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試乗 BMW小型SUV「X2」 ディーゼルでもスポーティ ほかとは違う選択肢

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試乗 BMW小型SUV「X2」 ディーゼルでもスポーティ ほかとは違う選択肢

もくじ

どんなクルマ?
ー 大胆で、ほかとは違う選択肢
ー スポーティさは運動性能に優れたX1以上

スバルXV 2.0i SE 英国試乗 水平対向4気筒、力不足も輝き増す

どんな感じ?
ー 大きな変化を遂げたBMWのラインナップ
ー クロスオーバー? ハッチバック?
ー BMWらしいドライビングフィール
ー 乗り心地重視のドライバーには向かない

「買い」か?
ー X2が気に入ったなら、それが理由

スペック
ー BMW X2 xDrive20d Mスポーツのスペック

どんなクルマ?

大胆で、ほかとは違う選択肢

新しいBMW X2は、X1の兄弟車であり、ほかにはないスポーティさと多くの魅力を備えた、最近の流行のスポーツ・アクティビティ・ビークル。いよいよ右ハンドル版が英国に上陸した。

X2を初めて目にすると真っ先に気付くのが、そのコンパクトさ。X1と比較すると、ホイールベースは同じながらボディサイズは若干小さいうえ、デザイン的にもコンパクトに見えるスタイリングとなっているのだ。

通常のモデルはツートンカラーとなるが、このMスポーツの場合は単色となる。オプションのアルミホイールは20インチまでのサイズが揃う。すべてのX2で、CピラーにBMWのエンブレムが付く。

BMWは明らかにこのクルマの注目度を高めたいと狙っており、「大胆で、ほかとは違う選択肢」と謳っている。ここ1年の間に他メーカーがリリースしてきたプレミアム・クロスオーバーSUVというカテゴリーのモデル群を見れば、BMWが差別化させた位置づけにしたいことは容易に理解できる。

スポーティさは運動性能に優れたX1以上

X2のエンジンラインナップは当面は選択肢が少なく、ターボチャージャー付きの2ℓ4気筒のガソリンかディーゼルのみ。最高出力は150psから191psの幅に収まる。

駆動方式は、選択するエンジンとトランスミッションによって決められる。ガソリンエンジンモデル、20iの場合は、前輪駆動で7速ツインクラッチATとなり、ディーゼルエンジンモデル、20dの場合は、4輪駆動で8速ATが組み合わされる。間もなく登場する18dにはATのほかに、マニュアルも選択可能となり、マニュアルの場合には4輪駆動となる。

X2のルーフラインはX1よりも明らかに低い。クロスオーバーという括りでは充分に運動性能に優れたX1よりもさらに俊敏性を高めるため、サスペンションは締め上げられた。今回英国でテストするクルマはMスポーツ仕様だから、車高は下げられ、サスペンションはさらに硬いセッティングになっている。

バリアブルダンパーコントロール(VDC)アダプティブダンパーはオプションだが、ランフラットタイヤはMスポーツやMスポーツXには標準装備。ちなみに、SEかスポーツを選択すれば、ランフラットタイヤは避けることができる。

その実、英国での走りはどうなのだろうか。

どんな感じ?

大きな変化を遂げたBMWのラインナップ

かなり個性的に仕上がったスタイリングに注目が集まりそうだが、全体的には、すでにBMWのショールームに並んでいるハッチバックと大きな違いはない。ただ、一般的なSUVとも違うし、クーペでもない。わたしには、かなり大胆なデザインの5ドアボディをまとっているように見える。

X2の見た目が悪いと言っているのではない。むしろ好感が持てるし、実際の注目度も高そうだ。われわれのテスト車両がツートンカラーではなかった点も、見た目の印象に影響があると思う。とにかく、X2の真のライバルモデルと比較する場合、このスタイリングがどう判断されるのか、興味深い。

もっとも気になるところは、それほどの違いを見いだせないX1の存在。また、2シリーズ・アクティブツアラーやグランドツアラーとも、明確な差異があるとも言いにくいだろう。

新しいX1は来年登場するが、乱立気味に思える、BMW製のいわゆるハッチバックボディのラインナップがさらに充実することになる。恐らく。BMWと言えば、スポーツサルーンだったのでは? 記憶の限りでは、かなりいいクルマだった。特徴的なクーペも良かった。

ミュンヘンを本拠地とする自動車メーカーのショールームの景色は、ここ最近すっかり変貌してしまったようだ。郷愁に浸らず、この変化に付いていかなくては。

クロスオーバー? ハッチバック?

X1と比較して、X2のボディサイズがどの程度違うのかと言うと、全長は20mm短く、全高は69mm低い。MスポーツのVDCサスペンション搭載車の場合は、79mm低くなる。

下げられた車高の助けもあり、一般的な走行感覚を得ているから、クロスオーバーと呼ぶことに違和感はない。あるいは、SUV風のアピアランスを持った、大きな5ドアハッチバックだとも考えることができる。例えばごく一般的なクルマ、日産パルサー(日本未導入)と比較すると、キャラクターは陰と陽ほど異なるが、全長は25mmも違わないし、全高も10mm程度しか違わない。

でも、わたしの場合は、どうしてもかつてのBMWが懐かしく感じてしまう。もはやクルマに興味を示すとき、クラスやボディ形状の分類などはあまり意味を持たない時代になったのかもしれない。

X2のドライビングポジションは、一般的なハッチバックとほとんど同じ。着座位置は幾分高めだが、調整幅はかなり大きい。ステアリングホイールの調整しろも充分で、適正な位置にあり、インテリアの質感もこのクラスとしては高級志向な仕上がりになっている。

同価格帯のコンパクトプレミアムSUVの中では、快適性や素材の上質さではトップというわけではないが、ダッシュボード周りのステッチのコントラストや、光沢が美しいセンターコンソールのトリムパネルなど、雰囲気は良い。

販売には直接つながらない点かもしれないが、運転席からの視界も良い。通常のハッチバックと比較して着座位置の視点には大きな違いがなくても、グラスエリアの見切りが良いから、一層そう感じるのだと思う。

BMWらしいドライビングフィール

リアシートは、大人でも充分なサイズがあり、頭上の空間も膝先も、足元の空間にも不満はないが、日産パルサーやヴォクソール(オペル)・アストラほど広々というわけでもない。ラゲッジスペースは並のハッチバックよりも広く、470ℓ確保されている。

しかしX2の真骨頂は、ダイレクトで正確なドライビングフィールに尽きる。

今後モデルレンジの拡充に合わせて、よりパワフルなエンジンの選択も可能となるだろうが、189psを発生する中間グレードの20dでも、X2をレスポンシブに加速させてくれる。

BMWの2ℓディーゼルは、レッドゾーン手前の1500rpm付近のレスポンスが特に良好。ほかのBMWのディーゼルと同様に、組み合わされる8速ATの変速タイミングも賢く、滑らかに厚いトルクを伝達する。

ドライビングモードは、スポーツ、コンフォート、エコプロの3種が備わり、エンジンやAT、スタビリティコントロール、パワーステアリングに加えて、アダプティブダンパー装着車の場合はダンパーも、設定が切り替わる。任意に調整できるインディビジュアルモードなどの用意はないが、ほかのクルマと違って、標準の設定で不満を感じることはないだろう。

ありがたいことに、スポーツモードを選ぶと、エンジンとドライブトレインの設定はよりシャープなものに変わるが、サスペンションとステアリングの設定は大きく変更が加わらないようだ。英国の道に適した設定を、BMWは組み込んでくれた。

乗り心地重視のドライバーには向かない

ドライビングモードに関わらず、ボディコントロールやグリップレベル、ステアリングレスポンスは、走りに拘るドライバーにも訴求力があるもの。ホットハッチと比較しても遜色い敏捷さで、コーナリングバランスにも優れている。タイトコーナーでは、フロントタイヤに引っ張られる感覚だけでなく、時折リアタイアが押し出してくれるような自然なフィーリングも得られるほど。

運動性能に磨きがかかるスポーツモードに切り替えれば、ステアリングの重さは若干重くなり、バンプを乗り越えたときの衝撃もそれなりに大きくなる。

スポーツモードからコンフォートモードに戻せば、落ち着きが増し、クルマの乗り心地も改善される。でも、サスペンションの硬い印象には変わりがないから、路面状況を問わず乗り心地を重視するようなドライバーには、このクロスオーバーは向かないかもしれない。

またテスト車両の場合は、ロードノイズが大きく、路面からのザラついた感覚も目立っていた。恐らくランフラットタイヤを履いているためで、BMWの小型車には全般にこの傾向が見られる。選択するグレードをSEかスポーツにすればランフラットタイヤはつかないから、資金の節約もかねて、充分に検討したほうが良いだろう。

「買い」か?

X2が気に入ったなら、それが理由

コンパクトプレミアムSUVの中から、X2を選ぶべきかどうか。合理的な理由と確保できる予算によるところが大きいだろう。

BMWのほかのXシリーズのモデルと比較して、実用性や快適性、利便性などを見た場合、また、X2よりも安価なクロスオーバーやコンパクトSUVを並べた場合、X2を選択するという明確な理由を見つけることは難しいように思える。

また、見積もり内容に納得して最終決断をする場合は、X2が普通のハッチバックにも見えてしまうことにも、納得しなければならない。このクルマは、著名人も乗るようなスポーツ・アクティビティ・クーペなのだと、信じるのが良いかも知れない。

一方で、BMWが広く受け入れられるようなハッチバックを提供することに関して、非難することもできない。

X2は、充分なラゲッジスペースに4輪駆動、曲線を描くルーフライン、上品なインテリア、力強いディーゼルエンジン、日常的に楽しめるハンドリングなどの特長を持っているが、それらだけが決定的な理由ともなりえないだろう。たとえBMWのロゴがCピラーに付いていても。

読者がもしX2が気に入ったなら、それが理由なのだ。

それが何だったのか、わたしにも興味がある。

BMW X2 xDrive20d Mスポーツのスペック

■価格 –
■全長×全幅×全高 4360×1824×1526mm
■最高速度 220km/h
■0-100km/h加速 約7.7秒
■燃費 20.8km/ℓ
■CO2排出量 126g/km
■乾燥重量 1675kg
■パワートレイン 直列4気筒1995ccターボ
■使用燃料 軽油
■最高出力 189ps/4000rpm
■最大トルク 40.7kg-m/1750rpm
■ギアボックス 8速AT

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