 軽自動車として使い方(乗員や荷物の積載、行動半径など)を考慮すれば、強力な加速が期待できるパラレルハイブリッドはあまり必要ない。エンジンで発電機を回し、バッテリーに一時蓄えて走るシリーズハイブリッドで充分だ。

 つまり日産のe-POWERは、軽自動車にも最適なハイブリッドシステムにできるのだ。日産は前回の東京モーターショーで発表した軽自動車のEVモデルを発売する計画だが、やがてe-POWERもラインナップに加えるだろう。

 シリーズハイブリッドに限定してしまえば、変速機は必要ないしバッテリーも小さくて済む。モーターも1つで済むので、フルハイブリッドの中ではかなりシンプルに構築できるのだ。

 日産は北米市場向けには可変圧縮エンジン(しかもターボ付き!)を組み合せたe-POWERを登場させている。軽自動車であれば660ccのNAか、さらに小さいエンジンでも発電用としては利用できる。

 そうなると、3気筒では重く複雑なので、1~2気筒エンジンを搭載することも検討しなくてはならないが、問題は振動面だ。折角モーターで走行するのにエンジンの振動が大きければ、シリーズハイブリッドとしての魅力は半減だ。

 そこで水平対向エンジンや対向ピストンエンジン、タンデムクランクエンジンなど、昔使われたエンジンや実験室でしか動いていなかった、面白いレイアウトのエンジンが市販車に採用される可能性も出てくる。

マツダは3代目デミオベースでREレンジエクステンダーを試作。走行距離の延長を目的とし、ロータリーエンジンを活用したシステムを搭載していた

 何ならスズキやダイハツはマツダから技術供与、もしくは生産委託などで小型のロータリーエンジンを搭載したシリーズハイブリッドを開発する、なんてことも夢物語ではなくなってくる。

 こう考えると、この先の軽自動車のメカニズムも、案外面白いモノになっていくかもしれない可能性が見えてくる。

 各社(といっても3グループに絞られるが)でアイデア溢れるパワートレーンを開発して、環境性能に優れたハイブリッド軽自動車が市場に咲き乱れる時代が、しばらくは続くのかも。そう考えれば、まだまだクルマは楽しめそうだ。

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みんなのコメント

37件
  • 日産のe-POWERを引き合いに出して
    ホンダを持ち上げるという、
    まるで空気を読まずに自分のにわか持論だけを
    アツく語るウザいオタクの記事みたいだ。

    それならどうして日産/三菱のハイブリッド軽自動車は
    e-POWERじゃなくてS-ハイブリッドなのかな?
  • さすがに単気筒は無いと思うが。
    中途半端な3気筒より、2気筒の音と振動は悪くない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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