この記事をまとめると
■「オーテック里帰りミーティング2024」には過去最多の405台がエントリーした
イベントに行ってもなぜか雑誌やWEBに掲載されない! 「こうすれば取材される」をイベント取材の達人が伝授
■過去のモデルから最新車種まで、目立っていたオーナーカーを何台かピックアップ
■どの車両もクルマへの強い愛が感じられる仕上がりだった
ジャンルに縛られないバラエティ豊かな日産車たちが集った
日産の二大カスタマイズブランドであるNISMOとオーテックが2022年に統合され設立されたNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)が主催するオーナーズミーティングである、オーテック里帰りミーティング。
イベント会場に展示できるのは、日産車をベースにNISMOならびにAUTECHの手が加えられた車両のみとなるが、本年度は歴代最多となる405台のエントリーを集めた。そんな中から、編集部が独断と偏見で選んだオーナーカーを何台かピックアップして紹介してゆく。
まずは、過去に生産されたレアなオーテック架装車両を2台ご紹介しよう。
アンダーしまださん:スカイライン GTS オーテックバージョン
1台目は、R31型スカイライン GTS オーテックバージョンに乗るアンダーしまださんの一台。2桁ナンバーに、純正プラスアルファといった当時感漂うカスタマイズが施されたシブいクルマながら、20代とお若いオーナーさんだったので驚いた。
R31スカイラインのオーテックバージョンは、GTSグレードをベースとしながらもタービンやEXマニホールドが変更されており、グループAホモロゲモデルのGTS-Rと同等の210馬力を発生するモデル。それだけではなく、スカイラインの父と呼ばれる桜井眞一郎氏がオーテックジャパン初代社長に就任してから初めて手がけたスカイラインのコンプリートモデルという点でも名高い一台だ。
聞けば、このスカイラインはもともとお父さまが保有していたクルマで、それを自らの手でレストアして乗っているということ。それゆえ若いオーナーさんながら2桁ナンバーを付けていたのである。抹消しないで取っておいてもらったものの、放置期間が長く車検取得まで持っていくにはかなり苦労したと語ってくれた。なんとアツい話だろうか……。
そんなスカイラインのお気に入りポイントは、サイドの美しいボディラインだそう。たしかにこの流麗なラインは独特のものだ。
また、足もとにもこだわりが。当時感ムンムンのRAYS VOLK RACING Gr.CV PROは、どうしてもリヤ用にぴったりハマるサイズが見つからず、5穴のホイールを購入し、4穴のディスク面を合わせてリバレルしたのだという。そのリヤホイールは9.5Jの大迫力! 男なら言いたいですもんね、キューハン。
ぱっと見はやりすぎていないけれど、じつはやりすぎている(?)カスタマイズのセンスと、あふれるクルマ愛を感じるオーナーさんだった。
政さん:シルビア ヴァリエッタ
続いては、ただでさえ目立つシルビア・ヴァリエッタのなかでもひときわ目立っていた政さんの一台。
シルビア・ヴァリエッタは、ご存知S15型シルビアをベースに、国産車初となるフルオープンタイプの電動式メタルルーフを備えたクーペカブリオレとしてオーテックが販売していたモデルだ。
可動式のトップを途中で止めておくというユニークな展示方法だったが、そのカスタマイズの凄まじさといったらユニークどころの騒ぎではなかった。
まず目に飛び込んでくるのがベース車からガラッと様変わりした内装。
ほとんどのパネルにブラウンとブラックのスウェードがあしらわれており、ディスプレイやオーディオといたデバイス類はスマートに埋め込まれている。そのなかでひときわ鮮やかに目立つメーターパネルももちろんワンオフ。ここまでやるか……と唸るほどの手の込みようと完成度だ。
リヤにまわると、これまた純正とは明らかに雰囲気を異にするテールランプが目につく。S15シルビアの社外テールはそこそこ種類があったはずだが、こんな形状は見たことがない。無知を詫びるつもりで政さんに伺うと、当然のようにこちらもワンオフということだった。なんでも、この丸目2灯のテールランプの内側はIPFのカスタムテールで、外側はロータス・エリーゼ用を流用したとのこと。既製品と見まごうほどのあまりの自然な仕上がりには空いた口が塞がらない。
そのほかにも、トランクいっぱいに敷き詰められたMcIntoshのオーディオシステム、V36型スカイライン用ブレーキキャリパー流用などなど、すべてを紹介していったら一冊の本が書けそうなほどのカスタマイズが施されている政さんのシルビア・ヴァリエッタ。
しかし、なにより驚きなのは、これらのカスタマイズがすべて政さんご本人の手によるものだということ。いわれなければDIYとは思わないようなクオリティの高さには感服するほかない。まさにDIYマスターといって差し支えないだろう政さんのシルビアのカスタマイズ部位は、画像ギャラリー内にもいくつか掲載させていただいている(もっとも、氷山の一角だろうが……)。
多数エントリーの人気モデルのなかでも個性的な2台
じつは、今回のミーティングにおいてダントツで参加台数が多かった車種は、現行モデルも大人気のセレナとノート。というわけで、ここからはその2車種にお乗りのオーナーさんの愛車をそれぞれ1台ずつ紹介してゆく。
セナさん:セレナ e-POWER AUTECH
まずは、昨年デビューしたばかりの現行C29セレナ e-POWER AUTECHにお乗りのセナさんの一台。
さまざまなカスタムが施されたセレナが所狭しと並ぶなか、セナさんのセレナは一見しただけではノーマルと言われても納得してしまいそうな落ち着いた佇まいかもしれない。だが、このセレナ、じつはビックリするほどのこだわりが詰まった一台なのである。早速紹介してゆこう。
注目はなんといってもその足もと。AUTECHならではとなる、エアロパーツに加えられたシルバーの加飾に合わせた高輝度塗装の18インチアルミホイールは、大径ながらもどこか上品で純正のような佇まい。このデザインにどこかで見覚えがあるという方はなかなかの日産党だ。
そう、このホイールはZ34型フェアレディZの純正アルミホイールなのである。セナさんはこのセレナの他にZ32型フェアレディZも保有しており、もともとはそのZのためにホイールを購入。だが、Zへのフィッティングに問題が生じたことから、セレナに付けてみた……という経緯だそう。
また、「AUTECH」のロゴが入ったホイールのセンターキャップはお手製なんだとか! クルマの雰囲気に合っているだけではなく、小技も光るセンス抜群のフィットメントだ。
小技は足もとだけにとどまらない。純正オプションでは派手すぎたというこれまた自作のアンビエントライトが車内外に目立たないようあしらわれるほか、リヤガラス5面にスモークフィルムを施工。セレナのスリークなデザインをいっそう引き立てている。
派手すぎないものの、蓋を開ければ手が込んだカスタムで、セレナ AUTECHが元来もつスタイルの魅力を120%引き出しているセナさんのセレナ。聞けばセナさんは、これまでもパルサー、サニーなどを乗り継いできた生粋の日産党。純正パーツを活かしたカスタムも朝飯前なのかもしれない。
take.tさん:ノート NISMO S
最後は、こちらも人気車種のノート NISMOをピックアップ。先代となるE12型ノートのホットモデル、1.6リッターの直列4気筒エンジンに5速MTを組み合わせたノート NISMO Sに乗るtake.tさんの一台を紹介する。
使い込まれた牽引フックやマッドフラップが、ただのカスタムカーではないことを物語るtake.tさんのノート NISMO S。それもそのはず、このクルマはダートトライアルを舞台に戦う現役の競技車両なのだ。
ダートトライアルとは、未舗装路面=土の上のコースを走りタイムを競うモータースポーツ。ラリーのグラベルセクションを想像すると近しいかもしれない。激しい土煙を上げながら、ときには時速100kmを超える速度でダート上をマシンが滑走する姿は大迫力だ。
車内には、万が一(百が一くらいか?)の横転に備えてロールバーが張り巡らされる。撤去されたカーペット、競技用に変更されたステアリングも相まって非常にスパルタンな雰囲気だ。
また、ダートトライアルでほぼ必須となる、下まわり保護のためのアンダーガードをはじめとした競技専用部品はほぼワンオフだという。このように参加型モータースポーツに本格的に参戦しているクルマがあるということは、NISMO車両のポテンシャルを示しているといっても差し支えないだろう。
take.tさんは、神奈川県で行われるダートトライアル競技の運営メンバーとも関わりがあるそう。2025年度の「神奈川県戦」は5月よりスタート、練習会は4月からとなり、練習では迫力の走行を助手席から味わえる同乗走行の企画も予定しているため、ぜひ多くの方に来てほしいとのコメントをいただいた。
まだまだ紹介したいオーナーカーは数多いのだが、ページの都合上ここまでとさせていただく。今回紹介できなかったクルマも含めて、会場に並んでいたのはオーナーさんの熱意とこだわりが詰まったクルマばかりだった。
オーテック里帰りミーティングは次年度以降もきっと開催されるはずなので、興味を持ってくれた方はぜひとも足を運んでみてほしい。日産車オーナーでなくとも、きっと楽しめるはずだ。
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