■人間とクルマ、どちらが優秀? 高速道路燃費対決
ここ数年で目覚ましい進歩を見せている先進安全装備。衝突被害軽減ブレーキや踏み間違え防止のアシスト機能など、万が一のヒューマンエラーをカバーしてくれるものから、単調な高速道路の走行や渋滞などで真価を発揮する追従型クルーズコントロールなど、より快適なドライブのお手伝いをしてくれるものまでさまざまなものが登場しています。
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なかでもクルーズコントロール機能の進化は目を見張るものがあり、当初はアクセルを踏まなくても設定した速度をキープできる程度のものでしたが、その後、前方車両に合わせて加減速をしてくれるタイプが登場。いまでは一部の条件下でステアリングのアシストまでしてくれるものまであります。
数あるクルーズコントロールのなかでも、注目されるのは日産の「プロパイロット2.0」です。プロパイロット2.0は、ドライバーが直ちにハンドルを確実に操作できる状況下において高速道路の同一車線内でのハンズオフ(手放し)を実現。
加えて、ナビゲーションと連動して車線変更もおこなってくれるなど、夢の自動運転にまた一歩近づいたといえるでしょう。
綿密にクルマをコントロールしてくれるプロパイロット2.0では、燃費性能も人間が運転したときよりも優れているのでしょうか。
そこで、人間が運転した場合とプロパイロット2.0を用いて走行した場合の燃費の違いをチェックすべく、同システムを搭載した「スカイライン GT タイプSP( ハイブリッド)」を用いて実際に走行テストをおこないました。
走行するコースは、人間が運転するときも、プロパイロット2.0に任せるときも、全く同じ道のりを走行。横浜新道の戸塚PA(上り)を出発し、首都高からアクアラインを経由して海ほたるPAに入り、そこでUターンしてアクアラインから首都高、そして横浜新道を経由して戸塚PA(下り)へ戻るというおよそ85km弱の距離を走りました。
なお、走行モードはどちらも「STANDARD」、エアコンは24度設定のフルオートで、走行中にマニュアルモードでの変速はしないものとしました。また、プロパイロット2.0の結果を意識しないように、先に人間の走行による燃費テストを実施し、続いてプロパイロット2.0を使用してテストしました。
また、プロパイロット2.0は走行する道路の制限速度から+10km/hまでしか設定ができず、実際の交通の流れと速度の乖離が大きいシーンもありましたが、公平を期すために人間の走行でも同程度の速度を維持することにしています。
どちらも83.4kmを走行し、人間による走行では燃費が21.1km/Lに対し、プロパイロット2.0による走行では燃費が19.9km/Lでした。わずか1.2km/Lという僅差ながら、人間が運転した方が好記録をマークする結果となりました。
スカイライン ハイブリッドのJC08モード燃費は14.4km/Lなので、プロパイロット2.0での19.9km/Lという今回の数値も驚異的であるといえます。ハイブリッド仕様とはいえ、システム最高出力268kW(364馬力)を誇り、1840kgの車重と19インチのタイヤホイールを装着しているモデルにもかかわらず、低燃費を記録しました。
なお、危惧していた速度ですが、人間による走行もプロパイロット2.0を使用した走行も、奇跡的に平均速度は66km/hと全く同じ数値になりました。厳密に同条件で走行したとはいえませんが、限りなく近い条件で走行した結果、人間が運転した方が燃費が良くなりました。
■なぜプロパイロット2.0の方が燃費悪化? その原因とは
なぜプロパイロット2.0は、人間による運転よりも若干ながら燃費が悪化してしまったのでしょうか。
実際のところ、ハンズオフ機能も備わるプロパイロット2.0の制御は非常に自然で、高速道路本線を走行している限り、不安を覚えることはほぼないといっても過言ではないレベルです。
ただし、ナビ連動ルート走行をおこなうことで、走行する道路の制限速度に忠実な走行をすることができるのですが、じつはこれがかなりの曲者でした。
例えば首都高からアクアライン方面に行く場合、それまで80km/h制限で走行していたのに側道に入ると40km/h制限となるので、そこまで減速することになります。
また、海ほたるPAからアクアラインに合流する場面でも、合流車線は40km/h制限でアクアラインは80km/h制限となるため、合流車線では40km/hをキープし、本線に合流してから80km/hまで速度を上げるという形になり、人間が運転するときのように、合流車線で徐々に速度を上げて合流するということをしてくれないのです。
もちろん制限速度に忠実な走りなので当然といえば当然なのですが、実際のところはそこまで急激に減速や加速をする車両は稀であり、状況によっては事故を誘発する可能性もないとはいい切れません。
ただ、こういったシーンではドライバーがアクセルを踏み込むことでプロパイロット2.0を解除することなく加速することもできますから、状況によっては人間がプロパイロット2.0をアシストしてあげるのがスムーズに走行する秘訣といえるでしょう。
このような極端な加減速が発生した分だけ、プロパイロット2.0での走行時に少し燃費が悪化したといえるのではないでしょうか。
ハンズオフができるからといってクルマ任せにすることなく、ときにはドライバーが操作することで、より安全で快適なドライブをすることができます。
なお、高速道路上であっても、プロパイロット2.0のハンズオフが使えない状況が存在します。
対面通行や急カーブ、分岐や合流が多い地点や料金所に加え、GPS信号が取れないトンネル内やパイロンが置いてある工事区間などではハンズオフが使用できず、音と表示で「ハンドルを持ってください」とハンズオンするように促されます
※ ※ ※
今回は、人間の運転の方が燃費が良くなることがわかりましたが、走行の大部分をクルマにお願いすることができたプロパイロット2.0の走行の方が、圧倒的に疲労感が少なかったと感じました。
先進装備を毛嫌いする人もいるようですが、うまく活用することでより快適なカーライフが送れるようになるのではないでしょうか。
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みんなのコメント
数台先の車の状況、道路のアップダウン、カーブ、信号、これらを考慮しながら丁寧なアクセル、ブレーキ操作するから高燃費につながる。
まだ機械では状況の先読みができずに行き当たりばっかりのアクセル、ブレーキ操作なので燃費は悪化する。
オートクルーズの方が燃費が良いという方は運転が下手なので、自分の運転を見直した方が良い。