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ワインディングで乗った日産の3台 SUVにミニバンと流行り車の実力は? 災い転じて新たな発見も

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ワインディングで乗った日産の3台 SUVにミニバンと流行り車の実力は? 災い転じて新たな発見も

寒い山道で試す日産の技術

もともとは凍った湖の上で行われる日産車の試乗会、ニッサン・インテリジェント・ウインター・ドライブのはずだった。

【画像】日産の3台 アリア/エクストレイル/セレナ 試乗の様子を見る 全54枚

それが暖冬の影響により氷の状態が思わしくないということで、会場である女神湖周辺の雪道を走り回る雪上試乗会に変更。ところが当日フタを開けてみたらその雪もほぼないというオチ。

1年前も似たようなラインナップで日産車の氷上レポートはしている。だから今回はスタッドレスタイヤを履いた試乗車を公道で走らせてみるのもアリかなと頭を切り替えることにした。実際のクルマの使用状況に近いし、たまに路面に氷が張り付いているようなシチュエーションもなくはないのである。

トップバッターはBEVのアリア

走りのキモとなるのはe-4ORCE。車体前後のモーターからの駆動力をブレーキの制御によって適切に4輪に分配するパワートレインとシャシーの統合制御システムである。

昨年はアリアの氷上におけるコントロール性の高さに感心させられたが、今回はどうか?

あらためてアリアを観察してみると、内外装のクオリティの高さがはっきりと伝わってきた。走りの印象も見た目のそれと符合する。床下バッテリーを守る構造材がフロアの補強にも効いているため体幹の強さが「段違い」といっていい。

蓼科(たてしな)あたりのワインディングを少ないステアリング切れ角でスイスイとフラットに切り取っていく。また今回の試乗車の中で最もスタッドレスタイヤ装着の悪影響を感じなかった点も評価できる。

タイヤに頼らず、e-4ORCEでスタビリティを確保できている効果だろう。冷涼な空気の中でアリアを思う存分走らせたあと久しぶりに「技術の日産」という言葉が思い浮かんだ。

ギミック満載、今後の進化に期待の1台

「技術の日産」という点ではエクストレイルだって負けてはいない

アリアほど未来的なスタイリングとはいえないが、駆動系に同じくe-4ORCEを採用している。

アリアと違うのはパワートレインがe-POWER、つまりエンジンで発電した電力をバッテリーに溜め、そしてモーターを駆動させるシリーズ・ハイブリッドであること。BEV特有のシンプルな構成のアリアに対し、今ある技術を全て投入した「全部のせ」感の強いモデルである。

走り出してすぐに感じたのは、エンジン音だった。発電用であるはずなのに、こちらのスロットルワークをトレースするように回転数が変化して、単なるガソリン車に乗っている気分になる。

特に今回、発電し続けている時間が長いと感じたのは、ツイスティで勾配のきつい山道と、暖房の温度をキープしなければならない極寒状況との相性の悪さだろう。

一方ドライブフィール自体にもまとまりのなさを感じた。見た目通りに重心が高く、ロールも大きくなりがち。ロールの頂点では柔らかめのスタッドレスタイヤがフラフラしてしまい、ピタッと定まらない感じを助長する。

アリアでは姿勢をフラットに保ち、走りの質感を上げていたはずのe-4ORCEの恩恵も感じられなかった。エンジニア氏いわく、デビュー2年でシステムが複雑なこともあり、まだまだに詰めていける領域が多く残されているとのこと。アリアの出来の良さを考えれば、今後の進化に期待せずにはいられない。

逆転のソロ弾。最後に福音あり

この日最後の試乗車はセレナだった

e-POWERハイウェイスターVというグレードで、前輪駆動。

タイヘン失礼ながら、正直あまり乗り気ではなかった。それでも昨年4月にデビューしたばかりの新型であり、乗ったことがなかったのでとりあえず雪っぽい景色でも見ながらドライブしてこようか……と走りはじめたらこれが大穴だった。

フロントマスクはこの手のミニバンの主流ともいうべき迫力系。顔から後ろはデザインというより室内の要件重視か。一方室内は外装と同じく直線基調で、少し懐かしい愚直な雰囲気が1980年代の日産車を思わせる、と感じたのは筆者だけだろうか。

その走りは例によってe-POWERの唸りが気になった。前輪が発するロードノイズも、スタッドレスだけにちゃんとある。最高出力は163psなので全くパワフルとはいえない。それでもこの白い箱はドライブしていて不思議なくらいストレスがなく、もっと走りたい!という気にさせてくれる1台だった。

全高1.9m近いミニバンで、アシも良く動きロールもそれなりにするのに、挙動をちゃんと把握できているという実感があって怖くない。パワーデリバリーも素直で、いつの間にかコーナーを楽しんでいる自分がいる。

前のクルマでは眉間にシワを寄せ、早々とこちらにステアリングを戻してきた編集K氏も、今回は「いくらでも乗っていられます」と運転席を譲らなかった。

開発担当の方に印象を話すと「そう感じていただけるように狙って作りました」とのこと。最後に伏兵? いや福音か。クルマは見た目やスペックじゃわからない。今回のセレナはその代表格だ。

試乗車のスペック

アリア B9 e-4ORCEリミテッド

価格:790万200円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4595×1850×1665mm
駆動方式:4WD
車両重量:2230kg
一充電走行距離:560km
駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
総電圧:352V
総電力量:91kWh
原動機フロント:交流同期電動機45kW
定格出力:218ps/5950~11960rpm
最大トルク:30.6kg-m/0~4392rpm
原動機リア:交流同期電動機45kW
定格出力:218ps/5950~11960rpm
最大トルク:30.6kg-m/0~4392rpm
タイヤサイズ:255/45R20(フロント)255/45R20(リア)

エクストレイル G e-4ORCE

価格:474万8700円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm
駆動方式:4WD
車両重量:1880kg
発電用エンジン形式:直列3気筒DOHC 1497cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:144ps/4400~5000rpm
最大トルク:25.5kg-m/2400~4000rpm
フロントモーター:交流同期電動機
最高出力:204ps/4501~7422rpm
最大トルク:25.5kg-m/0~3505rpm
動力用主電池:リチウムイオン電池
リアモーター:交流同期電動機
最高出力:136ps/4897~9504rpm
最大トルク:19.9kg-m/0~4897rpm
動力用主電池:リチウムイオン電池
タイヤサイズ:235/55R/19(フロント)235/55R/19(リア)

セレナ e-POWERハイウェイスターV

価格:368万6100円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4765×1715×1885mm
駆動方式:4WD
車両重量:1850kg
パワートレイン:直列3気筒DOHC 1433cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:98ps/5600rpm
最大トルク:12.5kg-m/5600rpm
モーター:交流同期発電機
最高出力:163ps
最大トルク:32.1kg-m
動力用主電池:リチウムイオン電池
タイヤサイズ:205/65R16(フロント)205/65R16(リア)

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