SUVなのによく曲がる
最近のクルマの運転感覚は、全般的に個性が薄れているが、新型アウトランダーは個性的だ。
【画像】操る楽しさを前面に【期待高まる新型アウトランダーPHEV 日産ローグと比較】 全177枚
高重心のSUVなのに良く曲がる。
サーキットでプロトタイプ(試作車)を試乗したが、カーブを曲がりながらアクセルペダルを踏み増しても、旋回軌跡をあまり拡大させない。
操舵角に応じて正確に曲がっていく。
その一方でサスペンションの動きは柔軟で、SUVらしく、ゆったりと伸縮する。
この2つの要素をあわせ持つため、新型アウトランダーがカーブを曲がるときには、ボディが比較的大きめに傾く。
そしてアクセルペダルを戻すと、最近のクルマとしては、後輪の横滑りを発生させやすい。
新型アウトランダーはカーブを曲がる性能が高く、旋回速度も上昇するから、挙動変化が拡大しやすい面もある。
横滑り防止装置が装着されているため、運転操作の難しい状態には陥りにくいが、安定性を重視する今のクルマづくりとは指向性が少し異なる。
新型アウトランダーは、攻めた印象の運転感覚に仕上げた。
ハンドリング 業績と相関?
新型アウトランダーの運転中に思い出したのは、2005年に発売された初代モデルだ。
これも良く曲がったが、後輪の横滑りを誘発させやすい性格だった。
後年、初代アウトランダーの運転感覚について開発者にたずねると、以下のように返答された。
「2005年頃の三菱は、業績を回復することに力を注いでいた。もともと三菱はSUVが得意なメーカーで、アウトランダーは業績回復に向けた主力商品に位置付けられたから、元気の良い走りを表現したい。そこで曲がる性能を強めすぎた面もあった」
クルマは移動のツールで運転する楽しさもあわせ持つから、業績やブランドを再構築するときは、良く曲がるスポーティな運転感覚を表現することが多い。
例えばマツダも20年ほど前に、業績回復のために運転の楽しいクルマづくりを目指す「Zoom-Zoomコンセプト」を打ち出した。
2002年には初代アテンザを発売しており、この運転感覚も、峠道などでは良く曲がる代わりにアクセルペダルを戻すと後輪の横滑りを誘発する面があった。
この点についてマツダの開発者は「当時はハンドルを切ると、クルマがスパッと反応して向きが変わる方が楽しいと考えていた。しかしこのようなセッティングでは、違和感が生じてしまう。今は正確な反応を重視している」と述べた。
機敏に反応する操舵感は、違和感が生じるだけでなく、状況によっては危険にも結び付く。
そのために今の操舵感は、後輪の安定性を重視するようになった。
アウトランダーも同様で、従来型の2代目では、初代と同じプラットフォームを使いながら後輪の接地性を高めた。
これに伴ってボディもゆったりと傾くようになり、後輪の接地性も高まったが、峠道などを走ると少し曲がりにくくなった。
2代目アウトランダーの開発者は「安全に扱いやすくするため、先代型とは設定を変えて、安定指向のハンドリングにした」と述べた。
新型アウトランダーでは、このハンドリングが過去の流れを踏まえた上で、再びスポーティな方向へ進化している。
開発者は「PHEVの四輪制御技術を駆使して、ドライバーが思いどおりに運転できるクルマづくりを目指した」という。
三菱のクルマづくりが、新しい段階に踏み込んだともいえるだろう。
アウトランダー・エボも成立?
新型アウトランダーの良く曲がる運転感覚は、同じプラットフォームを使う日産ローグ(2022年に登場する次期エクストレイルの北米仕様)に似たところがある。
新型アウトランダーの運転感覚は、PHEVのメカニズムを生かして三菱が独自にセッティングをおこなったが、プラットフォームの素性に基づく面も小さくないわけだ。
日産によると「コンパクトなノートのプラットフォームは、ルノーが中心に開発したが、新型アウトランダーやローグについては日産が中心に新開発した」と述べている。
それでもドライバー(前席)を中心に車両が旋回していく感覚は、ルノーのクルマづくりに似ている。
とくにアクセルペダルを緩やかに戻して車両の進行方向を内側へ向けられるコントロール性には、奥の深さも感じられ、クルマ好きには歓迎されるだろう。
この素性を備えていれば、かつてのランサーなどのように、スポーティなエボリューションモデルも成立しそうだ。
SUV&電動車なのに運転が楽しい
新型アウトランダーの場合、海外仕様には直列4気筒2.5Lのノーマルエンジンも用意するが、日本仕様はプラグインハイブリッドのPHEVのみだ。
いわゆる電動車だが、前述のとおりドライバーの運転する楽しさを追求した奥の深い運転感覚を実現させている。
このクルマづくりの方針は、エンジンを搭載しない純粋な電気自動車を含め、今後さらに電動車が増える過程で大切な意味を持つ。
昨今はクルマが電動化されると運転する楽しさが失われるといった誤解を招く論調も増えているからだ。
アウトランダーPHEVは、従来型から運転の楽しい電動車を表現してきた。この傾向をさらに加速させるのが新型とも受け取られる。
そして逆説めいた表現だが、全高が1800mmを超えるSUVであることも、運転の楽しさを盛り上げる。
低重心のクーペやセダンでは、カーブを曲がる時のボディの傾き方も小さいが、高重心のSUVでは少し大きめに傾く。
この挙動変化を穏やかに進行させて、運転の楽しさに結び付けているからだ。
新型アウトランダーでは、床下に配置されたリチウムイオン電池、モーターによる4WDで得られた綿密な四輪駆動制御なども、背の高さとあわせてセダンやワゴン以上に操る楽しさを実感させる秘訣になっている。
三菱は1980年代から1990年代には、SUVのカテゴリーに独自の技術を組み合わせて、優れた悪路走破力を誇った。
ダカール・ラリーなど、モータースポーツでの活躍もその実力を物語る。
そして今後の三菱は、従来と同じくSUVのカテゴリーを貫きながら、電動化時代の優れた安定性と走る楽しさを追求していく。
それを象徴するのが、安定性よりも操る楽しさを前面に押し出した新型アウトランダーの運転感覚といえるだろう。
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