スリックタイヤ装着とはいえ、2.0LのNAのまま58秒407という驚異的なタイムをマークした“TRDグリフォンコンセプト”。後に発売された86コンプリートモデル「14R-60」のルーツとも言えるスーパーチューンドのスペックに改めて迫っていく。(OPTION誌2014年4月号より抜粋)
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「少ない手数でZC33Sスイスポの長所を伸ばしまくる!」サンライン流ピンポイントチューンの極意
TRDの総力を結集させた研究車両が筑波58秒407をマーク!
徹底的な軽量化によってNA86の頂点にたどり着いたTRDグリフォンコンセプト!
トヨタ86での“筑波1分切り”は、常識的に考えて途方もないチャレンジである。
しかし2013年、86のチューニングレベルは格段に向上し、ラスティーが叩き出した57秒9を筆頭に、HKS、トラスト、ブリッツが58秒台に到達するなど、タイムアタックシーンは群雄割拠の時代に突入している。
当然、各マシンには独自のチューニングが施されてはいるが、絶対的な共通点がある。そう、過給機によるドーピングだ。もちろんサーキットにおいてはサスペンションや空力、重量、タイヤという要素も重要なファクターではあるが、やはり筑波1分切りを果たすには相応のパワーが必要ということは、揺るがない事実のように思えた。
しかし、このグリフォンコンセプトと銘打たれたTRDの86はその常識を覆し、NAで58秒407という驚異的なタイムを叩き出したのだ。
まず心臓部のFA20エンジンは、オリジナルのハイカムやピストン&コンロッドこそ投入されているものの、排気量は2.0Lのままだ。エンジンルームで特徴的なのは、吸気パート。ストレートに伸びたサクションパイプはフロントグリルから効率良く空気を取り込めるよう、ラムエア効果も兼ねる特殊な形状となっている。
バンパー正面から取り込んだフレッシュエアが滞留しないよう、スーパーGTマシンのように通路をキッチリと設けている点も見逃せない。冷却効率もさることながら、フロントダウンフォースの増強という意味でも効果的なシステムだ。
サスペンションはオリジナルセッティングのKW製車高調をセット。また、負荷がかかるサスメンバーは強化した上でアームやスタビライザーの取り付け位置を見直し、トラクション重視のジオメトリーへと大幅にリメイクされている。
タイヤはアドバンのスリックを履く。ブレーキキャリパーはレース用モノブロックキットを装備。
フロントバンパー以外にも、ワイドフェンダーやリヤウイング、カナード、リヤディフューザーなど、グリフォン専用に開発されたエアロデバイスを多数装備する一方、すでに市販化されているフロントフェンダーエアロフィンやリヤサイドスポイラーなども装着される。
これらの各エアロデバイスは風洞実験により導き出されたデータに基づき、前後バランスの最適化がなされている。
さらに、ドアやルーフ、トランクフードなどといった外板パネルの大半をカーボン製のものに交換。ウインドウ類もポリカーボネート製とすることで、車重は1220kgから980kgへ。何と240kgものダイエットに成功しているのだ。
室内は超レーシーなメイキングだ。内張りは取り払われ、さらにダッシュボードまでもカーボン化するなど徹底的に軽量化を推進。その一方で、各部にはスポット溶接増しが施され、強靭なボディを作り上げている。
ミッションは試作のクロス。これは1速と2速を3速に近づけた仕様とのこと。ファイナルギヤは4.8だ。
ホイールは前後共に9.5J+45のTWS T66-F。タイヤは250/640R18という特殊サイズのアドバンスリックを履く。
「タイムばかりに注目が集まりますが、我々にとってのテーマは『このクルマを学びましょう』がメインなんです」とは、プロジェクトリーダーであるTRDの梨木さん。
というのも、86はトヨタとスバルの共同開発車両だ。特に水平対向のFA20はTRDにとっても不明瞭な部分が非常に多く、まずはその特性を隅々まで解析し、研究している段階なのだという。つまり、このグリフォンは研究の過程で誕生した、モンスターだったというわけだ。
TRDでは今回のテストをもってこのプロジェクトによるデータ採取は終了し、市販品として反映できるパーツ開発に移行するとのこと。今後のTRDパーツの最新動向に注目したい。
取材協力:トヨタカスタマイジング&ディベロップメント TEL:050-3161-2121(TRDコールセンター)
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みんなのコメント
NAで圧縮上げて〜ってのがロクに見当たらないのよね