現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 排気量や気筒数で語ってはいけない──新型メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス試乗記

ここから本文です

排気量や気筒数で語ってはいけない──新型メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス試乗記

掲載 13
排気量や気筒数で語ってはいけない──新型メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンス試乗記

メルセデスAMGの新しい「C 63 S Eパフォーマンス」は、これまでの高性能車の概念を大きく変える1台だった!

最大トルクは1020Nm!

1990年代のステーションワゴンブームで人気を集めた3選

スペック(だけ)でクルマを評価しても意味がないのはもちろんであるけれど、メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンスに関しては、スペックから入りたい。

モデルチェンジ前の先代C63 Sは、排気量4.0リッターのV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを搭載、最高出力は510ps、最大トルクは700Nmで、駆動方式はFR(後輪駆動)だった。

いっぽう、これから試乗する新型C 63 S Eパフォーマンスは、排気量2.0リッターの直列4気筒ガソリンターボエンジンにプラグインハイブリッド・システムを組み合わせたPHEV。エンジン単体の最高出力は476psで、これも2.0リッターの直4としてはかなりのハイチューンであるけれど、モーターを加えたシステム全体の最高出力は680ps、システム全体の最大トルクは1020Nmに達する。駆動方式も4輪駆動に改められ、4ケタのトルクを適宜、配分する。

と、いった具合に、C63は大変身を遂げた。1020Nmのトルクとはどんなバケモノなのかと、そろりそろりとアクセルペダルを踏んでみると……、バケモノどころか物静かで従順な、しつけの行き届いたパワートレインだった。

このクルマ、PHEVではあるけれどリチウムイオン電池の容量は6.1kWhで、EV走行も最大で15kmまでとなっている。試乗を開始した時点では電気がほとんど空っぽで、したがってエンジンの駆動力で走る。

ところがこの2.0リッター直4エンジンが静かで滑らか、しかも極低回転域から密度の高いトルクを提供するから、一瞬、「あれ、いまEV走行?」と、勘違いしてしまうほどだった。

乗り心地も極上で、ただ路面からのショックを緩和して快適に走るというだけでなく、道路にぴたりと吸い付いているかのような、独特の心地よさを伝える。

したがって市街地をのんびり流すような乗り方だと、拍子抜けするぐらいスムーズに走る高級車で、先代のV8サウンドが懐かしくなったりもする。

寡黙なモンスターところがドライブモードを「スポーツ+」にセットして、ETC ゲートを抜けた瞬間にアクセルペダルを踏み込むと、「ぅ゙グァ」と、ヘンな声が出るくらいの加速を見せる。公道でこの加速感を味わえるのはほんの一瞬であるけれど、巨大なトルクを一滴もこぼさずに、4輪に緻密に配分して地面を蹴っていることが伝わってくる。

このとき、“ちょっとコワい”と、思ったのは、音がそれほど高まらないのに爆発的に加速することにギャップを感じたからだ。サイボーグっぽいクールな速さで、BEVのスーパースポーツを何台か経験したとはいえ、頭も体もまだこの感覚に慣れていないのだ。

コーナーでは、ドライバーとしては結構がんばっているつもりでも、クルマは姿勢をまったく乱さずに、涼しい顔でクリアする。可変ダンパーを一番ハードなセッティングにしても乗り心地は悪くないから、脚を突っ張らせて動きを抑えているという感触はない。可変ダンパーに加えて、4駆システムと後輪操舵システムが巧みに連携することで、ひたすらに懐が深くて、度量の大きい足まわりになっている。

タッチスクリーンを操作して、“爆音モード”にしてみると、車内が排気音で賑やかになる。作られた音であるのは間違いないけれど、人工的で不自然だとは感じない。芸が細かいと感じたのは、アクセルペダルを踏み込んだときにイイ音が高まるのは当然として、アクセルペダルを戻したときの音もしっかりと作り込まれていたことだ。ギミックではなく、ドライバーを楽しませるための機能のひとつとして、本気で開発したことが伝わってくる。

おもしろいのは、スポーツ+でエンジンをがんがんまわしていると、いつの間にかほとんど100%まで充電されていたことだ。ちょうど高速道路のインターを降りるタイミングだったので、「コンフォート」モードに切り替えると、EV走行が始まった。

モーターによるシームレスな加速と、前述した乗り心地のよさがあいまって、室内はいたって平和だ。トリップメーターで確認していると、ほぼフル充電の状態から、11km弱をEVとして走った。近場の買い物や送り迎えといった使い方であれば、エンジンはずっと休んでいられることを確認した。

試乗して感じたのは、加速にしろコーナリングにしろ、限界が見えないということだ。とろけるように滑らかな超高級車から、怒涛のスーパースポーツまでとダイナミックレンジが広いうえに、奥も深い。この寡黙なモンスターのすべてを知りたい、という気持ちがむくむくと湧いてくる。

オーナーになった方は、何年も、あるいは何十年も楽しめると思います。

文・サトータケシ 写真・田村翔 編集・稲垣邦康(GQ)

こんな記事も読まれています

クルマとしての完成度が驚くほど高かった──新型BYDシール試乗記
クルマとしての完成度が驚くほど高かった──新型BYDシール試乗記
GQ JAPAN
持続可能な社会と豊かな生活を両立する1台──新型レンジローバー オートバイオグラフィP550e試乗記
持続可能な社会と豊かな生活を両立する1台──新型レンジローバー オートバイオグラフィP550e試乗記
GQ JAPAN
ドライバーズシートも特等席──新型レクサスLM500h“version L”試乗記
ドライバーズシートも特等席──新型レクサスLM500h“version L”試乗記
GQ JAPAN
新型BMW M5登場!──GQ新着カー
新型BMW M5登場!──GQ新着カー
GQ JAPAN
大きく変わることは決して悪くはない!──新型ミニ・カントリーマン試乗記
大きく変わることは決して悪くはない!──新型ミニ・カントリーマン試乗記
GQ JAPAN
新型ベントレーコンチネンタルGTが、堂々デビュー!──GQ新着カー
新型ベントレーコンチネンタルGTが、堂々デビュー!──GQ新着カー
GQ JAPAN
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(1)E350e スポーツ エディションスター】PHEVサルーンの最適解は、人とクルマのつながり方にも革新をもたらした
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(1)E350e スポーツ エディションスター】PHEVサルーンの最適解は、人とクルマのつながり方にも革新をもたらした
Webモーターマガジン
デロリアンがEVで生まれ変わった!──GQ新着カー
デロリアンがEVで生まれ変わった!──GQ新着カー
GQ JAPAN
改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力
改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力
AUTOCAR JAPAN
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(2)CLE 200 クーペ スポーツ】MHEVが求めるのは、絶対性能ではなく毎日が楽しい「ハイスペック」なのかも
【特集 メルセデス・ベンツが切り拓くハイブリッド新時代の今(2)CLE 200 クーペ スポーツ】MHEVが求めるのは、絶対性能ではなく毎日が楽しい「ハイスペック」なのかも
Webモーターマガジン
ライバルの「1歩先ゆく」電動サルーン 最新ポルシェ・タイカンへ試乗 感動するほど気持ちいい
ライバルの「1歩先ゆく」電動サルーン 最新ポルシェ・タイカンへ試乗 感動するほど気持ちいい
AUTOCAR JAPAN
カクカクSUVな新型「タンク」登場!  豪華内装×オフ仕様!? 川も渡れる…「700」を中国で試乗
カクカクSUVな新型「タンク」登場! 豪華内装×オフ仕様!? 川も渡れる…「700」を中国で試乗
くるまのニュース
【比較試乗】ラグジュアリーでありながらハイパフォーマンス。頂点を極めたフラッグシップSUVの世界「BMW XMレーベル vs ポルシェ・カイエン Eハイブリッド vs メルセデス・マイバッハGLS600 4マチック vs レンジローバーSV」
【比較試乗】ラグジュアリーでありながらハイパフォーマンス。頂点を極めたフラッグシップSUVの世界「BMW XMレーベル vs ポルシェ・カイエン Eハイブリッド vs メルセデス・マイバッハGLS600 4マチック vs レンジローバーSV」
LE VOLANT CARSMEET WEB
価格以上の高性能が満喫できる、抜群のコスパに脱帽! BYD・SEAL 試乗インプレッション
価格以上の高性能が満喫できる、抜群のコスパに脱帽! BYD・SEAL 試乗インプレッション
月刊自家用車WEB
モーターは「ホイール」の中! べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EVへ試乗 低価格化へつながる?
モーターは「ホイール」の中! べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EVへ試乗 低価格化へつながる?
AUTOCAR JAPAN
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
AUTOCAR JAPAN
【試乗】BYDの「真打ち」スポーツセダンが日本上陸! 激安「SEAL」の走りを徹底チェックした
【試乗】BYDの「真打ち」スポーツセダンが日本上陸! 激安「SEAL」の走りを徹底チェックした
WEB CARTOP
シボレー ボルトは謎めいた先進的電動化モデルだった【10年ひと昔の新車】
シボレー ボルトは謎めいた先進的電動化モデルだった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン

みんなのコメント

13件
  • hap********
    排気量や気筒数で語ってはいけない

    こういうハイエンドはそれ結構大事でしょ。
    あと680馬力は数十秒しか出せないこともちゃんと書かないと。
  • キイロイトリ
    Cクラスで2,160kgですか。

    慣性モーメントが大きく直線番長かな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3320.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

449.01080.0万円

中古車を検索
V8の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3320.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

449.01080.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村