現在、北米専売車となっている日産 マキシマは、日本でも販売されていた時期もあり、2021年で誕生40周年を迎える。それを期に2021年モデルのマキシマ米国仕様に40周年記念車が設定された。
そこで本稿では、この40周年記念車とともに日産の隠れた名門、歴代マキシマも振り返っていく。
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文:永田恵一/写真:NISSAN
【画像ギャラリー】日産の北米専売車「マキシマ」に40周年記念モデルが登場! 本文未掲載写真も!
■マキシマはアルティマの上級に位置するスポーティセダン
日本では絶版となった日産 マキシマも、北米専売車としてモデルチェンジを繰り返し、現在8代目モデルとなった
現行型で8代目モデルとなるマキシマは、トヨタ カムリやホンダ アコードのライバルとなる北米市場における基幹車種アルティマ(日本ではつい最近まで販売されていたティアナ)を上級かつスポーティにしたモデルだ。
アルティマとマキシマの関係を例えるなら意味合いはやや違うが、カムリとレクサスESに似ている。
アルティマとマキシマの具体的な違いは、CVT+直4の2.5L・NAと2L・VCターボエンジンとなるアルティマに対し、マキシマはCVT+3.5L・V6(300馬力)エンジンというパワートレーンを搭載する点。また、マキシマはスポーティな内外装を持つ。
2021年モデルのマキシマのグレードは、40周年記念車以外に「SV」、「SR」、「プラチナム」の3つが設定される。2021年モデルの価格はまだ発表されていないため2020年モデルの価格を書いておくと3万4450ドル(約363万8000円)からだった。
なおベースとなるアルティマは、2018年にフルモデルチェンジされているため、2015年登場の現行マキシマもこの先1、2年のうちに現行アルティマベースでフルモデルチェンジされるだろう。
■マキシマ 40周年記念車は内外装を特別にアレンジ
最上級グレードのプラチナムをベースに特別な内外装を装備した40周年記念モデル
マキシマ40周年記念車は最上級グレードのプラチナムがベースとなっており、装備品ではリアシートのシートヒーターが加わるほか、以下の内外装となる。
・グレーパールにブラックルーフとなるツートンの外装色
・専用のグロスブラックの19インチアルミホイール
・黒いマキシマのエンブレムと40周年記念のエンブレム
・黒いマフラーカッター
・40周年記念のエンボス加工が施された赤いセミアニリンの革シート
・インテリア各部の赤いステッチ
・過去のマキシマを彷彿とさせる白地となるスピードメーターとタコメーター
まとめると機能面はベース車と特に変わりなく、内外装に手を加え40周年記念車としたという印象だ。
■2代目モデルは米国で大ヒット
価格の割にパワフルで信頼性が高いという現実的な理由もあり、2代目マキシマはアメリカで大ヒットを記録した
マキシマの起源はブルーバードがFRだった時代に直6エンジンを搭載した、5代目ブルーバードの米国仕様に遡る。
(ブルーバードは1971年登場の4代目モデルのマイナーチェンジから直6を搭載していた。これはスカイラインやローレルといった6気筒エンジン搭載車がラインナップになかった当時の日産店が、この種のクルマを欲したため生まれたと言われており、骨肉の争いによる産物にも見える)
ブルーバードの6気筒エンジン搭載車が米国でマキシマの車名になったのは1981年登場の初代モデルからである。初代マキシマはブルーバードとしては最後のFR車で、日産車らしいスポーツ性の高さで大成功を収めた6代目ブルーバードをベースに直6エンジン搭載のためフロントノーズを約100mm延長。
それぞれ直6のNAとなる2.4ℓガソリンと2.8ℓディーゼルを搭載。ボディタイプはセダンとステーションワゴンがあった。
エンジン横置きのFF車となった1983年登場の7代目ブルーバードから1年遅れの1984年に登場した2代目マキシマも、「ブルーバードのフロントを延長し6気筒エンジンを搭載する」という成り立ちは初代マキシマと同様で、このモデルから日本でも販売されるようになった。
2代目マキシマはFF化もあり、日本仕様は2L・V6のNAとターボエンジン、米国仕様は3L・V6 NAエンジンを搭載し、米国では大ヒットした。
しかし、2代目マキシマがアメリカで大ヒットした理由は、価格の割にパワフルかつ信頼性が高いという、大事なことながら質と量の「量」の方で売れた面が否めなかった。
そのため現行GT-Rの生みの親であり、2代目マキシマの開発にも携わった水野和敏さんは「このことがその後のクルマ造りの大きな糧」になったと、著書に記している。
■日本では3代目を最後に絶版
日本発売では最終モデルとなった3代目モデル
マキシマは1988年登場の3代目モデルで、ブルーバードとは関係のない本格的な3ナンバー車に移行。
3代目マキシマは1990年に登場し、本格的3ナンバー車の割にリーズナブルという理由で大ヒットした三菱 ディアマンテの初代モデルとそれほど変わらない成り立ちだった。
しかし、華美なところがないなど全体的に地味だったことと、この種のクルマのボリュームゾーンだった2.5Lが最後まで設定されず3Lのみだったのが原因だったのか、いいクルマだったのに日本では成功しなかった。
日本では3代目モデルが最後のマキシマとなるのだが、その際にFF化され1994年に2代目モデルとなったセフィーロがマキシマの後継車に。
それ以降マキシマは北米ではアルティマの上級車という現在の位置付けになり、フルモデルチェンジを行いながら現在に至る。
* * *
スポーツセダンという魅力はあるにせよ、マキシマが日本に導入される可能性はセダン需要の低迷もあり非常に低い。
しかし、元レーシングドライバーで現在は日本のレース業界でチームを率いる星野一義氏が主宰するガレージインパルで、マキシマを含めた北米で販売される日産車を扱っているので、興味ある人はアポイントを取るといいだろう。
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