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F1メカ解説|”スピードの殿堂”モンツァに持ち込まれた、各F1チームのリヤウイングを徹底比較。特注品を投入するか? あるいはコスト抑制を狙うか?

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F1メカ解説|”スピードの殿堂”モンツァに持ち込まれた、各F1チームのリヤウイングを徹底比較。特注品を投入するか? あるいはコスト抑制を狙うか?

 F1のカレンダーには、高速コースも存在する。しかしその中でもF1イタリアGPの舞台であるモンツァ・サーキットは、「スピードの殿堂」とも言われるほど、超高速サーキットとして孤高の存在である。

 そのモンツァで速く走るため、各チームは特別仕様のパッケージを持ち込むのが常だ。しかし全チームのアプローチが同じわけではない。新しいパッケージを用意するために最大限の努力を行なうチームもあれば、その場限りの調整でお茶を濁すチームもある。後者の場合は、年間の予算上限額が制限されているのと、無関係ではないだろう。

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■レッドブル

 レッドブルは、直線スピードという点である程度の優位性があることはすでに分かっている。しかし、自由に使えるリヤウイングのソリューションが、いくつか存在する。

 レッドブルの低ダウンフォースバージョンのリヤウイングは、フラップの後端が削り取られ、全体的に薄くなっている。後端には取り外すこともできるガーニーフラップも装着されている。

 一方でより大きなダウンフォースを生むバージョンは、フラップ後端が削られていない。ただ、中央部分にはV字型の切り欠きがある。

 フラップの後端だけを削り取るという解決策は、確かに費用対効果の高いアプローチである。ウイング全体が再設計されたわけではないため、妥協策であるのは間違いないが、かかる費用は大きく節約できる。その一方、妥協策であるが故に、DRSを開いた時のパフォーマンスは犠牲になるはずだ。

 ただレッドブルは、ビームウイングによってリヤウイングとディフューザーの間の空力をサポートし、マシンのリヤエンドのダウンフォースと空気抵抗のバランスをとっている。

 もちろん、このダウンフォースと空気抵抗のバランスは、マシンのリヤエンドにのみ関係してくるというものではない。マシンの前後バランスもしっかりととらねばならず、そのためにレッドブルは、フロントウイングのフラップを薄いモノに変えて来ている。

■メルセデス

 メルセデスもまた、モンツァに向けて低ダウンフォースかつ空気抵抗の少ないリヤウイングとビームウイングの組み合わせを選択してきた。

 リヤウイングのフラップは、後端がトリミングされ、薄い形状になっている。しかし、レッドブルのようなガーニーフラップは取り付けられていない。

 一方、翼端板の後端上部の角を埋めるパネルも復活。チームはこの部分について、低ダウンフォースのパッケージが必要のサーキットで空気抵抗との間にバランスを生み出す、有用なメカニズムだと認識したのだろう。

 このパネルのフラップ側は、上端が少し持ち上げられ、段差がつけられている。この部分に、フラップのピボットが取り付けられている。

 メルセデスが、ビームウイングを1枚のみにしてきたことも、注目に値する。これはレッドブルやウイリアムズが、シーズンを通じて空気抵抗を削減するために採ってきた措置と同じである。

■アストンマーチン

 アストンマーチンは、空気抵抗削減のために、フラップの後端をトリミング。その上で、ガーニーフラップを取り付けるという選択を下した。これに1枚仕様のビームウイングを組み合わせている。このビームウイングは、2枚のモノと比べて角度が大きくなっている。

■フェラーリ

 フェラーリはモンツァ専用のリヤウイングを用意。ライバルに比べて、直線スピードを高める方法を模索してきた。

 この専用リヤウイングは、通常のモノよりもメインプレーンがはるかに平坦であり、必要なダウンフォースを発生しつつ空気抵抗とのバランスを保つために、中央部分に向けて若干窪んだスプーン形状になっている。

 なおこのリヤウイングのフラップは、かなり寝かされているが、前後長を長めに取ることで、DRSを使った時の効果を最大限に維持しようとしている。

 また前後の空力バランスを整えるためにフェラーリは、フロントウイングのフラップも薄いモノに変更している。

■マクラーレン

 マクラーレンはFP1で、2種類のリヤウイングとビームウイングの組み合わせを評価。フロービズを塗り、その効果を積極的に見極めた。

 今回持ち込まれた2種類のソリューションは、大きく異なるものだった。ランド・ノリスが走らせた仕様は、メインプレーンが若干スプーン形状になっており、ダウンフォースの発生量が僅かに高いモノであると思われる。しかしフラップの後端はメインプレーンの形状に合わせるようにトリミングされている。

 また、翼端板とフラップの接続部、後端角の部分にはパネルが取り付けられ、角ばっているのもお分かりいただけるだろう。これは前述のメルセデスのソリューションに似たものだ。

 一方でオスカー・ピアストリが走らせた仕様は、フラップとメインプレーンが直線的であり、翼端板との角も丸みを帯びた形状である。

 なお2台の仕様では、ビームウイングの形状も大きく異なっている。このビームウイングとリヤウイングの組み合わせで、空力効率のバランスをとっているということなのだろう。

■アルファロメオ

 アルファロメオは、魅力的な複数のソリューションを組み合わせてきた。その中には、今週末発表された中で最も興味深いデザインと言えるモノもある。

 メインプレーンは、フェラーリと同じようにほぼ平らである。そしてその前端は、翼端板の前端よりも後方に位置しており、これはシーズン序盤にアルピーヌも使ったデザインだ。

 このウイングを支えるために、スワンネック型の2本のステーが設けられているが、通常よりも後方に延ばしつつ、低く設計しなければならないため、非常に斬新なデザインであると言える。そのステーのメインプレーン上の接続部分は、後方が低くなっており、この部分の気流に悪影響を与えないような解決策が取られているものだと思われる。

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