■今のところ音沙汰なしの「アルトワークス」 実際どうなのか
スズキのエントリー軽コンパクト「アルト」にラインアップされていた「ワークス」は、MTとターボエンジンを組み合わせたスポーツモデルで、マニアから根強い人気がありました。
先代モデルとなる8代目でもラインナップされていましたが、9代目の現行アルトでは用意されていません。今後、アルトワークス復活の可能性はあるのでしょうか。
【画像】超カッコいい! これがアルトワークスのライバル「GRミライース」です! 画像で見る
そもそも、「アルトワークス復活の可能性は?」といわれるようになったキッカケは、同じく軽自動車を得意とするライバルメーカー ダイハツにあります。
2025年1月に開催された「東京オートサロン2025」で、ダイハツはエントリー軽コンパクト「ミライース」のスポーツ仕様となるコンセプトモデル「ミライース GRスポーツ コンセプト」を披露したのです。
徹底した軽量化を図ったミライースに、5速MTとターボエンジンを搭載したパッケージの組み合わせは、まさに以前販売されていたアルトワークスや、ミライースの前身「ミラ」にラインナップされていたホットモデル「アヴァンツァート」を想起させます。
そのため、初公開時は「もしミライースのGRスポーツが登場してヒットしたら、アルトワークスも復活するのでは?」という声もありました。
しかし、残念ながらそれは現実的ではないといえます。
まず、現行型アルトへフルモデルチェンジした際に、MT車はラインナップから姿を消してしまいました。
スズキの軽乗用車にはMTを有するモデルもありますが、少なくとも現行アルトに対し、すぐ低コストで合わせられるようなトランスミッションは無いはずです。
また最近のスズキの軽自動車は、商用モデルなどの一部を除いてマイルドハイブリッドとの組み合わせを考えたエンジンとなっています。
アルトもエントリーグレードにはマイルドハイブリッドが設定されていませんが、メインの上級グレードはマイルドハイブリッドが主となっています。
マイルドハイブリッドを前提としたエンジン開発が進んでいることを考えると、量産コスト的にターボエンジンとMTの組み合わせを登場させるのは難しいでしょう。
これまでのスズキの成長戦略などでも、スポーティなモデルの投入は触れられたことがなく、進化したエネチャージ「スーパーエネチャージ」などを中心にハイブリッド技術を強化していくことが説明されています。
そして、何よりミライースの状況と異なるのは、「GR」の後ろ盾がないことです。
ダイハツはトヨタの子会社となっていることも大きいですが、「GRコペン」を成功させたようにトヨタのGRブランドで展開させた前例を持っています。
このような背景があれば、軽自動車でも思い切ったスペシャルモデルを生み出すことがしやすく、また、トヨタからもそれを望まれていることでしょう。
しかし、現在のスズキの戦略や方針を思えば、モータースポーツ活動を目立った形でしているわけではなく、スポーツモデルとしても現在販売中の「スイフトスポーツ」が生産終了するのを最後にラインナップから姿を消してしまうことになります。
遠い未来では分かりませんが、現状ではブランドを牽引するイメージリーダーとしてもスポーツモデルは必要とされている訳ではありません。
アルトの現状、ダイハツの現状、スズキの現状、これらを整理するとアルトワークス復活の可能性は、近い将来では「ほぼ起こりえない」といえるでしょう。
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